経済的かつ効果的なストレス解消法9選|リフレッシュは解決策にはならない

皆さんは自分なりのストレス解消法を持ってるでしょうか?
買い物をしたり、旅行に行ったり、美味しいものを食べに行ったりと人それぞれだと思います。
しかし多くの人が効果のあまり高くないストレス解消法を実践しているのが現状です。

それは何より本当に効果的なストレス解消法を知らないことが原因でしょう。
中には偶然にも効果的な手法を採用できてる人もいますが、改めてその作用メカニズムなどをしっかり把握することも重要です。
プライミング効果と言って、効果やその理由について知ることにより、その恩恵を充分に享受できるようになるからです。

このページでは本当に効果的なストレス対処の方法・テクニックを幅広く紹介していきます。
全てを実践しようとする必要はないので、無理なく生活に取り入れられるものから試してみて下さい。

1 ストレスを放置することの問題

ストレスとは脅威に対する防衛本能であり、集中力を上げて感覚を研ぎ澄ます働きがあります。
適量なら問題ないのですが、多くの現代人は明らかにストレス過多です。

過剰なストレスを解消する意義を見出せない人などいないと思いますが、改めてストレスの問題点を解説しておきます。
手っ取り早くストレスに対処する方法だけ知りたい人は読み飛ばしてください。
身体面・精神面の両方に影響を及ぼすので、この2つに分けて解説します。

1-1 ストレスが身体の健康に及ぼす影響

ストレス(脅威)を感じると体内では副腎皮質からコルチゾールという闘争逃走本能に関わるホルモンが分泌されます。

読んでそのまま、逃げるか戦うかってこと

脅威に対していずれかの手段を取るための準備として、血圧・血糖値を上昇させ、活動のためのエネルギーを供給します。
一時的なストレスに対処するなら問題は無いのですが、問題はストレスの長期化、慢性化です。

常に高血圧の状態が維持され、かつ供給された血糖は実際には使われることなく余るので肥満に繋がります。
また血圧・血糖値の上昇は覚醒作用があり、入眠に逆行するものです。
つまりコルチゾールの分泌が続くと睡眠の質が低下し、悪くすると睡眠障害になるリスクもあるということです。

さらにコルチゾールは腸に作用し、一時的に免疫力を落としてしまうので、体調不良のリスクも高まります。
「風邪を引くくらい」と甘く見る人が多いですが、風邪は苦痛以外の何も生まず、思考・行動など人生の効率を落とす最悪のものです。
最終的にはコルチゾールを分泌し続けた副腎皮質が疲労に陥り、必要な時に必要なホルモンが分泌されなくなる危険があります。

1-2 ストレスが心の健康に及ぼす影響

負の感情は認知負荷が高いので、ストレスが初期に起こす問題は認知リソースの不足による思考力の低下です。
ストレスで認知リソースを減らさないことはもちろん、逆に認知リソースを有効活用してストレスに適切に対処する必要もあります。

ずっと思考の一部をストレスの対象に占拠されるため、本来の完全な思考パフォーマンスが発揮できなくなります。
パフォーマンスの低下で仕事や日常のミスが増加すれば、それがさらにストレスの原因となる悪循環に陥りかねません。

また睡眠が十分に取れない結果、ストレスを含めたネガティブな記憶の整理が進まず、脳内に残り続けるという悪循環にも陥ります。
思考力の圧迫が悪化して前頭葉の働きが鈍ると思考の切り替えが難しくなり、いつまでも同じ思考の檻に閉じ込められてしまうのです。
この抜けられない負の思考のループこそが鬱病の原因です。

脳科学的で保続とか反芻思考って言われる現象ね

またコルチゾールの分泌が慢性化すると脳の海馬を委縮させる点も問題です。
海馬は記憶を掌るだけでなく、ストレスを緩和する働きもあることが分かってます。
萎縮によって海馬の機能が低下すると、記憶力が低下すると同時にストレスマネジメントが出来なくなってしまうということです。

2 効果的なストレス対策とは?

このようにストレスを放置しておくと、いずれ心身の両面に重大な問題を引き起こしかねません。
冒頭でも触れた通り、多くの人はストレスに対処する必要性は認識していますが、その方法が間違っています
買い物や食べ物のようなストレス解消法はその効果があまり高くなく、しかも持続もしません。

そのためこうしたストレス解消を頻繁に繰り返すことになりますが、それでは経済的な負担が過大になってしまいます。
ストレス解消に使うためのお金を稼ぐためにストレスの溜まる仕事をしているとしたら本末転倒です。

絵に描いたようなマッチポンプだね

ストレス解消法としては簡単で余計なお金をかけることなく、効果が大きくかつ長続きする方法を実践する事が合理的と言えます。
以下ではそうした心理的・脳科学的・そして経済的に効果が高いと思われるストレス対処のテクニックを紹介していきます。

①運動 ②自然 ③まとめる ④睡眠 ⑤起床方法 ⑥マインドフルネス ⑦ユーモア ⑧自己中心

対策1 運動はやはり万能薬

運動の効果は身体面の健康に限りません。
中でも特に下半身を大きく動かす運動には血流を促し、前頭葉を活性化する効果があります。
前頭葉は思考や気持ちの切り替えに作用するため、ストレスやその対象についていつまでもクヨクヨ悩み続けることが無くなります。

運動したら余計にストレスかかってコルチゾールが出るんじゃ…

確かに身体に負荷がかかる上に活動エネルギーが必要になるため、運動をすると体内でコルチゾールが分泌されます。
しかし運動でコルチゾールの分泌を促すことが、ストレス耐性の強化に繋がるのです。

運動を終えると徐々にコルチゾールレベルが下がっていき、また運動をすることでコルチゾールの分泌は増えます。
この行程を繰り返しているうちにコルチゾールの分泌が増えにくく、かつ下がりやすくなっていくのです。
そして運動以外のストレスがかかった場合でも同様の反応をし、コルチゾールレベルが低く抑えられるようになります。

もちろん運動と言ってもハードなモノである必要はありません。ウォーキングやジョギングでも十分な効果が確認されています。
運動に限らずガッツリまとめてやるより、長く続けられることの方がストレス対処という視点では重要です。
なお筋トレにもストレス対処を含め、様々なメリットがあります。こちらも参考にしてみてください。

対策2 自然に触れる

木、草、水、土など自然にはストレス解消作用があると言われており、それには恐らく1つ抗酸化が関係しています。
抗酸化とは簡単に言えばフリーラジカルを安定させるための電子を体内に取り入れることであり、食品からの摂取には限りません。

地球は巨大な磁石で、自然はその一部だからね

また触れる自然は荘厳なものであるほど畏怖の念を抱きやすく、ストレス解消効果が高いことが研究でも確認されてます。
「この壮大さに比べたら自分の悩みなんかちっぽけに思える」ってやつは真実ってことです。
自然と言っても色んなものがありますが、中でも特にストレス解消効果が高いのが水だと言われています。

マイナスイオンが関係してるのかな?

また自然と運動を組み合わせるグリーンエクササイズは、ストレス解消の相乗効果が得られるので非常にオススメです。
登山やサーフィンなどの趣味がないという人も、もっと簡単にこの恩恵を受ける方法があるので、詳しくはこちらのページで解説しています。

対策3 ストレスはまとめる

ストレスは「大きさ×回数」で総量が決まると思われていますが、実はこれは勘違いです。
人間の脳には快楽適応(ヘドニックアダプテーション)という作用があり、良いことも悪いことも徐々に慣れていきます。
2杯目以降のビールが1杯目ほど美味しく感じられないといった例が想像しやすいかもしれません。

これは美味しさや喜びだけでなく、ストレスなどの不快感情においても同じです。
生活の様々なシーンで不自由を感じるはずの障がい者の幸福度がさほど低くないことも、この適応の結果と言えるでしょう。
人間が最も心理的な苦痛を感じるお金の支払いを例にすると、1万円を5回払う方が一括で5万円を払うより傷みの総量は大きくなります。

浪費を防止したい人のヒントになるかもね

またデュレーションネグレクトという性質から人間は感情の大きさを重視し、その継続時間を軽視する傾向があります。
物事の最大の部分と最後の部分しか記憶に残らないというピークエンドの法則の方が耳馴染みがあるかもしれません。

つまりストレスの対象をまとめられるなら、複数回に分けて受けるよりまとめて受けてしまった方がトータルのダメージは少なくなるということです。
ストレスを受け続ける内にだんだんと順応していく上に、ストレスの大きさが受けた時間の長さを隠してくれます。
お客さんの謝罪のようなストレスの大きい仕事は1週間に分散するより、1日でまとめて行脚するといった取り入れ方が考えられるでしょう。

対策4 睡眠を改善する

冒頭の部分で、「ストレスの結果として睡眠が悪化する」と解説したので、ニワトリ卵的な話になってしまいますが、やはり睡眠の改善はストレス対処において重要です。
記憶の整理(定着・消去)は主に睡眠中に行われるので、ストレスの対象に頭を占拠されないようにするために睡眠は欠かせません。

「寝たら忘れる」というのは真理ってこと

また睡眠は認知リソースを回復する役割もあり、十分なリソースを回復することで自制心なども向上します。
アンガーマネジメントなど感情のコントロールが上手くなり、不要なストレスを感じなくて済むようになります。

一度「不快」と記憶されてしまうと、なかなかそれを取り除くことが難しくなるので、ストレス対象の増加を予防する意味でも重要です。
睡眠の質を高めることでストレス対処は上手くなるため、その方法を学ぶことは非常に意義があります。

対策5 朝の起き方を変える

睡眠の質の改善にも関係しますが、起き方もストレス対策としては重要です。
朝寝坊を防ぐために大音量の目覚まし時計やスマホのアラームを設定してる人は多いでしょう。
またまどろみからの二度寝リスクを減らすために、3分とか5分おきにスヌーズを設定してる人も多いと思います。
しかしこれは避けたいと思ってるはずのストレスを自ら被ってしまう非常にザンネンな習慣です。

睡眠中にいきなり爆音で叩き起こされるというのは、自然界において外敵に寝込みを襲われたのとほとんど変わりありません。
こうした脅威に襲われた時、すぐに行動が出来るよう心拍数や血圧を上げてエネルギーを供給します。
その役割を担うものこそが、ストレスホルモンで有名なコルチゾールです。

まどろんではスヌーズで起こされて、またまどろんでは…と繰り返すのは外敵からの奇襲を何度も受けてるのと同じこと
繰り返す度にストレスが溜まりコルチゾールが多量に分泌されてしまいます。

正しく快適な起き方は光を感じて徐々に目を覚ましていく方法です。
アラームに慣れた人は不安に感じると思いますが、効果的なので是非とも試してみてください。

対策6 マインドフルネス

運動、睡眠と来れば大方の人が予想できる通り、マインドフルネスも有効です。
マインドフルネスというと未だにスピリチュアルなイメージを持たれがちですが、科学的にも効果が観測されています。
なんとMRI画像で脳の灰白質の厚みが増していることまで確認されているのです。

マインドフルネスにもここまで何度も登場している前頭葉(思考)を活性化する作用があります。
そうして得た感情のコントロール力によりストレスへの対処が上手くなり、交感神経の興奮を抑えることが出来ます。
結果として睡眠の質も上がるので、さらにストレス解消効果が高まるという好循環です。
マインドフルネス=瞑想というのはよくある勘違いで、その辺も含めて詳しくはこちらのページで解説しています。

対策7 ユーモアを鍛える

ここで言うユーモアとは、ストレスフルな経験のポジティブな側面にフォーカスする技術のことです。
これを実践すると実際に体内のコルチゾール値も下がることが確認されています。

ネガティブな側面に着目すると当然のことながらコルチゾール値は上がるよ

捉え方次第でどんな経験にも何かしらプラスの側面を見出すことが出来るはずです。
成長や学習の機会、プロセスを改善する気付きといったものが考えられるでしょう。

・勘違いで会議を飛ばして怒られた → 日時など情報伝達は復唱して確認する
・言った言わないで取引先とトラブルになった → 重要な事項はメールなど文字として残す
・混雑で待ち時間を浪費した → 混雑予想を事前に見る習慣をつける
・凡ミスを周りに大笑いされた → 完全無欠キャラがたまに抜けてるギャップが愛される

こんな感じで、様々なトラブルや問題といったストレスの種には何かしら自分にも対処出来たはずのことや学びがあるはずです。
これを「どうしようもなかった」「覚えてない向こうが悪い」などと考えてしまう他責思考は成長もない上にストレスも大きくなります。
適切な自責思考には生産性だけでなく、ストレスを下げる効果もあるということです。

因みに似たような考え方で、ストレスフルな経験を諺やあるあるネタで一般化すると、「よくあること」と思えるようになるという研究もあります。

対策8 不安に対処する

怒りや悲しみといった負の感情もストレスを生みますが、最も害が大きいとぼくが考えるのが不安です。
他の感情と違って不安は何もキッカケが無いところからでも急に湧き上がってくるもので、適切な対処法を心得てないと大きなストレスに晒され続けることになってしまいます。

何もないところからでも湧き上がってくることから分かるとおり、実は不安の多くは妄想です。
しかし実体のない妄想だからこそ、その大きさは無限に膨張していきます。
不安の9割は実現しないということが研究でも明らかにされていますが、妄想と分かってもそれを無視しようとするだけでは問題は解決しません。
人間の脳とは不思議なもので、無視しようとする程にそれを無視できなくなってしまうのです。

こういうのを心理的リアクタンスって言うよ

不安には具体的な対策を講じて適切に処理する必要があります。
そのことについて詳しくはこちらのページで解説してるので、参考にしてください。

対策9 自分のことだけ考えて生きる

人間関係に起因するストレスの対処法は、シンプルに他人のことは考えずに生きることです。
人間関係のストレスの原因は大きく分ける2種類しかなく、どちらも自分のことだけ考えてれば生じません。

①人との比較・競争
②相手を思い通りにコントロールしようとすること

年収・生活水準(家、車)・パートナー(夫、妻、彼氏、彼女)など様々なポイントで人は比較しようとします。
しかしどこまで行っても上には上がいるし、そもそも正確に比べるための尺度すら存在しないモノがほとんどです。
皆が同じ競技に臨んでるわけじゃないので、自分なりのゴールに辿り着ければ本来はそれでOKのはず。
それに気付けてない人がムダな比較・競争で心身を削っているということです。

また褒められたい、好かれたい、認められたいなどは全て周りの人が決めることで、自力ではどうすることも出来ません。
しかも周りの人の興味や判断基準は様々で、同時に全てを満たすことなどほぼ不可能です。
ある人からは高収入を羨望されても、お金に興味のない人からはいくら収入が増えても褒められることはないでしょう。
その人は旅行が好きだから、色んな国に旅行して自慢する…などと繰り返していたら疲弊するのは目に見えてます。

これは極端な例ですが、万人に好かれようとしてる人がやってることはこういうことです。
色んな人のレールを縦横無尽に走り回るより、自分のレールだけを走り続ける方がストレスなく幸福だと思います。

まとめ

ストレスに対処すべき理由と効果的な対策について解説してきました。
負の感情が脳の偏桃体を刺激し、脅威を感じることでストレスになりますが、そのストレスを偏桃体がキャッチし、さらにストレスを生むという悪循環が生じます。
沢山紹介したのでまとめておくと以下の通りです。
最後の1つは人間関係という個別のストレス要因に特化した内容ですが、その他の項目は様々なシーンに適用できます。

①運動する
②自然に触れる
③ストレスの対象をまとめる
④睡眠を改善する
⑤起き方を工夫する
⑥マインドフルネスを実践する
⑦ポジティブな側面にフォーカスする
⑧不安に対処する
⑨自分の価値観の中で生きる

いずれもそこまで大がかりなモノではないので、取り入れやすいとは思いますが無理は禁物です。
何でもかんでもやろうとして、完璧主義になるほど出来なかった時のストレスが大きくなります。
ストレスを解消しようとしてストレスをさらに抱えるようでは本末転倒です。
出来ることから徐々に生活習慣にしていきましょう。
てなとこで。