ダイエット・早起き・貯金・禁煙|好ましい行動を継続するためのテクニック6選

痩せたい、語学を身に着けたい、穏やかな人になりたいなど改善したい欠点や、レベルアップしたい技能は誰しもあると思います。
そのために新しく本を読んだりセミナーに出席したりして知識を身に着け、モチベーションを上げるでしょう。
一方でこうした努力や意識は持続せず、目標を達成できないことが多いのも事実です。
もちろんモチベーションも大事で、上げるための方法は別のページで詳しく解説しています。

しかしモチベーションとは気分のようなもので、それだけに頼っていては気分次第で全く前進しないこともあるのです。
このページでは目標を達成するため、そして継続するために必要なことについて解説します。
具体的には以下の8点です。興味のあるポイントだけでも拾い読みしてみてください。

①習慣化 ②具体化 ③コミットメント ④優先順位 ⑤脱・完璧主義 ⑥予防策 ⑦手段の目的化 ⑧依存

①基本は習慣化

人間には恒常性(ホメオスタシス)という安定化のための機能があるため、脳は変化を嫌います
つまり新しい目標や行動は基本的に定着しにくいということです。

さらに人間の脳は想像以上に原始的で、未来のために現在の楽しみや快楽を犠牲にする思考は組み込まれていません。
つまりダイエットや勉強、貯金などは本能に反することでもあり、続かないのは無理からぬこととも言えます。

こういった特性のある脳に気合やモチベーションのみで対抗しようとするのは無謀と言うほかありません。
脳に習慣、つまり「当たり前のこと」として認識させないことには、いつか挫折してしまう運命ということです。
習慣化のためのテクニックは様々あるので、別のページで詳しく解説しています。
これから紹介する継続のためのテクニックも重要ですが、習慣化のための工夫無くして継続は無い、くらいの認識でいましょう。

②「やらないこと」より「やること」を意識する

多くの人が何か目標を立てた時、それを邪魔する行動や習慣を禁止しようとします。
しかしこのように意識に働きかける対策は実行性が乏しく、目標達成を遠のかせる可能性が高いです。
「しないように意識する」というのは脳のリソースに頼るところが大きく、疲労やストレスによって脳に負担がかかると途端に蚊帳の外になります。

実効性を高めるためには「○○をやらない」よりも「△△をやる」という具体的な行動に置き換えようにしましょう。
具体的な行動という既成事実を作ることで、それと辻褄を合わせるように後から意識・認識を変えていきます
一般的には「意識が変われば行動が変わる」と認識されているので違和感があるかもしれません。
既存の価値観や認識に沿う行動ならば確かにそうですが、そうではない場合は「行動によって意識が変わる」のです。
こうした対策を補強する補助的なテクニックと併せて詳しくは別のページで詳しく解説しています。

③コミットメントを活かす

何か目標を立てた時、それを周囲に公表することも挫折を防止するのに効果的です。
人間には一貫性の原理というものがあり、自分の発現や態度・行動に一貫性がないと見られることを嫌います。
転職でも貯金でもダイエットでも禁煙でも挑戦したいと思うことはあっても、ある程度目途が立つまで人には言いたくないと思うはず。
これは挫折や失敗した時に一貫性がないものと見なされることを懸念する思考が働いた結果と言えます。
それだけに人に宣言してしまうことには自分の行動を強く規定する効果があるということ。

目標を立てても、それを個人の中にとどめてしまえば監視するのは自分1人だけですが、公にすることで監視者を何倍にも増やせます。
ただし闇雲にコミットメントをしても思ったような拘束力を発揮しません。
誰に対して宣言するかという視点も非常に重要です。
また職場やSNSなどで宣言するのは気が引けるという人も少なくないと思います。
そういった注意点や代替措置なども併せてコミットメントの有効性について別のページで解説してるので参考にしてください。

④優先順位を上げる

勉強やジム通いなど、やらなきゃいけないと分かっていながら実行できない人にありがちな言い訳が「時間が無い」です。
しかしこの世の中で万人に唯一平等なモノが時間であり、その同じ時間の中でこれらの課題に取り組むことが出来てる人はいます。
では何故この時間を取れる人と取れない人がいるのか?その理由はその人の中での優先順位の問題にあります。

④ー1 スケジュールの立て方の問題

小学生が夏休み前に学ぶスケジュールの基本ですが、石(予定)は大きなもの、優先順位の高いものから入れなければいけません。
時間が無いと言ってる人はSNSやYouTube、テレビなど些末な小石を先にバラまいて、後から課題に充てる時間を置く場所を探してるような状態です。
これではジム通いや英会話のレッスンなどの大きな石を置く場所が見つかるわけがありません。
奇跡的にぴったりハマるスペースが見つかるのを期待するのは完全に無謀です。
このように優先順位づけはスケジューリングに大きな影響を受けます。
スケジュールの基本的なポイントについてはこちらのページをご覧ください。

④-2 トレードオフの問題

またダイエットや禁煙などのように、時間とは別の問題があるパターンもあります。
ダイエットなら理想的なボディラインとジャンクフードの誘惑。禁煙なら健康とタバコの誘惑。貯金なら娯楽や浪費。
このように相反する価値観・欲求の間でのトレードオフが発生することです。
ジャンクやタバコから得られる快楽がボディメイクや健康への意識を上回ってるようでは、これらを達成することはかなり難しくなります。

他の欲求よりも目標の価値を重視する必要がある点でも優先順位は最大限に上げておかなければいけません。
とは言えタバコやジャンクフードの持つ依存性やこれまでの習慣の力は強く、理想的なボディラインや健康への意識をいくら保っても抗うのは難しいものです。
この問題についても既にリンクを掲載した目標達成のための行動設計に関する対策のページで解説しています。

⑤完璧主義をゴミ箱に捨てる

完璧主義と聞くと何とも好ましいことのように聞こえます。
特に真面目で几帳面でストイックな日本人には素晴らしい心掛けのように思えるでしょう。
しかしこの完璧主義には様々な問題があり、物事の継続を妨げるというのもその内の1つです。

完璧主義は条件をしっかり整えようとするため行動の開始が遅く、かつ条件が崩れると全てがダメになったように感じてしまいます
「絶対にお菓子を食べない」という強い決意を固めてダイエットに挑戦してる最中に、同僚からのお菓子の差し入れをつい口にしてしまい絶望するといった感じです。
恐らくこれを気にダイエットなど放り出して暴飲暴食を解禁してしまうことでしょう。

因みにこれは「どうにでもなれ効果」って言うよ

完璧主義は小さなミスやちょっとした気の緩みも許さないという態度なので、その異常に高いハードルをいつまでも越え続けられる人はほとんどいません。
人間関係、気候、天気などの自分の身の回りの環境はもちろんのこと、自分の意志やモチベーションだって完全にコントロールできる人はいないでしょう。
つまり条件が完璧に整うことの方が少ないので、何かを完璧にやろうという考え方自体にムリがあるということです。

多少のミスをしても、目標に向かって全力で逆走でもしない限り着実に成功に近付いています。
その意識を持ち、完璧主義を捨てることが堅実な継続には必須です。
因みに完璧主義の問題点についてはこちらのページでも解説しています。

「たまになら」を延々と正当化してるようじゃダメだけどね

⑥継続を阻む障害を予防する

目標達成のための行動の継続を阻むのは自分の内側の問題だけではありません。
飲み会・遊びの誘いや、広告などからの物欲を喚起する刺激、天候など問題は外にもあります
これらはダイエットや貯金、資格取得のための勉強や副業の準備などをしたい人が躓く代表的な障害です。

こうした刺激を受ける度に対処する体制だと、仮に自制心が下がったタイミングだったら誘惑に負けてしまうでしょう。
脳は楽と快楽が大好きだからです。
例え対処することが出来たとしても、どうしようかと判断すること自体が時間と認知リソースのムダ遣いと言えます。

2つの理由から、最も簡単な方法はそもそも刺激に触れないこと、つまり予想される障害には事前に対策を打っておくことが重要です。
取り組もうとしてる物事やその発生する障害の種類によって異なりますが、以下で一例を紹介しましょう。
まず先述のコミットメントは周囲の人間からの誘いに先手を打てる点でも有効な対策になります。
物欲などを喚起しないため、SNSやテレビを見る機会を減らし、広告などを遠ざけるのも効果的です。

処分の手間も削減できるし、ポストにチラシお断りの表示をするのもオススメだよ

また天候が優れない時に室内で出来る代わりの運動メニューなどを用意しておくというのも必要な予防策になります。
戦う方法よりも敵に遭遇しない方法を考える方が、楽でかつ効果的です。

⑦手段を目的にする

習慣化においては、いかに脳に負荷をかけずに日常に行動を滑り込ませるかを重視します。
なるべく脳が違和感を感じないように工夫することは重要ですが、どうしても多少の負荷は発生してしまうものです。
過度に疲労したり大きなストレスが一時的にかかった時には挫折してしまうリスクがあります。

人間の脳は異質なものや行動の変化を嫌う一方で、報酬が得られることを好みます。
そのため目標に付随する行動を単なる目標達成のための手段として見るのではなく、それ自体を楽しむこと、目的化することが重要になります。
目的を無理に好きになるのも難しいので、好きなこと、好きになれそうなことを手段にする方が効率的です。

好きこそものの上手なれみたいなものだよ

ビジネスにおいて手段の目的化はNGとされますが、手段が目的に向けて正しく機能していれば、それを全力で追及しても何の問題ありません。
そもそもプライベートであれば目標が手段に合わせて当初のそれから変化したとしても、それはそれでオッケーでしょう。

もともとは痩せたアイドル体型に憧れてたけど、筋トレするうちにレスラー体型に憧れるようになる、とか

「続けなきゃ」が「当たり前のこと」になるのが習慣化であり、一方で好きになることは「やりたい」に変わることです。
もちろん習慣化でも続きますが、好きになることは習慣化までの様々なハードルを一気に超えることが出来ます。
こういう視点でも「やらない」よりも「やること」にフォーカスした方が良いでしょう。

何かをやらないようにする意識を好きになるって難しいからね

⑧報酬で脳を依存させる

我ながら非常に不健全な写真

「やらなきゃ」を「当たり前」にする習慣化、その行動自体を好きになる目的化、そして最後に辿り着く境地が依存状態です。
ここまで到達すればやらずにはいられない状態で、逆に止めることの方が難しくなります。
このことはアルコールなどの嗜好品や薬物の依存症から脱する難しさを見れば明らかです。
依存状態に至るなんて多くの人には縁の無いことと思われがちですがメカニズムは意外と簡単で、実際に現代人の多くは立派な依存を発症しています。

スマホ依存のことだよ

こういった悪習慣に依存してしまうのは大問題ですが、好ましい行動なら逆にこれほど心強いことはありません。
その依存のキーになるのが不確実性のある報酬です。
行動の追加のためにはアメが有効で、それを予測できないランダム性をもって与えると、より効果的になります。

この方が脳内麻薬のドーパミンが大量に分泌されるからね

家族や友人の気まぐれに任せても良いですし、コイントスやサイコロの出目で報酬の可否を決定してもOKです。
このようにゲーム性を持たせるとサイコロ振りが楽しみで走るようになったりと徐々に依存する体質が出来ていきます。
依存というと言葉の印象がかなり悪いので、クセと習慣の関係のような印象の良くなる言い換えを見つけたいですね。

熱中とか?

まとめ

理想的な行動を継続するための方法について解説しました。
ダイエット、禁煙、貯金、勉強など新しい行動、未来に向けた行動はどちらも脳の基本的な動きに反するものです。
気合やモチベーションだけを頼りに特攻しても撃沈するのは目に見えています。
立ちはだかる脳の壁を崩そうとするのではなく、壁の向こう側に滑り込む習慣化が基本です。

そして滑り込みつつも同時に行動を強化していくことも挫折を防ぐためには欠かせません。
やらないという意識より行動を具体的に変えること。
決断や目標を周囲に宣言し監視の目を増やすこと。
時間・欲求の両面で優先順位を高くすること。
そして最強なのがそのための行動それ自体を好きになることです。

日本人は無意味にストイックで物事に真正面から取り組もうとしがちですが、できるだけ無理なく楽にできることが重要です。
全てのテクニックを一気に生活に取り入れようとすることもまた脳の恒常性に反します。
無理なく出来る範囲のことから少しずつ取り組んでいきましょう。

てなとこで。