倹約と節約は違う?|浪費の原因と賢い消費に必須のマインド【目的は満足度】

皆さんは「お金を貯める方法」と聞いた時、どんな手段を思い浮かべるでしょうか?
貯金は収入から支出を引いた残りなので、収入を増やす支出を減らすかのいずれかしかありません。
収入の増加を自在にコントロールできる人は少ないので、たいていの人が選択するのは支出のカットです。
なので日ごろから節約や倹約を心掛けることが、身近でかつ現実的な対策と言えます。

支出の最もポピュラーな分類は「①消費」「②浪費」「③投資」の3つです。
そしてこの中でも最低限のレベルまで削りたいのが「②浪費」でしょう。
しかし削りたいと思っていてもなかなか削れないどころか、繰り返してしまう人が多いのが現実です。

このページでは、浪費を繰り返してしまう原因とそれを解消するために必要なマインドについて解説します。

1 浪費対策に必須のマインドとは?

浪費を無くす上で必須のマインド・考え方の基礎、それが「倹約」の精神です。
これを身に付けていないことが浪費を繰り返す最大の原因と言えます。
そもそも多くの人はこの倹約と節約の区別から出来ていません。混同している人がほとんどです。
言葉のイメージは非常に似ていますが、これらの2つは本質的には全く異なります。

認識してる人はほとんどいないと思いますが、お金を使う目的はその対象から満足度を引き出すことです。
そして同じ金額を使うなら出来るだけ大きな満足を、そして同じ満足を得るなら出来るだけ少ない金額で得る方が良いでしょう。
この満足度の視点でコスパを考えるのが倹約の基本的な考え方であり、このことを知らないことが浪費の最大の原因です。

これは食べ物に喩えると分かりやすくなるかもしれません。
浪費を繰り返している人は、さして美味しくない食べ物をお腹いっぱいになるまで食べてる状態です。
十分すぎるほど食べていますが、心が満たされてないので冷蔵庫を漁って夜中までダラダラとジャンクフードを食べてしまいます。
まさにスリム家計の反対を行く肥満体質の家計です。
因みにこの浪費の典型がラテマネーであり、そのことについてはこちらのページで解説しています。

一方で倹約は美味しい食べ物を適量食べることであり、心が満たされるので、余分に欲しいとは思いません。
そのため、体型と同じように家計もスリムになります。

因みに節約を食べ物で喩えると、お腹が空くのも我慢してほとんど食べずに生活することです。
こう考えると節約と倹約が全く違うことも、無理を強いる節約が続かない理由も分かりやすいでしょう。

同じ1万円の消費でも、満足度を50得られるモノに使えば100の満足を得るのに2万円しかかかりません。
しかし20の満足しか得られないモノに使ってしまうと、100の満足を得るために5万円も必要になってしまいます。

また5000円で5の満足を得られる商品と50,000円で100の満足が得られる商品があった時、値段を基準にする人は前者を選ぶでしょう。
しかしこれに50,000円使ったとしても、50しか満足度を得ることが出来ません。
値段が高い方が正義ということではなく、満足度を基準に選ばないと結果的に損をするってことです。
そしてこのような支出対象を見極める能力の差が貯金できるかできないか、家計の健全性の差を生み出します。

つまり満足度のコスパの高い消費対象にお金を使うことが賢い消費、すなわち倹約ということです。
多くの人はまずこの基本中の基本を押さえることから始める必要があると思います。

2 満足度を高める消費を知らない

前の項目で解説したとおり、消費の効果を満足度で計るということがそもそも出来ていません。
それはまるで、巨大な迷路の中にいること自体に気付かずに歩いているようなものです。
消費の失敗(=浪費)という行き止まりにほとんどぶつからずにゴール出来る人も中にはいますが、それは本当にたまたま。
何をすべきかも知らないまま歩いて、満足感というゴールと余ったお金の蓄財という賞金に到達することはまず出来ません。

因みにただひたすらに節約して貯金し続ける人は、迷路の中で一歩も動かない人です。
浪費という行き止まりにぶつからない代わりに、満足度や幸福といったゴールに辿り着くこともありません。
大事なことは満足感を得ることがゴールであることを知り、最短でそのゴールに到達するための方法を知ることです。

最も簡単な方法は科学的に実証された満足度の高いお金の使い方を知り、実践することです。
これについてはこちらのページでまとめて解説しています。
全てに満遍なくお金を使う必要はありません。
自分が理解できそうな項目、予算に合った項目から少しずつ試していき、その効果を実感しましょう。

ただし科学的に実証されている効果的なお金の使い方は、ぼくたちの凡人が大好きな物質的な消費がほとんど含まれていません。
モノ消費と言われるお金の使い方は、あまり満足度が高くなく、その効果も持続しないというのが一般的です。
多くの人はその事実を知らず、もっと使えばもっと幸せになると信じて、効果の薄いモノ消費を続けてしまいます。
しかしモノ消費が全く満足を生まないわけではなく、工夫次第で満足度を高くかつ持続させることが可能です。
そのことについてはこちらのページで解説しています。

現実の消費においては前の項目で用いたモデルケースのように満足度を数値化して考えることは出来ません。
そのため厳密な比較は出来ないでしょう。
ただし1つだけポイントを伝えるならば、金額を選択の理由には加えないということです。
値段が満足感を与えてくれるのは買ったその瞬間だけであり、例え少額であってもその支出をムダにすることになります。

「この服6割引きで買えたんだよねー最高!」なんて着る度に思わないもんね…

3 満たされてることに気付く

どのような消費が満足を与えてくれるかを紹介しましたが、1つ注意しておくべきことがあります。
それが、多くの人が既に十分な満足を享受しているはずだということ。
そしてお金を使うことによってその満足度を逆に薄めることになる可能性があるということです。

3-1 「足るを知る」の精神

浪費問題に対するシンプルな処方箋は「足るを知る」。つまり既に満たされていることに気付くということです。
この考え方は倹約のマインドに非常に親和性があります。

人はどうしても新しく何を買うか、お金を何に使うかという方に意識が向いてしまいがちです。
しかし一度冷静になって振り返って見ると多くの人はこれ以上お金を使う必要がないほど十分に満たされています。

何か欲しいと思った時やショッピングに出かける時は、その前に家の中やクローゼットを見回しておくようにしましょう。
既に自分が持っているものを認識することで、物欲に支配されず冷静に判断できるようになります。

似たようなモノの重複買いも防止できるしね

また既にあるモノの価値を再認識するというのも非常に重要なことです。
持ってるモノを認識するという視点からさらに一歩進んだ考え方であり、実践することで持ち物に対する満足を喚起することにも繋がります。

具体的にはアクセサリーを磨いたり、服の色んなコーデを試したり、家具のレイアウトを変えてみたりといった感じです。
このように個々に注目することでフォーカシングイリュージョン(焦点効果)が働き、満たされていることをより実感しやすくなります。

3-2 断捨離が貯金に繋がる理由

とは言えこれらの把握や価値の再確認ができない人が非常に多いのが現実ではないかと思います。
何故ならほとんどの人が自分の把握できる範疇を超えて、あまりに多くのモノを持ちすぎているからです。

多量のモノに囲まれていては個々に意識をフォーカスする余裕は無くなってしまいます。
全体を見渡そうとすれば、引きで見るしかないので、1つ1つは米粒みたいに見えてしまうでしょう。
これでは価値を見出すどころではありません。
満足度の高い消費だったとしても、それで自分の持ち物が今まで以上にぼやけて見えるようになってしまっては本末転倒です。

そこで登場するのが近ごろ流行りの断捨離やミニマリストといった、モノを減らしたシンプルな生活です。
本格的なミニマリストまで徹底する必要はありませんが、少しでもモノを減らすことを考えてみましょう。
最初に紹介した持ち物の見直しも、覚えておけないほどモノを持ってなければ最初から必要ありません。
こういった生活でお金が貯まるようになると言われるのには様々な理由がありますが、満たされた現状を再認識しやすくなることも関係してるとぼくは考えています。

まとめ

お金を貯めるために節約よりも重視すべき倹約の概念について解説しました。
ただケチケチと出費を片っ端から削るガマンを強いるのではなく、自分の満足度を最大化してくれるものには優先的にお金を使う
そしてあまり満足度に寄与しない項目はカットしたり最低限に抑えること、このメリハリこそが本当の倹約です。

本文中での例のように完全に数値化できるわけじゃないので、二者択一のアンサーにはなりませんが大きなヒント・基準にはなると思います。
ただし自分が消費から得る満足度を正確に把握するのは簡単なことではありません。
まずはエビデンスベースから始めるのがオススメです。

また新しいものを買うのではなく、既に持っているモノに目を向け、その価値を再認識し直すこともしましょう。
魅力が薄れているわけではなく、モノが多すぎてその存在や価値を明瞭に見られてないだけということも往々にしてあります。
そのため、満足度の高い消費をするよりむしろ認識しやすいようにモノを減らすべき人の方が多いはずです。
価値を見出せないものはフリマアプリなどで処分し、残ったものの解像度を上げる工夫をしましょう。

倹約は支出を適正にコントロールする有効な方法ですが、その他にもポイントはあります。
詳しくは物欲対策について解説した以下のページをご覧ください。
てなとこで。