【継続の基本】行動が続かないのは脳が原因|習慣化のテクニック5選

ダイエットや筋トレ、貯金や禁煙など気合いを入れて取り組み始めたものの続かないという悩みを抱えてる人は多いと思います。
挫折する度に多くの人は「何も続かない自分はダメ人間」「自分には自制心や根気がない」「気合が足りない」などと自分を責めてしまうことでしょう。

しかしこうした好ましい行動が続かないのは、あなたの根気や自制心が足りないからではありません。
本当の問題は脳の仕組みや好みを知らず闇雲に取り組んでしまっていることです。
このページでは行動を継続する基本となる考え方、なぜ行動が続かないのか、そして挫折しない習慣化の方法について解説します。

脳が継続を阻む2つの理由

貯金やダイエットといった行動の継続を妨げる脳の特徴は以下の2つです。

①未来より今の欲望を優先
②出来るだけエネルギーを使いたくない

人間の脳は貯金をしなきゃと思い立つ理性と動物的な本能が同居しているので、決して一枚岩ではありません。
人は理性的な生き物と思われがちですが、実態は脳の大部分は後者の原始的な部分、いわゆる本能が大部分を占めています。
そして本能は目の前の欲望が最優先で、未来志向をすることが出来ません。
貯金やダイエットなどははいずれも、理想の未来のために今の楽しみを犠牲にする行動で、脳の仕組みに反しています。

もう1つ脳について大事なことは、怠け癖が酷いということです。
脳の処理は日常の判断だけでも35,000回にも及び、非常に膨大なエネルギーを消費します。
なるべく省エネにしてないと、エネルギー不足になり大事な場面で判断力・思考力が鈍ったり、下手をすると死のリスクもあるわけです。
そのため人間は認知リソースという脳の体力を温存し、できるだけこれに負荷をかける行動や思考を避けようとします。
そしてダイエットや貯金といった新しい行動を追加することは認知負荷を上げることになります。

つまりやる気を出してしまうことは「普段と違うことだぞ!」と大声で脳に知らせ、わざわざ警戒感をMAXにすることと同義ということです。
行動を継続するためには、脳に着替えや歯磨きのような当たり前のことと思わせること、すなわち習慣化が必要です。
ここからは具体的な習慣化のテクニックとして以下の5つを紹介します。

①スモールステップ
②プレマックの原理
③ハードルの削減
④エスカレーティング
⑤1点集中

因みに習慣化が悪い方向に働いた結果がコッソリと家計を蝕み続けるラテマネーというものです。
これがどのように家計に侵入してくるのか、どうすれば防げるのかという点でも重要になります。
ラテマネーの実態についてはこちらをご覧ください。

習慣化テクニック① スモールステップ

多くの人は最初はやる気に満ち溢れてるので「毎日2㎞走る」とか「ジャンクを完全にカットして毎月1万円貯める」といった目標を立てます。
しかしこれまで全く運動してこなかった人にとって2㎞といった短距離でも過酷ですし、浪費が当たり前になってしまってる人にはたった1万でもハードな目標です。
こうして完璧に今までと違うと認識されてしまえば、その瞬間から脳は全力でやめさせようとします。
モチベーションで燃えている間は脳の抵抗にも勝てますが、その火が消えた途端あっけなく敗北してしまう、これが挫折の正体です。

正しく始めるには「とりあえず毎朝家の外に出る」とか「家計簿のためにレシートを取っておく」などとにかくレベルを下げることが重要になります。
脳が違いを認識できないくらい、ホントに誤差レベルのものにすることが重要です。
また水準を下げることは完璧主義による行動の先延ばしを防止する効果もあります。
ハードな目標、水準を設定すると「条件が整わない」という先延ばしにする理由を与えることになりかねません。
しかし非常に簡単なものなら言い訳が挟まる余地がほとんどなく、その心配も要らなくなります。

習慣化テクニック② プレマックの原理

プレマックの原理とは、行動主義の心理学者であるデイヴィッド・プレマックにより提唱された習慣化のテクニックです。
新しい行動を習慣化したい場合は、既に習慣化された行動の前にスケジュールすることで実行そして習慣化の確率が高まります。
朝は一度外に出てから読書を始める、コーヒーを淹れるといった感じです。

習慣化とは意識しなくても脳の自動操縦で実行される行動のことを言うので、既に習慣化された行動と言われても思いつきにくい人も多いでしょう。
しかし人間は睡眠を含めると習慣化された行動が全体の7~8割を占めているので、ちょっと思い返してみると毎日繰り返している行動はけっこうあります。

シャワーとか着替えとか歯磨きとかコーヒーとかね

習慣とセットで1つの習慣することを狙うので、親和性が高いモノにすると効果は高まると考えられます。
補足的なテクニックなので、わざわざ無理して組み込むポイントや組み合わせを考えなくてもOKです。
ただし前の項で紹介した通り、始めたばかりは非常に小さな行動なので、自制心の問題がない代わりにシンプルに忘れるという問題があります。
せっかくのスモールステップをムダにしないためにも、自分の日常に新しい行動がちょうどハマりそうなポイントがある人は試してみてください。

習慣化テクニック③ ハードルを減らす

人間には作業性興奮という心理メカニズムがあります。
これは手を動かしている内に作業に対するやる気が出てくるというものです。
多くの人は「やる気が出たらやろう」と思いがちですが、実際は手を動かさないとやる気は生まれません。
つまり手を動かし始める最初の部分が最難関で、これさえ越えれば後は簡単ということです。

そして人間は5秒もすると言い訳を考え始めてしまうので、すぐできる即座性も非常に重要になります。
その問題をクリアするためにもスモールステップは重要なのですが、もう1つ実際の行動までのハードルを減らしておくのが有効です。
例えばジム通いの場合は、荷物の準備、ジムへの移動、着替えなど、これを考えると越える山が多くて萎えてしまいかねません。
やらない言い訳を挟む隙も非常に多いです。

しかし減らせるとこだけでも事前に対処しておけば、手を動かす実際の行動に移りやすくなります。
勉強しようとするとデスク周りの整理整頓に精を出してしまう人がいますが、こういう脱線を防止する意味でも効果的です。
さて、このハードルの削減をいつやっておくかですが、直前ではなく前日の夜などにやっておくのをオススメします。
これはインターリービングメソッドと言って、少しだけ手を付けてわざと作業を中途半端にすることで行動意欲を喚起するテクニックです。

ドラマとかアニメが中途半端なところで終わると、先が気になるのが分かりやすい例だね

前日の夜にデスクに勉強道具を開いて置いておいたり、ジムの荷づくりを終わらせておくといった感じです。

習慣化テクニック④ エスカレーティング

脳というのはなかなかに贅沢なもので、いつもと違い過ぎると拒絶する癖に、いつもと同じ過ぎても飽きてしまうのです。
定期的に小さな変化や刺激を受けていないと、それはそれで挫折の原因になってしまいます。
どんなに楽しいゲームでも全クリした後の単調なレベル上げ作業を、これまでのストーリーが進行するフェーズと同じ熱量で出来る人は少ないでしょう。それと同じです。

つまりいつまでもスモールステップの初期値を続けていても飽きて離脱してしまう可能性があるため、徐々に変化を与える必要があります。
ここで注意しなければいけないのは、水準を一気に引き上げないようにすることです。
最初のスモールステップは出来ても、結果を急ぐあまりここで水準を上げてしまい失敗する人は多いので注意しましょう。
折角スモールステップで始めても、次のステップが大股になってしまえば最初から無茶な目標を立てたのと同じ結果になってしまいます。
体力や気合、モチベーションの限界まで振るようなことはせず、余力を残しながらゆっくりと小幅に水準を上げていきましょう。

ホントにちょっとの変化があるだけでも、脳には十分な刺激の変化になるので、「こんなんで足りるかな?」なんて心配は無用です。
目標に全く近付いて行かずにもどかしさを感じる人も多いでしょうが、習慣化しないことには結果も一時的なものになります。
何事も最初が肝心、これさえ乗り切れば後は自動操縦と思えればかなり気が楽になるはずです。

習慣化テクニック⑤ 課題を1つに絞る

これまで紹介してきたテクニックを利用すれば、認知負荷を高めることなく習慣化を進められます。
しかし多少とは言え認知リソースを消費することは確かです。
認知リソースについて詳しくは以下のページで解説してますが、思考・判断・感情・自制心など様々なもので消耗します。

よくあるストレスでやけ食いしてしまうパターンなどは、この認知リソースのオーバーフローの典型例です。
習慣化のためには、日ごろから認知リソースはなるべく圧迫しないように注意する必要があります。

そこで最もシンプルな対策が、課題は1つに絞るということです。
スモールステップで始めるからと言って、貯金もダイエットも禁煙もなどと欲張ってはいけません。

考えること多すぎて疲れちゃうしね

ダイエットでも貯金でも複雑で細かい対策を沢山やるより、効果の高い方法に絞ってシンプルにすることが重要です。
あれもこれもと欲張ることで、わざわざ自分で生活上の注意点を複雑なモノにしてしまう必要はありません。
習慣化されてしまえばあとは自動操縦なので、そこに達してから次の課題へ、とここでも地道にかつ確実にスモールステップで進めていきましょう。

まとめ

行動を継続する基本となる習慣化のテクニックについて解説してきました。
色々紹介したのでここでまとめておきます。

①スモールステップ:小さなことから始める
②プレマックの原理:既に習慣化されてる行動の前に置く
③ハードルを減らす:肝心のとっかかりに入りやすくする
④エスカレーティング:脳を飽きさせないよう変化を加える
⑤課題は1つに絞る:認知リソースの分散を避ける

脳はエネルギーの温存のため、現状維持を好みます。
つまりダイエットや貯金を新しい行動、変化と脳に認識されないことが重要です。
皆モチベーション高く、最初からハードな目標を課してしまいがちですが、これはまず続かないことが分かります。
最初に紹介したスモールステップこそが習慣化の肝であり、他はオマケ的なテクニックと考えても問題ありません。
それくらい最初の水準というのは重要ということです。

同じ行動を66日、約3か月継続できれば習慣になると言われています。いきなり結果を追求してはいけません
「何キロ痩せる」とか「年間10万貯める」といった大きな目標を達成することより、まずは習慣になるまで継続することを優先しましょう。

こんなやることあって、しかも結果はまだまだ先なのか…大変

それだけ行動の変容とは大掛かりなモノということですが、産みの苦しみさえ超えれば後は自動操縦です。

ただ最初の項目でも紹介したとおり、脳は省エネだけでなく今の楽しみや快楽を優先してしまう性質を持っています。
第2の関門である現状維持バイアスは超えられても、現在を優先してしまう傾向は変えられていないのです。
そもそもここで紹介した習慣化のテクニックに馴染まない性質の目標もあるでしょう。
つまり習慣化だけでは対策としては不十分で、行動を継続するためには他にも様々な工夫が必要になります。
このことについてはこちらのページで詳しく解説してるので参考にしてください。

てなとこで。