【光のコントロールで良質な眠り】睡眠とホルモンの関係|リズムを整える方法と注意点

睡眠は時間だけでなく質が重要であることはよく知られています。
そもそも睡眠の質とは何なのか?そしてどのように良質な睡眠にするのか?
これらについてはこちらのページでまとめて解説しました。

上記のページでも解説していますが、睡眠の質には実に数多くの要素が関わっています。
このページではその中でも特に重要と考えられるホルモン分泌について、その付き合い方を含めて解説していきます。

1 睡眠の質と光の関係

睡眠に関係するホルモンは大きく分けると以下の3つです。

コルチゾール セロトニン メラトニン

人間の生体リズムは主にこの3つのホルモンの分泌バランスによって成り立っています。

・コルチゾール:血圧・血糖値の上昇を通じて起床を促す
・セロトニン:日中の覚醒を維持する
・メラトニン:夜間に体内で増加して眠気・入眠を促す

そしてこれらの分泌のリズムを整え、乱さないために最も重要な要素が「光」です。
太陽が昇り明るくなったら起き、日が沈み辺りが暗くなったら眠るというのが生き物の本来の自然な生活サイクルです。
そのため、光を浴びることで起床に関わるセロトニン・コルチゾールが分泌され、入眠に関わるメラトニンが減少します。
逆に夜、暗くなり光を浴びなくなることで体内ではメラトニンが体内で増加していくというのが通常です。

しかし今の文明社会においては昼夜を問わず、いつでも人工的な光に晒される環境にあります。
つまり身体が今が昼間なのか夜なのかを判断しにくくなってるということです。
こうした環境においては意識的に光をマネジメントしなければ、入眠に関わるホルモン分泌のリズムが崩されてしまうため、睡眠の質は低下する一方になります。
ここからはホルモンの分泌を整えるために日常で配慮すべき具体的なポイントを紹介していきます。

2 夜間の光を制限する

睡眠の質を高める上でまず重要になるのが、入眠に関わるメラトニンを夜間に減らさないことです。
メラトニンは光を浴びることで減少してしまうので、自然界で眠りに向かう時間帯、つまり日暮れ以降はなるべく光を避けましょう。
夜間に気を付けるべき光は、スマホなどのスクリーンと室内の照明の2つです。

2-1 スクリーンと距離を取る

夜間の光で特に気を付けなければいけないのが、スマホなどのスクリーンです。
スクリーンが放つ光には波長が短くエネルギーの大きな青い光(ブルーライト)が多量に含まれています。
その大きなエネルギーが網膜を通じて脳を強く刺激し、メラトニンを減らしてしまうのです。
そのため、夕方以降はなるべくスマホやPC、テレビなどは見ないようにしましょう。
とは言え認知リソース活用の観点では、日中に受動メディアで些末な情報に触れるのは非効率です。
なので日中はスマホを避け、夜間に見る場合は以下のような対策を講じましょう。

・スクリーンにブルーライトフィルターをかける
・画面の明るさを落とす
・ブルーライトカットのサングラス(オレンジレンズ)を使う

ブルーライトが睡眠に与える悪影響については広く認知されてるので、これに対処する機能や商品はけっこう充実しています。
最近のスマホは時間になると自動でブルーライトフィルターをかけるような設定も可能ので、まずは手近なところから対策していけばOKです。
いくら対策したとしても、就寝30分前からは完全カットを心掛けましょう。

なるべくなら1~2時間以上前から使わないのが好ましいけどね

因みに判断で認知リソースを浪費しないという話は以下のページで解説しています。

2-2 できれば照明にも配慮を

スクリーンに比べると対策が大掛かりになる可能性が高いですが、室内の照明にも配慮しましょう。
明るく感じるLED照明でもさほど照度は高くないと言いますが、体内のメラトニンを減らすには十分な明るさです。
夜間は間接照明だけにするか、明るさを調整できる照明にすることをオススメします。
個人的には起床時の光目覚ましにも使えるフィリップスのHueという照明が特にお気に入りです。

あと浴室の照明も出来れば夜は使わないことをオススメします。
天井が低く照明の位置が顔に近いので、光をモロに目に入れてしまいやすいからです。
浴室の電気は消し、脱衣所の電気を点けて程よいやや薄暗い環境で入浴するようにしましょう。

また寝室を真っ暗にしないで寝るという人もいると思いますが、実はこれもNGです。
人間の皮膚には光の受容体があり、たとえアイマスクをしてたとしても光を感じ取ってしまいます。
最初は慣れないかもしれませんが、寝室は遮光カーテンを引き、照明は一切点けずに完全に真っ暗な環境にしましょう。

3 朝は光を積極的に

睡眠の質には夜間のリラックスだけでなく、日中の覚醒も重要です。
そのため夜間とは異なり、朝は積極的に光を浴びるようにしましょう。
光を浴びて起きることは自然のリズムにも即しているので、非常にスッキリと起きられます。
そのため起床時間にカーテンを開けてくれるロボットや光目覚まし時計の利用がオススメです。

日の出が遅い時季のことを考えると光目覚まし時計の方が良いと思うよ

こうすることで体内のメラトニンが除去され、同時に覚醒に関わるコルチゾールやセロトニンがしっかり分泌されます。
セロトニンの分泌を促すことは重要で、何故ならメラトニンはセロトニンから作られるからです。
つまり日中のセロトニンの分泌が不十分だと、夜間にいくら光を避けても十分なメラトニンが生成されません。
しっかり起きてグッスリ眠るというメリハリが良質な睡眠を作るということです。

同時に目の網膜から入った刺激が脳の松果体という部分を刺激することで、体内時計のズレが修正されます。
ズレの大きさは諸説ありますが、人間の体内時計は地球の自転周期(24時間)より長いことはほぼ確実で、毎朝調整しないと15分ずつ時差ボケしていってしまうのです。

この松果体は体内時計のマスタークロックって言われてるよ

因みにセロトニンの分泌には光以外に材料となる栄養素をしっかり体内に取り入れる必要もあります。
また睡眠の質に関わるホルモンはもう1つ成長ホルモンがありますが、ここでは触れませんでした。
この辺のことは食事と睡眠の関係に関するページで解説しているので、そちらも参考にしてください。

日当たりの悪い家の場合、朝でも室内が暗いことがあると思います。
そのまま暗い室内に留まってしまうとメラトニンが一向に減らず、セロトニンも十分に分泌されません。
なので起きたら必ず4時間以内に外に出て光を浴びるようにしましょう。
これを過ぎてしまうと体内時計がリセットできず、ズレたまま進んでしまいます。
曇りや雨でも室内の照明より十分に高い照度があるので、覚醒を促すには十分です。

4 ストレスに対処する

光の他にホルモン分泌のリズムを整える上で重要な要素がストレスです。
コルチゾールは起床に関わるホルモンとしてより、ストレスホルモンとしてよく知られています。
その名の通り、コルチゾールは心身がストレスを受けた時に防御反応として分泌されます。
コルチゾールの分泌によって血圧・血糖値が上昇し、ストレスの根源である脅威から逃げるか立ち向かうかするためのエネルギーを供給するのです。

闘争逃走本能ってやつね

つまり慢性的にストレスを抱えていると、常に覚醒状態を促すホルモンが分泌され続けてしまうということです。
ストレス過多による不眠の原因はこのコルチゾールの継続的な分泌にあると言えます。
睡眠の質を向上するという点でストレスに対処することは非常に重要です。

多くの人がやりがちな買い物や食べ物でのストレス発散はさほど効果がなく、適切な対処法とは言えません。
ストレスの効果的な対処法についてはこちらのページで解説してるので、参考にしてください。

まとめ

睡眠の質に関わるホルモンの分泌リズムを整える方法について解説してきました。
セロトニン、メラトニン、コルチゾールの分泌には光が大きく関わっています。
人工的な照明に囲まれている現代は意識的にコントロールしなければ、簡単にリズムが狂ってしまいます。
夜間はなるべく光を避け、逆に朝は積極的に光を取り入れるようにしましょう。
これをするだけでもセロトニンとメラトニンのリズムは整います。

またコルチゾールは光だけでなくストレスにも大きく影響されるので、この対処も不可欠です。
睡眠にホルモンが与える影響は大きいですが、他の要素も非常に重要です。
是非トータルで対策して良質な睡眠を手に入れてください。
てなとこで。