【サブスク全盛】モノを所有することはデメリットだらけ

資産は持たずに借りるサブスク

一昔前の価値観ではマイホーム・マイカー、キャンプや釣り、スキーといった趣味の道具など自分で所有したいと考える人が多くいました。
しかし最近では徐々にモノを持つことに価値を見出す人が少なくなっています。
そもそも所有するのに必要なまとまったお金を用意できない人が多く、諦めているという現実もあるのでしょう。

そんな人にとっては朗報(?)です。
モノを持つことにはほとんどメリットはありません。むしろ持つことにはデメリットの方が大きいです。
このページではモノを持つことのデメリット、非効率性について解説します。
モノを持つことのデメリットは具体的には以下の3つです。

①流動性リスク ②行動制限 ③反生産性 ④貧困ループ

所有のデメリット① 流動性リスク=簡単に売れない

モノを持つことの最大のリスクは流動性が低いことです。
流動性とは簡単に言えば、売ったり買ったりといった換金のしやすさのことを言います。

特に家や車は買った瞬間から価値が下がるので、こちらが売りたいと思っている価格ではなかなか売れません。
そもそも冒頭でも書いた通りモノを所有することに価値を見出さない人が増えてきています。
これに人口の減少が重なり、そもそも買い手の候補が昔ほどいないのです。

そして不測の事態が起きた時にも手放せない所有物が多いほど、失うものも多くなります。
地震、台風、津波、ゲリラ豪雨、土砂崩れ、増水・氾濫と、山でも川でも海でもリスクはつきものです。
完璧に安全が保障された場所なんて存在せず、何かあった時に自分は逃げられても家や車は逃げられません。
その点、借家なら転居だけで済むのでダメージも限りなく小さくすることが出来ます。

所有のデメリット②行動の制約・貧乏性

モノを所有することのデメリットの2つ目は行動の制約がかかってしまうことです。
1つ前の災害の事例にも通じますが、モノを持つほどにフットワークが重くなります。
災害ほどではありませんが、ご近所トラブルや子供の独立でオーバースペックになったりしても簡単には変えることができません。

またモノを持っていると、最大限に活用しないと勿体ないという貧乏性も発症しやすくなります。
モノの購入には大きなお金がかかり、たった数回しか使わなければ1回当たりのコストが膨大になってしまうからです。
そのコストを下げようとすれば最大限に活用すれば、おのずと行動範囲・選択肢は狭まってしまいます。

駅までの送り迎えや近くのスーパーにちょっとした買い物に行くだけでも車を使ってしまう人が多いようです。
新幹線や飛行機を使えばもっと色んな所に出掛けられるのに、車での移動が行先の前提になってしまうケースもあります。

最近はこんな成金趣味の人も少ないと思いますが別荘も典型例で、長期休みの度に別荘に行くような習慣がついてる人もいるかもしれません。
しかし限られた時間やお金を使って毎回同じところに行くなんて正直つまらないです。
別荘の取得、維持にかかる費用まで冷静に考えると、毎年高級ホテルに何泊しても圧倒的に安く上がり、かつ新鮮な経験ができます。

キャンプやスキーなどの趣味の道具も一式揃えちゃうとそればっかりしか意識が向かなくなる点では考え物です。
それ以外が趣味になる余地が無いという人なら持った方が効率的です。
しかし浅く広く多くの経験をして知見や視野を広げたいと思う場合は合理的な選択じゃありません。

所有のデメリット③ 生産性が低下する

モノを持つことは持つ前より生活を便利にしてくれるように思えます。
家や車だけでなく日常の便利グッズやガジェットなんかも同じような期待を抱いていることでしょう。

しかし忘れてはいけないのが、モノが増えることによって発生するコストの面です。
これは購入するためにかかったお金だけじゃありません。
その他にも時間や手間、ランニングコストや思考力のロスも含まれます。

・災害などでモノを失うことに備える保険料
・ガソリン代や車検費用、洗車の手間やコスト、渋滞にはまっている時間のロスなど
・税金や補修費用、郊外からの通勤にかかる時間的ロスなど
・多くのモノを管理するための空間のコスト、整理整頓の時間
などなど

非常に面白い試算があって、車を持ってる人だけに生じるコストを差し引くと、移動の平均時速は約6㎞と言います。
これは早歩きと同じくらいでママチャリの半分以下のスピードしかありません。
移動に便利だからと大金をはたいて買ったはずの車が早歩き程度のパフォーマンスしか発揮しないなら果たして必要でしょうか?

また慎重な買い物のために色んなショップやセールのタイミングを吟味したりと、モノの所有には思考力も浪費します。
モノが多過ぎて部屋が散らかっていれば、それだけでも判断力はどんどん失われていくのです。

このように生産性を意識して買ったモノが、余計なコストを生み出すことで逆に人生全体の生産性を低下させてしまう現象のことを反生産性と言います。
生活が便利になる、豊かになる、と思って購入するそのモノにかかるコストは、そこについてる値札の金額に止まらないというコトは覚えておきましょう。

所有のデメリット④ 消費を繰り返す

経験が狭まったりお金がかかっても幸せになるならそれでいいんじゃない?

このように満足感や安心感といったことをモノを所有することのメリットに数える意見もあります。
しかし残念ながらモノの所有によって人生の満足度は向上しないことが研究で明らかにされているのです。
満足感にモノが影響したのは、注意を家や車に向けさせられた時だけでした。

買った当初は意識がそのモノに向きやすいので気持ちの高揚をもたらしてくれるでしょう。
しかしその効果は長続きしません。
慣れて日常に溶け込んでしまえば自分が高級車に乗ってることや住んでるのが豪邸であることを意識することはなくなります。
むしろ渋滞や掃除の大変さなどマイナス面ばかりが目に付くことの方が増えるでしょう。

モノではないですし例えも悪いですが、「不細工は3日で慣れる。美人は3日で飽きる。」と原理は変わりません。
結局いいことも悪いことも時間の経過とともに標準化されて全て平凡に思えるものです。
これは行動科学の分野ではヘドニックアダプテーション(快楽適応)と言います。

モノの所有から幸福度を得ようとするなら、高揚感が消える度に新しいモノを買わなければいけません
こんなのお金がいくらあっても足りない沼のような無限ループです。

結論:サブスク・レンタルで良くない?

ここまで説明すれば、わざわざ自分でモノを所有することはデメリットだらけということが分かるでしょう。
サブスクやレンタルサービスがどんどん拡大しているので、持たずに済むモノは持たない選択を積極的に採用することをオススメします。
イチから道具を集めるとお金がかかるキャンプとか登山とかはもちろん、自前で持つのが当たり前な洋服も最近じゃレンタルで済ます生活が浸透してきています。
空調で有名なダイキンはエアコンのサブスクリプションも始めたようです(2022年時点)。

服好きとしては「服だけは別!」って思ってしまいます。
しかし数千~数万円で買って飽きるまでに着る回数考えたら、コスト面ではレンタルした方が効率的なのかもしれませんね。
定価で買って使う回数で割り返すと1回当たりの料金って結構高くなることが多いんです。

服はまだ安いですが、家や車など導入費用が高くて手が出せないモノは特にサブスクのメリットが大きいと言えます。
少額の利用料で使用できるので、まとまったお金が貯まるまで待ったり、ローンというリスキーな負債を抱える必要もありません。

サブスクサービスで1つ気を付けるべきことは、それが生活の一部になってしまうことです。
自分の生活の一部に溶け込んでしまうと取り除くのが非常に難しくなります。
月々の利用料が少額なので「削ったところで節約効果が薄い」と見過ごされることも多いです。
必要な時に必要なだけ利用して、要らなくなったら簡単に手放せるというのがメリットなので、その利点を殺さないように注意しましょう。

まとめ

モノを持つことのデメリットとサブスクリプションを活用した生活について解説しました。

モノを持つことほどに行動がどんどん制約されフットワークは悪くなっていきます。
所有に拘る人はいずれ抱えきれないほど多くのモノを抱えて一歩も動けなくなってしまうでしょう。

また有効活用して生活がより良くなることを期待してモノを買うわけですが、それに付随して余計にお金を稼ぐ必要になった結果、人生全体の生産性が低下してしまいます。
買ってからもお金や時間、労力などを食い潰していくモノではないか、冷静に考えるべきです。

そしてモノを所有することで人生の満足度がアップするというのも幻想です。
むしろそんな期待を抱いてモノを買うほど大きな裏切りに合い、「次こそは」と消費を繰り返して裏切られ続けていきます。
言うまでもなくお金もどんどん失っていきます。

少額で必要なタイミングで必要なだけ消費するレンタルやサブスクを基本にすれば、こうした問題は生じません。
身軽に色んなことを楽しんで、本当の人生の満足感を得ることが出来ます。
とは言えサブスクにも問題点はあるので、付き合い方には注意しましょう。

てなとこで。

参考文献

エリザベス・ダン/マイケル・ノートン(著) 角川書店