【これ削らず貯金はムリ】ラテマネー消費をカットする方法|小さな消費こそ大問題児

家計管理や貯金術の話題では、最近はもっぱら固定費の見直しが人気です。
シンプルにムダはしっかり削りたいですし、毎月かかる費用なので手間に対して効果が長続きする点では効率的と言えます。
しかし固定費に当たる費目も金額も実は限定的で、大げさに喧伝されているほど劇的な効果は発揮しません

高度なテクニックというより基本中の基本だね

固定費を見直したのに家計の収支が思うように改善しない、貯金の余力が生まれないという人は大事な点を見逃しています。
このページでは、立派な浪費でもあるにも関わらず、支出管理・削減の対象になりにくいラテマネーについてその特徴、削減する方法について解説します。

1 家計に潜むラテマネーとは?

ラテマネーという言葉をご存知でしょうか?
近ごろ家計管理のポイントとして固定費に次いで注目されつつあるムダな消費の総称です。
「毎朝通勤時にカフェに立ち寄って買うラテ」がありがちで分かりやすいため、その語源となっています。
言うまでもなくこれはカフェのラテに限りません。ラテマネーの定義は以下のようにまとめられます。

・少額
・定期的に消費
・大きな喜びが伴わない

これらの特徴を持ってる支出に心当たりがいくつかあるんじゃないでしょうか?
このラテマネーが気付かない内に家計を圧迫しているのですが、多くの人はこれを削減することが出来ません。
その理由は以下の3つです。

①削減効果への疑問
②習慣化して認識されていない
③必需品に分類されている

1-1 削減効果が薄い

1つ目は非常にシンプルですが、削減効果があまり高くないように見えることです。
削減すべき固定費の代表であるスマホ料金の見直しなら、人によっては月に5~6000円の節約になります。
固定費の削減を実践できる人が少ないながらも存在するのは、この楽さがあるからです。
家計簿を見直す時も、多くの人が単価が高い項目などについ目が行ってしまうことと思います。

一方でラテマネーは1つの消費が数百円程度しかありません。
頑張って家計簿をつけてラテマネーを炙り出したのに、「たったこれだけ!?」というような金額でしょう。
固定費を削減する手間の軽さと節約できる金額の大きさに比べると、非常にコスパが悪い節約になりそうだと感じる人が多いわけです。

1-2 習慣になり気付かない

家計簿をつけてる人には関係しない原因ですが、そもそも支出してることをほとんど認識していないというケースもあります。
その原因が習慣化です。歯磨きや玄関の施錠がほぼ自動操縦であることから分かるとおり、習慣化した行動はほとんど意識されません
良い行動を定着させる意味で近ごろ人気の習慣化ですが、これが悪習に向くことを考えると諸刃の剣です。

そしてラテマネーは「少額で」「繰り返す」という習慣化の条件を上手く満たしています。
つまりその小さな浪費がほぼ自動で行われているということです。
また金額が小さく支出の痛みもない上に、大きな喜びなどの感情も伴わないため思い出にも残りません。
つまり思い返しても全く記憶に残っていないのです。当たり前ですが、見えないものを削減しようとは思えません。

因みに習慣化の仕組みやテクニックについて詳しくはこちらのページで解説しています。ぜひ良い行動に活かしてください。

1-3 必要経費になっている

これは家計簿で家計管理をしてる人にも関係するケースです。
支出を削る時の最も初歩的な方法は「①消費」「②浪費」「③投資」に分類し、浪費を削減するというものですが、この方法はあまり上手くいきません。
それは、この3つの分類に客観的な指標はなく、あくまで本人の主観に頼るからです。

中でも「①消費」と「②浪費」の境界は曖昧で、同じものでも判断する人によって答えが変わります。
そしてラテマネーは必要経費、すなわち「①消費」に分類されやすい傾向にあります。
日々その支出を繰り返すため、それが当たり前になってしまっているからです。「必要」と言われれば判断は甘くなってしまいます

さらに生活水準は上げるのは簡単ですが、下げるのは非常に困難なことも関係しています。
人間は失うことに敏感で、それは生活水準という漠然としたものでも変わらないからで、必要経費となれば尚更です。
心理学や行動科学の分野では、プロスペクト理論や保有効果として知られています。

2 ラテマネーを削減すべき理由

前の項目ではラテマネーの定義と、それが削減されにくい理由について解説しました。
ここでは、そんな様々な障害を越えてラテマネーを削減すべき理由について解説します。
その理由は大きく分けると以下の2点です。

①チリツモ
②放っておくと浪費が加速する

順番に解説していきます。

2-1 少額の積み重ね

固定費の削減の楽さと節約できる金額の大きさを知ってしまった人が、些末な浪費の削減効果に疑問を抱いてしまう気持ちは分かります。
しかし「塵も積もれば山となる」という言葉があるとおり、小さな浪費の積み重ねこそが家計を圧迫してる真犯人なのです。

固定費の削減で満足してる人は、部屋の真ん中に落ちていたペットのフンを片付けて家が綺麗になったと思ってるようなものです。
言うまでもなくそんなことをするのは当たり前で、決してそれを掃除とは呼びません。
固定費(フン)が転がってるのを放置できる人が異常にズボラなだけです。
本当に家を綺麗にしたければ、家具の下や隙間、棚の上など細かいところまでメンドウでも掃除する必要があります。

家計管理もそれと同じことで、真にスリムな家計にするためには細かいところに大量に潜んでいるラテマネーを地道にコツコツ削減しなければいけません。
まだまだいくらでも削る余地があるのにやらなければ、貯金が出来ないのも当然です。

2-2 これからの浪費増加を防ぐ

以下のページで解説してる通り、ラテなども含めた経験的な消費というのは本来なら非常に満足度の高い消費です。
しかし習慣になってしまえば当然のことになってしまいます。

またヘドニックアダプテーション(快楽適応)という性質によって、繰り返すほどに得られる喜びは低下していくのです。
ぼくからすると200円のコンビニのコーヒーですら高級品ですが、オフィスではみんな仕事の片手間に死んだような目で消費しています。

消費において満足度という視点は非常に重要です。
ほとんどの人は意識していませんが、お金を使う目的は満足度を得ることにあります。
習慣化してしまったラテマネーは、大きな満足度をもたらしてくれません。

こうなった時に人はどうするか?最も単純な行動はその消費量を増やすことです。
刺激が不足する度に量を増やしていく、薬物やアルコール依存と同じ発想、行動に陥ります。
またはコンビニのコーヒーを有名カフェチェーンの400円のコーヒーにグレードアップするかもしれません。
いずれにしても満足度の低い浪費を放置しておくと、より大きな浪費を生むことになってしまうのです。

3 ラテマネーをどう削るか?

ここまででラテマネーの特徴と、それを削るべき理由について解説してきました。
最後にその特徴を踏まえつつラテマネーを具体的にどうやって削るのか、その方法を解説します。

3-1 対策1.バッサリ切り捨てる

消費から得られる満足度を最大化するという倹約のマインドにおいては、ラテマネーは全て切り捨てるべきです。
さほど大きな喜びを提供してくれない対象から、十分な満足度を得ようとしたら個々は少額でも最終的には相当な金額になってしまいます。
端的に言ってコスパが悪い消費ということです。

とは言え、コスパの悪さを意識したところで完全にラテマネーを無くすことは出来ないでしょう。
それは生活水準の一部になってしまっているからです。既に解説したとおり、保有効果のせいで習慣・必要経費を削ることには大きな痛みを伴います。
お菓子もペットボトル飲料もレトルト食品もパンもなどと全ての浪費を一気に削ろうものなら、ストレスが溜まり反動で爆発するのは明らかです。

そのため現実的な対策として段階的に削っていくことをオススメします。
もちろん本気で蓄財、資産形成をしたいと考えている人ならいきなり全てのラテマネーをカットしてもOKです。

3-2 対策2.ゼロベースで積み上げる

要るモノ・要らないモノに分けて、要らないモノを削減していくという方法を取るのが一般的です。
しかしこの方法ではあまりラテマネーの削減が上手くいきません。

「必要ないな~」って思いながらお金を使うことなんてないからね

断捨離で「要るもの・要らないもの」分類をしてもあまり上手くいかないのとちょうど同じことです。
そこで発想を転換し、分類の仕方を変えてみましょう。具体的には「絶対に必要なもの」と「それ以外」という分別の仕方です。
これにより「いつか使うかも…」程度で「要らない」に分類されなかったものを捨てることができます。

出費も同じで、ラテマネーのようなものは「まあ…要らなくはないでしょう」と思いがちです。
そこでちょっと基準を引き上げて、本当に心の底から欠かせないと言えるものだけを残します。
徹底するなら「なぜ」必要なのかを明確に説明できることも条件にしましょう。
人間は単なる「欲しい」を「必要」にすり替えるのが得意だからです。
ここまで厳格に基準を作ると、ほとんど必須と言えるものが無かったことに気付けると思います。

このようにモノの断捨離と出費の断捨離は共通点が多く、「部屋が散らかってる人はお金が貯まりにくい」と言われるのにも一定の関係がありそうですね。

もっと直球に言えば、モノを捨てられない人は「貧乏性」って言われるしね

3-3 対策3.ボリュームを下げる

バッサリ切り捨てるのに比べると、ややマイルドな対策ですが、これでも実践できないという人がいます。
よほどラテマネーが生活に染み着いてしまっているのでしょう。

「本当に必要か?」という判断基準は「0か100か」という極端な選択肢しかなく、ショック療法には変わりありません。
そこで削減できなかったラテマネーに対して次に実行してほしいのが「0と100の間」の選択肢です。
すなわち支出のグレード、数量、頻度などを少し下げてみることを考えます。
ラテマネーが生じた経緯(習慣化のメカニズム)と逆順を辿って、段階的にショックを与えないように無くしていこうって戦略です。

基本的にラテマネーの支出の大きさは 価格 × 数量(頻度) です。
つまりこのどちらかを下げるだけでも支出額は小さくなっていきますし、完全カットにもなりません。
見直すポイントや見直し方の例として以下のようなものがあります。

・ビタミンが大事だからと毎日食べてるフルーツ。実はそんなに効果を実感していない。
・ハイグレードなエクストラバージンオリーブオイルを買ってるけど正直違いは分からない。
・擦らなくていい洗剤を買ってるけど、正直大して楽になった実感はない。
・高級化粧品メーカーの化粧水や乳液、美容液を使っているがあまり肌質は改善していない。
(ちなみに化粧水は肌のコンディショニングに不要)
などなど

よく考えると単に習慣になって止められなくなってるだけで、安い代案や実は無くても大して変わらない出費もあるんじゃないでしょうか?
ぼくは普段から支出が少ないので、少ない経験を基に絞り出したほんの一例に過ぎません。
もっと支出の多い人ならちょっと見直しただけで、こういう出費が出てくるはずです。
ボリュームを下げていく過程で「そもそも要らないかも」と思い始めるので、そこまで来たらストレスなく削れます。

頻度を下げることには、ありがたみや喜びという出費によるインパクトを大きくする効果もあります。
得られる満足度を増やそうとして消費量をより増やしてしまいがちですが、これは逆効果。
本当に効果的な対策は減らすことです。
頻度が減ることで「いつものラテ」が「ご褒美のラテ」に変わり、味わい方も満足度も格段に改善し、少量で満足するからさらに量が減るという好循環に入ります。

まとめ

ラテマネー的な支出の削減方法について解説してきました。
少額で習慣化してしまった消費は家計のありとあらゆる隙間にゴキブリのように潜み紛れ込んでいます。
味方なら心強い習慣化も、浪費のような悪癖と結びついてしまえば厄介な敵です。

捨てられないかを問うことから始め、それで削れないなら本当に必要なものだけをピックアップする方法で検討します。
しかし習慣化したものを切り捨てるのは簡単じゃないので、習慣化したのと逆の行程をたどって徐々に減らしていく方が現実的です。
頻度やグレード・価格を下げるとこから始めて、最終的にはゼロにできるのが理想だと思います。
家計改善に欠かせないキーワード「聖域なし」を念頭に隈なく見直し、健全な消費体質を手に入れましょう。

このページで幾度となく登場した満足度という視点は蓄財において非常に重要なポイントです。
単なる節約と倹約を混同してる人も多く、その区別も重要なので、こちらのページもご覧ください。

てなとこで。