【文明のせいで忙しい?】スマホが時間を奪う理由とデジタル断食の方法5選

多くの人が「時間がない」「忙しい」と思いながら生活をしてるはずです。
そのありがちな思考それ自体が時間を無くす原因になっているという点についてはこちらのページで解説しています。

この問題に対策をしても忙しさは拭えない人が多いんじゃないかと思います。
それには多くの人が見落としている非常に身近な敵が潜んでいるからです。
このページでは、多くの時間を密かに奪っている身近な敵の正体と、その対策について解説します。

1 仕事の時間を短縮し同時に時間を奪うモノ

多くの人は時間がない原因を仕事の忙しさで説明しようとします。
しかし実際には業務の効率化・スピードアップなどによって仕事にかける時間は年々減っているのです。
つまりぼくたちに時間が無い理由は仕事以外、すなわちプライベートに問題があると言えます。

1-1 時間の棚卸をしてみる

1日に熟したタスクと時間の棚卸をしてみることをオススメします。
朝の準備、通勤、仕事、買い物、食事、睡眠などなど…。
しかし多くの場合、この時間の合計は24時間に遠く及ばないと思います。
こうした使途不明金ならぬ使途不明時間の積み重ねが、時間の不足感を生む原因になっているのです。

ではこの使途不明時間はどこに消えてしまったのか?
それはSNSやテレビ、YouTubeなどのデジタルです。
もちろんタスクとタスクの合間に「次は何をやろうか?」と考えたり、準備に手間取ったりと繋ぎがスムーズに行かないことで生じる時間もあります。
しかしデジタルに奪われている時間は非常に膨大です。

仕事や生活の利便性・効率性を高めるために役立つはずのデジタルに時間を奪われることになるとは何とも皮肉な話ですね。

1-2 デジタルが時間を食い潰す理由

スマホやテレビなどのデジタル機器には時間を奪いやすい2つの特徴があります。

①無限に存在する ②時間を短く感じる

スマホやテレビで供給される情報量は非常に膨大で、その気になれば永遠に時間を潰すことも可能です。
デジタルの発展により、世の中に供給される情報量は急速に増大しています。
現代人が1日で受け取る情報量はなんと江戸時代の人の1年分に相当するという試算があるほどです。

さらにデジタルで供給される情報は体感時間を短くさせる効果があります。
SNSやYouTubeなどが典型例ですが、新しい情報が更新されているかもしれないし、されてないかもしれません。
こうした不確実性がある中で新しい情報という報酬が提供されると、脳内で非常に多くの快楽物質(ドーパミン)が分泌されます。

このドーパミンは対象への集中を高めると同時に体感時間を短くさせてしまうのです。
そのためデジタルによって自分が自覚している以上に時間を浪費していて、これが使途不明時間の大きさに繋がっています。

2 デジタル断食のススメ

ぼくたちが想像してるより遥かに多くの時間をスマホやテレビなどの受動メディアに奪われています。
上手く使えば効率化に非常に役立つ便利なデジタルですが、付き合い方・距離感を誤れば逆に時間を奪う敵になってしまうのです。

そのため、適度な距離を保てるようにデジタル断食(デジタルデトックス)を行うことをオススメします。
ここでは主にスマホを念頭にし、デジタル断食を効果的に実践するために紹介するテクニックとして以下の5点を紹介します。

①遠ざける ②ハードル ③スクリーンタイム ④目標を掲げる ⑤消去する

2-1 デジタルを物理的に遠ざける

多くの人は手元にスマホを置いた状態で、開きたいという欲望を自制心で抑えようとします。
しかし自制心に頼ったダイエットや禁煙、貯金などが続かなかった経験がある人なら、これがどれだけ頼りないモノか知っているでしょう。
普段は意志を強く保ってる時はよくても、睡眠不足やストレスがかかれば簡単に負けてしまいます。
自制心に物事を頼るというのは大博打ということです。

自制心に頼らずデジタルへの接触を減らす、簡単で効果的な方法は物理的に遠ざけることです。
何かのキッカケ、刺激を受けなければ欲望というのはそうそう発生しません。
目に入ってもいないのにスマホのことが頭に浮かんでしまうとしたら依存の症状はかなり深刻です。

ポケットに入れたりデスクに置いておくのではなく、カバンやロッカー、別の部屋に置いておき、スマホが目に入らないような工夫をしましょう。
また便利なプッシュ通知も立派な刺激であり、集中力を奪う原因でもあるので全てオフにすることをオススメします。

2-2 スマホにハードルを設定する

人間は楽にできることは簡単に習慣になる一方で、面倒なプロセスが伴うものを避けようとします。
そのため好ましい行動を習慣化するために、そのためのプロセスを出来るだけ簡単にするよう工夫する必要があるのです。

このことを逆に考えると習慣から無くしたい行動は、そこに至るまでのプロセスをめちゃくちゃ面倒なモノにしてしまえば良いと言えます。
1つ前のスマホを遠くに置いておくというのは、手に取るまでにプロセスが1つ増える点でも効果的です。

もう1つスマホのロックを複雑化することもオススメです。
最近のスマホは指紋認証や顔認証のように、一瞬でロックが解除できる便利な機能が備わっています。
これらの機能をオフにして、パターン認証やナンバーロックで可能な限り複雑なモノを設定しましょう。
また無料アプリでロック機能を追加するのもオススメです。
ロック解除に時間をかけてる最中に、「あれ、なんで開こうとしてたんだっけ?」と気付いて手を止めるキッカケにもなります

2-3 スクリーンタイムの設定

最近のスマホにはそれぞれのアプリをどれくらいの時間使っていたかを計測するスクリーンタイムという機能がついています。
この機能の利用もデジタル断食に有効な対策です。
これを使用する方法には2つのパターンがあります。

①使用時間の上限を設定する
②使用スケジュールを決める

1つ目の使い方が、各アプリの使用できる時間の上限を設定する方法です。
現在の使用時間がどれくらいなのか記録されてるので、まずは20%減くらいから始めていくのが良いでしょう。
あんまりにも一気に削ろうとすると反動で爆発して続けられなくなってしまいます。

2つ目の使い方が、そもそもスマホアプリ全体を開ける時間帯・タイミングを制限してしまうという方法です。
集中力や思考力の有効活用の観点から、基本的に午前中など認知リソースが豊富なタイミングにSNSなどくだらない情報に触れないことをオススメしています。
また夜間も寝る前のスマホは睡眠の質に悪影響なのでNGです。
なので思考力も落ち、かつ寝る前ではないタイミングくらいしかスマホを使うのに適したタイミングは無いと言えます。
その時間だけ許可し、その他の時間は使えないようにしてしまうとメリハリが利いて良いでしょう。

iPhoneなどにはデフォルトで入ってますし、スクリーンタイムを設定する無料のアプリも色んな種類が展開されています。
曜日ごと、アプリごと、アプリのグループ設定など、自分の使い方に適したアプリを探してみてください。

2-4 目標との比較を行う

自分にとって重大な目標とのトレードオフの関係を意識するというのもデジタルを遠ざけるのに有効な対策です。
ジム通いで身体を絞るでも、睡眠を改善して頭も体もクリアにするでも、仕事のスキルアップのために英語を習得するでも目標は何でもOK。
大きな目標を設定することのメリットは、何をすべきか、そして何が不要かが明確になることです。

スマホやテレビなどのデジタルでの時間の浪費は、これらの目標の障害にこそなれ、達成のために役立つことはまずありません。
スマホをいじる時「これをする分だけ目標から遠ざかる」と考えることができるようになります。

「これが睡眠を削って、健康を害してでもやりたいことか?」って考えると手も止まるはず

「時間を作りたい」「デジタルを避けたい」と思ってる人は、少なからず何かその時間を使いたい対象があるはずです。
しかし多くの人が漠然と「時間ができたら」と考えるにとどまるだけで実現できません。
時間ができるか関係なく、まず目標を立ててしまうことが結果的に時間を作ることに繋がるのです。

2-5 アプリを消す

刺激に触れない、ハードルを設定するという2つの対策の最終形態がアプリを消してしまうということです。
「スマホを手放す」でも良いのですが、生活を豊かにする様々な便利な機能も同時に手放すことになるので、あまり積極的にはオススメできません。

アプリのアカウントを消し、アプリをスマホから消去してしまうとアプリのダウンロードやアカウントの再設定など非常に手間がかかることになります。
重度の依存症の人がさておき、忙しい日常の中で些末な情報や快楽を得るためにそこまでの労力と時間をかけ直そうと思う人はいないはずです。
これはサンクコストバイアスが働くからで、一度かけた時間をさらに時間をかけてムダにするようなことは通常できません。

ただ便利が災いする好例ですが、Googleなどは各種アプリやサイトのアカウント情報を記録してしまっているので、そのままだとアカウントの復帰は案外かんたんにできてしまいます。
これを防止するため、やや面倒ですがGoogleの権限もしっかり削除しておきましょう。

やるなら徹底的に!

まとめ

大量の時間をこっそり奪っているものの正体と、その対策について解説しました。
意外な事実かもしれませんが、人間が労働に費やす時間は文明の発展とともに短くなってきています。
しかしその発展に大きく貢献しているデジタルによって、多量のプライベートの時間が無意味に食い潰されてしまっているのです。

デジタルによって供給される情報量は膨大で、かつそれらはドーパミンの分泌を促します。
ドーパミンは依存性を高めると同時に体感時間を短くする特性があり、これが想像以上に多くの時間をデジタルによって奪われる原因です。

上手く付き合えれば「便利なモノ」で済みますが、距離感を間違えれば巨大な足枷になってしまいます。
現代人の多くは後者で、過度に依存した結果として生活がどんどん非効率になっています。
デジタル断食を効果的に実践して、適度な距離感を保ち、便利さという恩恵だけを受けられるよう工夫しましょう。
このページで紹介したデジタル断食の方法は以下の5点です。

①物理的距離:遠くや目に入らないところに置けば開きたいという欲望は起こらない
②ハードル:ロックを複雑にするだけでも効果的で、ムダ開きに気付くキッカケにもなる
③スクリーンタイム:使える時間を制限するだけで、チェックできない不安が無用と気付く
④トレードオフ:目標を設定すればスマホがその妨げになることを実感する
⑤アプリを消す:アプリのダウンロードやアカウントの設定などが最大のハードルになる

是非できるところからコツコツと始めて少しずつ遠ざけていきましょう。
てなとこで。

参考文献

ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著) ダイヤモンド社