ミニマリズムと蓄財の関係|ミニマムな暮らしでお金が増える理由6選

投資や蓄財ブームと並行して徐々に浸透しつつあるのがミニマリズムです。
ミニマリストと資産家がセットとして扱われるケースも少なくないですが、その関係がよく分からないという人もいるのではないでしょうか?

実はミニマリストになることは蓄財と非常に親和性が高く、あらゆる貯金法にも勝るマインドです。
このページではミニマリズムとお金の関係について解説していきます。

1 支出を減らすことが出来る

貯金・蓄財の基本は収入より支出を少なくすること、つまり収入を増やすか支出を減らすかのいずれかです。
このうち収入の増加は誰もが簡単に実行・実現できることじゃありません。
なので支出の削減こそが万人が実践できる貯蓄の基本ということになります。
そしてミニマリズムはこの支出の削減という点で大きく3つの理由から効果的です。

1-1 モノを買うコストが減る

まず非常にシンプルですが、新しくモノを購入するのにかかるコストが少なくなります。
ミニマリストの支出が少ない理由は以下の2つです。

①価値あるモノが限られることを知っていること
②既に持ってるモノの価値を認識してること

これらはまさに倹約に通じる重要な能力と言えます。

しかしミニマリストがこれらを見極める特殊な力を持ってたってわけじゃありません。
これらはいずれもミニマリストになる過程で徐々に身に付いていく能力です。
そしてこの能力にはフォーカシングイリュージョン(焦点効果)という現象が関係しています。
これは生活全体の幸福度には個々のモノ(豪邸・高級車など)は影響しないが、そのモノにフォーカスした上での幸福度は高くなるという現象です。

モノが沢山ある状態では自分の持ち物を正確に把握するのが難しいので、個々のモノに意識を向けて価値を認識する余裕はありません。
しかしモノが減ってくると個々の解像度が上がり、それに対する満足度・幸福度が上がっていきます。
そして最後に残ったモノに共通する要素が自分にとって価値あるものだと知ることが出来るのです。

よくある勘違いですが、「ミニマリスト=何でもかんでもモノを減らす」ではありません。
大切なのは「自分にとって」何が価値あるモノなのか見極め、その他のモノ・支出を無くすことです。

1-2 モノを管理するコストが減る

モノの中にはコストが購入代金で終わらないものも存在します。
車検やクリーニングのようなメンテナンスが必要なモノや、車や家・土地のように所有に対して税金がかかるものが最たる例です。
またモノを保管するためのスペースなど付随するコストがかかることも忘れてはいけません。

・間取りの広い家に住む(駐車場も含む)
・大きい容量の冷蔵庫を買う
・コンテナなどの収納スペースを借りる
・収納アイテムを買う
・家財保険など恐怖に起因するコスト
・引っ越しで荷物が多くなり料金が嵩む などなど

食材や洗剤などの日用品のように使ってしまえば無くなるモノでも、買い溜めをすればこうしたコストがかかるので注意しましょう。

さらに買い替えなどには旧品の廃棄などのコストもかかります。
リサイクル券を買いに行くにしても、直接持ち込みするにしても時間的なコストが同時にかかることも忘れてはいけません。

「断捨離で部屋も心もスッキリ」などと言いますが、そもそも買わなければ断捨離などするコストや時間をかける必要もありません
溜まってしまったムダなモノを定期的に捨てる断捨離と、そもそも余計なモノを買ったり持ったりしないミニマリズムの区別はキッチリしておく必要があります。

ミニマリストに向けて生活環境をリセットするための最初の断捨離は別としてね

1-3 ムダ買い・ロスの削減

似たような服や小物、調理器具や食器などを何度も買ってしまった経験はないでしょうか?
これは持ってるモノが多すぎて、その全容が把握しにくくなってることが主な原因です。
こうしたミスやムダ遣いも、モノを減らし、そして増やさなければ発生することはありません。
因みにこの重複買いの問題は食料品や日用品の買い溜めでも発生します。

いつか使うんだから問題ないでしょ

こういう意見もあるかもしれませんが、大きな冷蔵庫の片隅で食材をダメにしてしまった経験はあるはずです。
長期間クローゼットのような劣悪な環境で保存してれば洗剤なども徐々に劣化していきます。
手前にある新しいものが優先的に使われ、奥にある古いものはどんどん奥に押しやられ、いつしか使い物にならなくなってしまいなんてことも。

また「シャンプーの在庫は山ほどある」などと高を括ってたら、「実はトリートメントばっかりだった」なんてことにもなりえます。
持ち物を把握するために脳のリソースを使うなんて非常にムダなことですから、そもそものモノを減らしてしまうことの方が合理的でしょう。

2 稼ぐ力を生み出す

収入を増やすことは一筋縄ではいかないと解説しましたが、ミニマリズムによってその能力をアップできると考えられます。
ここではミニマリズムが稼ぐ力を生み出すことに繋がると考えられる3つの理由について解説します。

2-1 余剰金が生み出すお金

前の項目で見てきた通り、ミニマリズムの精神は支出を削減することに多方面から寄与します。
そうして生み出された余剰資金を定期預金などの貯蓄や株式へ投資することによって利息や配当といった新たな収入を生むのです。
こうして得た収入をモノの購入で浪費することはなく、また再投資に回るため、複利の力を活用して収入をさらに増やしていく好循環が生まれます。

また投資勧誘の常套句として「預金では物価上昇に負ける」と言うのがありますが、ミニマリストはこれとも適切に距離を取ることは出来ます。
そもそも買い物が少ないので一般的な人ほど物価上昇の煽りを受けないからです。
なので物価上昇に勝とうと無茶な投資に手を出す必要性もなく、安定的に堅実な投資を続けられます。
結果として大きな損を出すことも少なくなります。

投資は勝つことより負けないことが重要だからね

よく言う「お金はある所に流れていく」っていうのはこういうことなのかもしれませんね。
これはミニマリズム特有のものってわけじゃありませんが、ミニマリストの多くは同時に投資家でもあります。

投資は世の中の大多数の凡人が唯一お金持ちになる方法で、お金持ちの多くは有名人やスポーツ選手ではなく投資家です。
この投資家になる第一歩、その1つがミニマムに暮らすことと言えます。
これもまたミニマリズムが収入のアップをもたらす理由の1つです。

2-2 思考がクリアになる

モノを減らすことは思考力を正常にする効果もあります。その理由は主に以下の2点です。

①お金のストレスが無くなる
②モノに気を散らされなくなる

モノを購入するためには必要性の検討、価格や性能の比較などに非常に頭を使います。
また慎重にしたはずの買い物でも失敗する可能性はあり、その失敗によるお金のロスが脳にかけるストレスは大きくかつ長期的です。
こうしたストレスにさらされた脳は判断力の一部を常に奪われるので、働きが鈍くなります。
特にお金の心配は思考を圧迫し、しかも悪循環を生むので気を付けなければいけません。

さらにモノが多い家は散らかりやすく、実はその散らかりも思考の邪魔をするのです。
散らかったモノを見るたびに脳は無意識のうちに「何故ここに?」「どこにしまおう?」「いつやろう?」などと判断してしまいます。
実際に散らかった部屋に住んでる人は認知リソースの浪費が大きいせいで気が短く太りやすい傾向にあると言われます。
ぼく自身も過去に生活感のあり過ぎるタイプの人と同棲してた時、日常的に軽いイライラ感情を抱えていました。
その時は正体に気付きませんでしたが、解消した後に知って妙に腑に落ちたものです(笑)。

ずっと散らかってれば、そのうち脳が慣れて処理しなくなるんじゃない?

こう考える人もいるかもしれませんが、散らかったモノが全く同じ配置に留まることは無いため、些細な変化に対して判断を下し続けます。

こうした無用な頭脳労働や一定の確率で存在する失敗のリスクを回避する最もシンプルな対策は買い物自体をしないことです。
ミニマリストは買い物の機会が圧倒的に少なく、モノも少ないので、このようなムダな脳の負担が一般の人ほどありません。
その分、脳のリソースを有効活用できるので、いつでも脳がクリアな状態で活動でき、新しいアイデアなどを生み出す余地も大きいのです。

また認知リソースは意志力とも言われ、自制心を持って粘り強く物事を成し遂げる能力にも関係します。
これは言わずもがなビジネスに限らず、スポーツなどの競技の成功においても不可欠の能力です。
そういった点でもミニマリズムは収入を増やすことに寄与すると言えます。
認知リソースの有効活用のためのテクニックは非常に多岐にわたるので、ぜひこちらも参考にしてみてください。

2-3 時間が生まれる

アイデアや意志力があったとしても時間が無ければそれを実践する事は出来ません。
時間が無ければ保険や税金などについて学び、それを正す時間的な余裕も生まれません。
時間だけは万人に平等に与えられているもので、それを生かすも殺すもその人次第、「時間がない」はその人自身の問題ということです。

お金と違って何もしなくても、というより何もしないからこそ失われてくものだからね

ミニマリズムが時間を生み出すことに繋がる理由は主に以下の2点です。

①買い物にかける時間が減る
②モノに付随する時間が減る

まずシンプルに買い物が少なければそれにかける時間も節約することが出来ます。
また節約できる金額に対して時間の損失が大きすぎるので、様々な商品やショップを比較してベストなグレードや価格を探そうと必死になるのはムダです。
しかし多くの人がこれをしてしまいます。
これはお金が時間に比べて計測しやすくトレードオフが明確なこと、そして時間の価値を知らないことが原因でしょう。
時間の価値を認識することは重要ですが、そうした認識の欠如を無意識に補う点もミニマリズムのメリットの1つと言えそうです。

さらに、たいていのモノは買って終わりではなく、買ってからも時間を消費します。

テレビとかゲームとか漫画とかが分かりやすいね

モノが多いほど引っ越しの荷造りや荷解きで浪費する時間も膨大です。
そして人が探し物で浪費する時間はなんと年間150時間と言われ、これもモノの多さが最大の原因と言えます。
また片付けたり整理する時間も、モノが少なければ本来は不要な時間の浪費です。
モノが少なければ掃除をする時に家具をどかしたり、隙間の掃除のために用具を持ち換えたりする必要もありません。

さすがにこれは些細すぎるんじゃない?

そう思えるかもしれませんが、こうした些末な時間の積み重ねこそが重要です。
こうした些末な時間を軽視してる人ほど「時間がない」と嘆いているような印象があります。
これはお金にも通じることで、小さな浪費を軽視してる人ほどお金を持っていません。

まさにチリツモ

まとめ

ミニマリズムが蓄財にどのようなメリットを及ぼすのかについて解説しました。
貯金・蓄財の基本は収入を増やすか支出を減らすかという非常にシンプルな構図です。
そしてミニマリズムはその両方に効果があります。

ミニマリストと聞くと、「何でもかんでもモノを捨てて不自由そうな生活を送ってる人」というイメージを持たれがちです。
しかし本質はモノを捨てることではなく、自分にとっての価値を見極めることにあります。
断捨離と混同する人が多いと本文でも解説しましたが、モノが少ないのは結果であって手段ではありません
価値をシビアに見極めていった結果、必要なモノはそんなに多くなかったというだけです。

モノの整理整頓と支出の整理には親和性があり、不要なモノを見極められるミニマリストは不要な支出を見極め、そして捨てる力にも長けてます。
結果として買うモノが減り、付随するコストも減り、代わりにお金と時間、そして思考を取り戻せるのです。

様々な貯金術がありますが、1つの効果の範囲が狭く沢山の方法を試さなければいけないため、挫折のリスクも高くなります。
貯金にしろダイエットにしろ、継続のコツは極力シンプルであることです。
その点ミニマリズムはただモノの価値を知り、モノを減らし、増やさないということだけ。
それでいて多くの恩恵がある非常にコスパの良い方法と言えます。

てなとこで。