【デフォルトモードネットワーク】無意識が生むアイデア・創造性|何も考えない時間が実は重要な理由

皆さんは1日の中でボーっとする時間があるでしょうか?
仕事に家事に忙しい日常にあっては「ボーっとしてる暇なんかあるか!」という人は多いと思います。
一方で意識せず気付いたらぼんやりしてることが多く、何となく時間をムダにしてしまったと自己嫌悪に陥ってる人も結構いるかもしれません。
このようにボーっとすることにあまり良いイメージを持たない人は多いと思います。

しかしムダに感じてしまうこのボーっとする時間にも重要な意義があり、この時間を軽視していると頭の働きを落としてしまうかもしれません。
そこでこのページではボーっとする時間を設けることの有用性について解説します。

1 現代人はインプット過多

現代人は日ごろから非常に膨大な量の情報に触れていますが、このことをあまり意識できていません。
これは能動的に勉強したり読書して得た知識だけでなく、SNSなどのメディアや広告などの質の低い情報なども含まれます。
しかしこうして触れた情報や知識がそのまま全て脳の長期記憶として吸収されるわけではありません。

脳にはワーキングメモリと言われる短期的な情報の処理をする脳内の作業机のようなものがあり、入ってきた情報はまずこの脳内の作業机に置かれます。
そこで整理・取捨選択・繰り返しの使用などのプロセスを経て必要と判断されたものだけが長期記憶という名の物流倉庫に移行するのです。

インプット過多による問題は大きく分けると以下の2つです。

①整理が進まない
②作業机のオーバーフロー

脳がマルチタスクを熟すことが出来ないことはよく知られています。
そのため情報の入力が行われている最中に、同時に情報を整理することはできません。
インプットを継続するということは、整理する間を与えず作業机の上にただひたすら新しい書類を放り投げていくようなものです。

まるでムチャブリ上司だね

また脳のワーキングメモリは非常に容量が小さく、平均的な人は同時に3つのことしか留め置けないと言われています。
つまり多量に情報が放り込まれていくと、机の上がいっぱいになってしまい、整理する間もなく零れ落ちてしまうのです。
インプットを止める時間を作ることで、こうした情報や知識の整理を行う時間が生まれます。

2 無意識の力

アイデアを出そうと缶詰になったり、「これからブレストするぞ!」と意気込む人が多いですが、実はあまり上手いやり方ではありません。
学生時代の勉強の癖で、何か考える時は机に向かうというのが無意識に習慣化されてる人も多いと思います。
しかし実は意識下よりも無意識化の方が非常に膨大な情報を扱えるのです。

脳科学で度々登場するデフォルトモードネットワークという言葉をご存知でしょうか?
これは思考などをしない安静状態において脳内で観測される神経活動のことです。
この状態でしか活性化しない脳領域があり、相互の繋がりを深める上で非常に重要と言われています。

集中して勉強などをするよりも、このデフォルトモードネットワークが活性化してる時の方が圧倒的に多くのエネルギーを消費します。
これは無意識がより多くの情報をやりとりする高度な処理をしてることの証拠と言えるでしょう。
熟慮の末に出した結論より直感の方が良い結果に結びつきやすいのも、判断材料にできる情報の量が圧倒的に多いからと考えられます。

「アイデアを出すぞ!」と意識的になることは、脳内で作業する人をワーキングメモリというデスクに縛り付けるようなものです。
ここで使える情報は目の前の小さなデスク上に置かれた直近の情報や知識のみ。
しかし無意識になれば彼をデスクから自由にし、多量の記憶が保管された物流倉庫の中をうろつかせることが出来ます。
そういう中で様々な情報の間の結びつきを作り、アイデアの断片をアウトプットしてくれるのです。

3 無意識を有効活用するための工夫

無意識になることでインプットを止めて整理する時間を作り、かつそれらの結びつきからアイデアを作ることが出来ると解説しました。

ボーっとしてても浮かんでくるのはくだらないことばっかりだけど…

こういう人も多いんじゃないかと思います。
「AとBどっち買おうかな」とか「昨日の○○さんとのやり取りで言い方きつかったかな」とか、必ずしも有用な思考とは限りません。

無意識になることで長期記憶の倉庫の中を散歩させられると言いましたが、倉庫には非常に膨大な情報が格納されています。
そのため散歩に行った結果、必ずしもアイデアに繋がる記憶のコーナーに立ち寄るとは限らないのです。

人間の脳の記憶容量ってその辺のパソコンのストレージなんか目じゃないくらい大きいらしいよ

では脳の中の彼の気まぐれに任せるしかないのかと言うと、実は見てきて欲しい情報を優先的に見させる方法があります。
それがコミットメントやアファメーションのように目標を口に出すことです。
脳には確証バイアスやカラーバス効果に見られるように、自分にとって都合の良い情報に目が向きやすい性質があります。
それは外界の情報だけでなく、自分の中の記憶についても同様です。
つまり脳に「今の自分にはこれが必要だ」と思わせれば、その記憶が保管されてる辺りを優先して見に行ってくれるということ。

具体的なアウトプットがある方が脳が認識しやすいので、目標をコミットしたり、毎朝口に出すアファメーションなどが有効でしょう。
特に書いた目標などを声に出すことは、見る、話す、聞くの3つのルートで脳を刺激するので特に有効です。
コミットメントのメリットについて詳しくはこちらのページで解説しています。

4 ボーっとするのに適したタイミング

ここまでボーっとすることの必要性について解説してきました。
しかしただボーっとすればいいというわけではないことには注意しましょう。

インプットが基本 能動性が重要

どんなに高性能な記録装置でも、0から1を作ることはできません
つまり良質なインプットは不可欠だということです。
個人的に最も有効だと思うインプットはやはり本だと思います。
闇雲に読んでも良いインプットにはならないので、どのように行うかもしっかり押さえておきましょう。

また「気付いたらボーっとしてた」というのはあまりオススメできません。
インプットにひと段落ついたところで、能動的に思考を止めるというメリハリが重要です。
最後にアイデアが降ってきやすいボーっとするのに適したタイミングを3つ紹介します。

4-1 創造性の4B

アイデア出しで非常に有名な創造性の4Bというものがあります。
これはアイデアが降ってきやすい4つのBから始まるタイミング・環境のことです。
その4つのBとは具体的には以下のとおり。

①バスルーム(トイレも?)
②バス(電車を含む移動中)
③ベッド
④バー(多分1人でいないとダメ)

ぼくはお酒を飲まないので最後のバーは経験がありませんが、その他はいずれもアイデアが降ってきた経験があります。
皆さんも少なからず経験があるんじゃないでしょうか?
現代人はこうした環境でも暇さえあればすぐにスマホを開いてしまいますが、あえて何もせずボーっとしてみることをオススメします。

4-2 ポモドーロテクニックのインターバル

ポモドーロテクニックとは、タスクへの集中レベルを上げる非常に有名なメソッドで、詳しくはこちらのページで解説しています。

テクニックの概要をザックリ解説すると、短時間の作業時間と短時間の休憩時間を繰り返すものです。
休憩時間は大体3~5分程度なので、何をするか困ってしまう人もいると思います。
何か他の作業をするには短すぎるし、だからと言って何もしないというのも落ち着かないでしょう。

スマホなんかいじってたらタスクに戻れなそうだしね

手持ち無沙汰だって人はこのボーっとする時間に充ててみてはどうでしょうか?
数分という短い時間はボーっとするのにちょうどいい長さだと思います。
今まさに勉強してたことの知識の整理もできますし、非常に効率的です。

4-3 集中できない日

集中するための方法・テクニックについてのページの最後に、「諦めも肝心」ということを解説しました。

誰しも集中しにくい日というものはあるもので、そういう日に無理して集中しようとするとこれまで作った環境などをダメにしてしまうというものです。
そんな日は潔く諦めるようにすることをオススメします。
スマホやテレビ・映画などを眺めてダラダラ過ごしたり、友達と出かけてパーッと気分転換するのもたまにはアリかもしれません。

ただこういう日は目を閉じて思考を整理する時間も設けるようにすると良いと思います。
こうしてるうちにアイデアが降って来て、作業を進めるモチベーションが上がり始めるかもしれません。
ずっとやる必要はないので、映画と映画、番組と番組の合間とかだけでも無になる瞬間を作りましょう。

まとめ

ボーっと無意識になる時間を設ける意味について解説してきました。
脳内の情報を整理し、定着させ活用するためには定期的にインプットを止めなければいけません。
真面目でモチベーションが高い人ほど止まることが苦手ですが、止まらないことが逆に後退になる場合もあることを覚えておきましょう。

無意識になることで、記憶に保管された情報との関連付けが行われ、新しいアイデアを生み出すことにも繋がります。
ボーっとすることは停滞ではなく前進です。

もちろんそれなりのインプットありきの話だけどね

家事など別の作業をしてる内にアイデアが降ってくることもありますが、なるべく手を止めて無になることをオススメします。
というのも、既に解説したとおり脳はマルチタスクが出来ないからです。
運動に真剣に打ち込んでる時に不安やストレスを忘れられるように、手を動かしてると脳内の作業はあまりスムーズには進みません
紹介したタイミングなどで完全に手を止め能動的にボーっとする時間を作るようにしましょう。

解説を見る中で、普段フッとアイデアの断片らしきものが降ってきた経験が思い起こされた人もいると思います。
そういう個人的な経験やマイアイデアタイムも重要なので、ここで紹介したものに拘らず、パーソナライズされた時間も大事にしてください。

言わずもがなですが、アイデアを生み出すには無意識になるだけでは不十分です。
アイデアを形にするための思考プロセスについてはこちらのページで解説しています。参考にしてください。
てなとこで。