【時間汚染とは】忙しいのは思考のせい?|解決する2つの対策
現代人は「自分は本当に忙しい」と思ってる人が多いと思います。
お陰でジムに行きたくても行けない、資格取得のための勉強をしなきゃと思ってても出来ない、家族との時間も過ごせない。
日頃から「時間が足りない」「時間がもっとあれば」と思う人も多いはずです。
もちろん自分の認識の問題で、時間が無いように錯覚してる人もいます。
しかしこう考えてる人に例えばもう1時間余分に時間が与えられたとしてもほぼ確実に状況は変わりません。これは断言できます。
いつまでたっても時間が足りないのは時間が少ないからではなく、問題の根源である「時間が足りない」という思考から脱せていないからです。
このページでは、そんな時間汚染という考え方とその対策について解説します。
「時間が足りない」はNG
やること山積みの時に「忙しい」「時間が足りない」と「思う」のは当然ですが、実はこの思考こそNG!
このように考えることによって本当に時間が足りなくなってしまうというのが時間汚染という考え方です。
ポジティブに考えると上手くいって、ダメだと思うと本当にダメになるっていう「予言の自己成就」や「自己破壊的予言」ってやつに近いかもしれません。
分かりやすい例で言えば「病は気から」ですね。
では、なぜ「時間が足りない」「忙しい」と思うことによって本当に時間が足りなくなるのでしょうか?
時間汚染が発生するメカニズムは大きく分けると以下の3つがあります。
①思考の圧迫が効率を落とす
②わざと手一杯にする
③改善の必要性に思考が至らない
①時間欠乏
欠乏とは必要なリソースが持っているリソースを上回っている状態を言います。
分かりやすいお金で考えれば生活水準・支出が収入を上回っている状態です。
この欠乏状態の大きな問題点が思考力を奪うことです。
時間が足りないと「思う」ことにより思考が一部圧迫され、効率が低下します。
さらにそこから生じる「不安」や「焦り」といった認知負荷の高い負の感情によってさらに思考の余力を奪われるという悪循環です。
結果として、メインのタスクの効率はどんどん低下していき、本当に時間が足りなくなってしまうという事態に陥ります。
オフィスでもバタバタと焦ることに忙しくて、肝心のタスクは全く進んでないという人を見かけますが、これはまさにこの状態です。
②タスクが膨張する
定時まではそんなに時間が経つのは早く感じないのに、残業中は飛ぶように時間が過ぎると感じたことはないでしょうか?
これは時間の制限が取り払われたことによるタスクの膨張、正確には効率の低下が原因です。
心理学にはパーキンソンの法則という名前で知られた有名な現象があります。
これは利用可能な時間を全て消費するようにタスクが拡大していくというものです。
「あと〇万円収入が増えれば…」って言ってる人が実際に増えても貯金出来ないのもこれと同じこと
極端な例ですが、同じ仕事を「2時間でやれ」と言われた人の作業効率は「30分でやれ」と言われた人の4分の1になってしまいます。
つまり「今抱えてる仕事で手一杯だ」と思い込むことによって、本当にそれを与えられた時間ピッタリで終わらせるような効率で処理してしまうということです。
結果としてジム通いや英会話、資格試験の勉強といった重要なタスクが入る余地がなくなってしまいます。
③改善が進まない
「忙しい」という思考はある意味で自分を甘やかす思考とも言えます。
時間が足りないのは仕事が多いから、つまり問題は自分以外のところにあると考える一種の他責思考です。
しかし同じ職場で同じような仕事を抱えているのに、ワークライフバランスが取れている人が少なからずいると思います。
つまりどんなに業務量が多くても仕事のやり方や日常のタスク処理の仕方を工夫すれば、余暇は作れるということです。
それを「忙しいから仕方ない」と片付けてしまえば全く改善は進まず、永遠にその状況から脱することは出来ません。
結果としてどんどん時間が足りない状況になっていってしまうのです。
「思わない」はかなり難しい
時間汚染の原理とその害が分かったところで、「時間が足りない」と思わないようにするのはかなり難しい。
というより多分無理でしょう。これには多くの人が同意すると思います。
瞑想などを実践してみると身に染みて分かりますが、思考しないようコントロールすることは非常に難しいことです。
そもそも「考えないようにしよう」と思うこと自体が往々にして逆効果になります。
人間の心理にはリアクタンスというメカニズムがあり、禁止するほどにそれを意識しやすくなってしまうからです。
また最初に浮かんだ思考が認知を占拠し、他のことを考えようとしてもそれが邪魔してしまうことも影響しています。
これは検索抑制と言われるものです。
例えば「白いものを可能な限り列挙する」という課題では何の回答例も与えられない方が成績は良くなります。
シロクマといった例を与えられると「シロクマ以外の白いもの…シロクマ以外の…」とシロクマが常に認知の一部を占拠することになり、別の回答を考えるリソースを奪うからです。
「時間が足りないなんて考えない」と思うほどにそこから意識を離せなくなってしまいます。
そもそもそんなことを考え続けること自体が認知リソースのムダ遣いです。
これに限らず「○○しないようにする」という対策は生産性も効果もないことを覚えておきましょう。
時間汚染を解消する効果的な対策
「時間が足りないと思わない」という対策では効果は望めないと分かったところで、人々は時間を汚染され続けるしかないのでしょうか?
これは時間汚染が発生する原因から適切な対処法を考えることによって解決することが出来ます。
時間いっぱいに伸ばしてしまう面と、感情による認知の圧迫の面のそれぞれに対処することで、この影響を緩和できます。
完全な解決ではありませんが、簡単な方法なので日常に取り入れやすいものを試してみてください。
①やらないことを決める
②あえての詰め込み
③負の感情処理を上手くする
①やらないことを決める
欠乏状態を脱する方法は使えるリソースを増やすか、リソースの消費を減らすかのいずれかです。
お金の場合は収入を増やすか、支出を減らすか、どちらを選択することも出来ます。
しかし時間の場合は全員が平等で使えるリソースの量は変わりません。
時間持ちや時間貧乏は存在しません。だとしたら問題は消費、すなわち時間の使い方に問題があると言えるでしょう。
欠乏とは収入の多寡のような客観的な指標ではなく、個人の中で発生し個人の中で完結する主観的な指標です。
あれもこれもとやることを詰め込み過ぎれば、時間が足りず欠乏に陥ってしまうのは当然のこと。
やりたいことよりもまずはやらないことを決めるというのが欠乏を脱する上で重要になります。
まずは自分の時間の使い方の棚卸を行い、自分でやる必要があるか、有効な使い方かをもう一度見直しましょう。
②逆にあえて詰め込む
時間汚染のもう1つの原因としてパーキンソンの法則を紹介しました。
これは手持ちのタスクだけで時間を目一杯に使ってしまうという性質のことです。
逆に言えば、これだけのタスクを限られた時間でやらなければいけないと思えば、それに合わせて効率が上がると考えられます。
ジムなどの時間を強制的に突っ込んでしまえば、残りの時間でその他のタスクを熟すようになるはずというです。
効率のアップはもちろんのこと、重要でも緊急でもないスマホいじりやテレビ視聴といった時間のムダ遣いも減っていくと考えられます。
というより減らさざるを得なくなるはずです。
スマホやテレビのために家事とか睡眠とかを削ろうと考える人はまずいないですからね。
いたとしたらそれはもう完全に病気
スケジューリングの基本でもありますが、まずは大きい石から置く。
細かい石を並べた後で大きな石が置けそうなスペースを探しても、まず置き場は見つかりません。
強制的にやりたいことをねじ込んでしまう。そうすればそれに合わせて他の部分が自ずと効率化されるという考え方です。
③負の感情を整理する
「忙しい」「間に合わない」などの不安や焦りといった感情を無視しようとするのは無意味かつ逆効果です。
しかしそれを「浮かんで来るのは仕方ない」と放置するよりは向き合う方が効果的と言えます。
不安の対処法として最も有効なのは思考の整理を兼ねた文字起こしです。
ストレスコントロールにも日記が有効と言われていますし、公私の切替に有効なブレインダンプというテクニックも同様です。
ぼくたちが考えている以上に、「書く」というシンプルなアウトプットには強い効果があります。
感情を書き出すのはもちろん、自分が抱えてるタスクを列記するのも効果的な方法でオススメです。
タスクの主観的な認識もそうですが、感情なども頭の中だけで処理していると実物を越えて際限なく拡大していきます。
量・質ともに凄いものを抱えてるイメージだったのに、実際に書き出そうとしてみたら想像より少ないという経験はよくあることです。
逆に過小評価して最低効率で熟してたら意外とやることがあったなんてこともあり得ます。
どちらにせよ、自分のタスクの大きさ・総量を正確に把握することは重要です。
まとめ
忙しいと思うほど余計に時間が無くなっていく時間汚染という概念を紹介しました。
忙しいと考えたり、不安や焦りによって思考力の一部が奪われ、作業効率が落ちてしまうこと。
そして「これで限界」と思うとそれを証明するようにピッタリ効率が低下し、作業が膨張してしまうこと。
この2つが時間汚染の正体です。
足りないなら使い方を見直す、というのはお金にも通じる収支バランスの基本になります。
逆に新しいタスクを入れ込むことで、それぞれにかけられる時間を制限し、強制的に効率を上げるというのも一案です。
また不安や焦りといった感情は無視しようとするより向き合うことが重要です。
自分の心理状態を正直に書くことで、それに向き合いましょう。
またタスクの総量は過大に見積もっても、過小に見積もってもどちらも問題です。
なので、自分が抱えてるタスクを列記し、正確に把握することも忘れてはいけません。
やらないタスクを決めることで欠乏を脱すると解説しましたが、多くの人はやらずに済むほど些末なタスクに時間は使ってないと思うはずです。
ではムダな時間や消えてしまったように感じる時間は無いのかというと確実にあります。
そのことについて詳しくは以下のページで解説しています。
てなとこで。
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