欠乏マインドのワナ|買い物の失敗から始まる悪循環とその対策

皆さんは支出をするときに判断を慎重にしているでしょうか?
もしあまり慎重になれていないとしたら気を付けなければいけません。
買い物の失敗が重なる度に、頭が悪くなりお金にもドンドン困る悪循環に陥ってしまうからです。

失敗してもフリマアプリ等で売れば良いんじゃない?

このように考える人もいると思うので、フリマアプリなどのリセールの実態も踏まえつつ、買い物の判断に慎重にならないと生じる問題について解説します。

1 フリマアプリがあるから安心?

「欲しいと思ったらとりあえず買ってしまえ!」と気軽に買い物をする人が昔よりも増えたような気がします。
プチプラ商品が増えたのも一因ですが、フリマアプリというツールの影響が大きいんじゃないでしょうか?

かつては不用品をリサイクルショップに持ち込み二束三文で買い取られるしかありませんでした。
でもフリマなら中間搾取が入らないので、購入者が満足できる価格で売りながら出品者も利益を得ることができます。
モノの流動性(お金への交換のしやすさ)が格段に向上したのです。
仮に買い物で失敗しても元値の半額でも売って取り戻せると思えば、買い物のハードルは下がるでしょう。

しかしリセールの実態について把握しておく必要はあります。
まず希少なモノでもない限り、売値が買値の50%を下回ってしまうケースが非常に多いのが実情です。
どんなに割引率が高くても、元が高額な商品だと買い手は着きにくく、かなり下げないと売れないケースもあります。

絶対的な支払い額が大きいのに変わりはないし、偽物とかのリスクもゼロじゃないからね

また安いものならOKかと言うとこっちの方がもっと微妙です。
数百円の節約は中古品を買うリスクに見合いません。リスクプレミアムとして安すぎるのです。
つまり相当な比率で割引がされていない限り、新品を買ったほうが良いということになります。
BEA〇Sなどセレクトショップの中途半端な価格帯のモノが最も悲惨で、元値の3割くらいで売れれば良い方といった状況です。

問題は高いか安いかではありません。買う目的を中途半端にしないということです。
売れそうかを基準にし過ぎて自分の本当に欲しいモノを買えないなら、結局満足できず売る羽目になります。
商売用は商売用、自分用は自分用。目的は明確にしないとどっちつかずの結果になるだけです。

持ち家を「賃貸用にしても良いし」って買って失敗するケースに似てるね

結局リセール環境があることは安心して買い物する判断材料にはならないってことです。

2 欠乏マインドの恐ろしさ

フリマアプリがある現代でも買い物に慎重になる必要があることを押さえたところで、なぜ慎重にならなければいけないのかを説明します。
それは冒頭でも解説したとおり、買い物の失敗が知能にまで影響し、お金をさらに失う悪循環に陥るからです。

2-1 欠乏マインド

その悪循環の始まりが欠乏マインドと言われる状態です。
欠乏とは持てるリソースがニーズを満たせていない状態のことを言います。
お金で言うなら収入を支出が上回ってる状態です。これはお金に限らず時間やカロリーでも発生します。

欠乏マインドの問題点は、そのことばかりに思考が囚われてしまうということです。
お金に困ってる人はお金のこと、ダイエット中の人は食べ物のことで頭がいっぱいになってしまいます。
そしてそのやりくりのために思考を働かせ続けるせいで、認知リソースを大きく消耗してしまうのです。
これは巨大なアプリケーションがバックグラウンドで稼動し続けてるPCのようなもの。
表面的には何の問題もありませんが、その動作を著しく落としてしまいます。

つまり買い物の失敗によって収支が悪化すると、お金のやりくりのために常に頭を悩ませることになるのです。
そしてそのやりくりに認知リソースを奪われているために、自制心が働きにくく、適切な判断もしにくくなってしまいます。
最悪の場合、金策のためにローンなどの借金を組むという恐ろしいミスを犯すこともあるでしょう。
そうして買い物の失敗(=浪費)や判断ミスを繰り返し、欠乏のワナという悪循環に陥っていくのです。

世の中はみんなの財布からお金を引っ張り出すためのワナで溢れてるからね

もちろん勉強してても、仕事をしてても、友達と遊んでいてもずっとそのことが頭の片隅を占拠してるので常に心ここに在らずの状態になってしまいます。
勉強の内容は全く頭に入りませんし、仕事ではミスやど忘れが続出し、遊びも心の底から楽しむことは出来ません。

2-2 リソースが多くても安心できない

欠乏マインドの定義はリソースとニーズの収支がマイナスになることです。
つまり収入などのリソースの多さだけで判断することはできません。
状況次第で誰しも欠乏に陥る可能性があります

欠乏マインド、そして収支の関係は旅行カバンのパッキングで考えると分かりやすいでしょう。
収入などのリソースに恵まれてる人はカバンが大きく、そうでない人のカバンは小さいです。
当然小さいカバンに入る荷物は限られているので、小さく畳んだり入れるモノを選別しなければいけません。
このようにして欠乏が迫ってる人ほど、思考をやりくりで圧迫されることになります。

一方でカバンの大きい人は適当に荷造りしても問題なく収まるので、頭を悩ませることはありません。
しかしろくに畳みもせず、要らないモノまで気にせず放り込んでいれば、どんなに大きなカバンでも徐々にスペースが無くなっていきます
力技で何とか押し込んでも、不思議なことに帰りは荷物が膨張しがちなのでフタがなかなか閉まりません。
やっとのことでフタを閉めた後でお土産を入れ忘れたことに気付き、バタバタとやりくりに慌てふためくことになるのです。
因みにリソースに余裕があるはずの高所得者が転落していくプロセスについてはこちらのページで解説しています。

3 欠乏のワナから抜け出すには?

欠乏は時間やカロリーなど様々シーンで発生しますが、お金の問題はとりわけ厄介です。
時間はジム通いや英会話の習得を諦めれば生まれますし、カロリーはダイエットを諦めればリソースは無限大になります。
一方でお金は無縁で生きていくことが出来ない上に、時間やカロリーのような楽な生み出し方がありません。

3-1 欠乏から脱出することは出来る

ただ今まさに欠乏マインドの只中にいるという人もいるかもしれませんが、安心してください。
欠乏マインドから脱する方法はあります。
欠乏とはその定義から分かるとおり、リソースの収支という状態に影響されて陥る心理であり、考え方の癖のような本人の性質ではありません。
つまり状況を変えさえすれば欠乏の悪循環から抜け出すことが可能ということです。

その証拠として、農民の欠乏状態を観測する有名な研究があるので紹介します。
欠乏マインドに陥ると、やりくりのために思考が圧迫され合理的な判断がしにくくなるということは既に説明しました。
そしてその最も特徴的な症状がリスク選好・時間選好の向上です。

リスク選好はリスキーな選択肢を好むことで、時間選好は未来より今の報酬を重視することだよ

この研究で被験者となった農民も生活が最も苦しい収穫期の直前はこれと同じ性質を示しました。
しかし収穫期後に同じ課題を与えると、リスク選好・時間選好が解消し、合理的な判断が出来るようになっていたのです。
このことから状況次第で欠乏から脱することが出来ると分かります。

3-2 やるべきは支出の締め付け一択

お金の場合は収入と支出の双方に対策が出来ますが、収入を増やしてもさほど収支は改善しないと考えられます。
リソースを埋め尽くすように消費が膨張していくという性質があるからです。
この現象はパーキンソンの法則という名前でよく知られています。

広くて収納が多い家に住んでる人ほど持ち物が多くなるのとかが分かりやすい例だね

同じ荷物を持っていこうとすれば大きなスーツケースの方が有利です。
しかし小さなスーツケースでも必要最低限の荷物にとどめてお土産の余裕を作れる人もいます。
その一方でスーツケースは十分大きいのに、それ以上の荷物を詰め込もうとして余裕がなくなってしまう人もいるでしょう。

つまり肝心なのはカバンの大きさ云々ではなく、中に入れる荷物を選別することです。
カバンに入れるものがスマホと財布だけで良いなら、どんな小さいカバンでも入りますし、パッキングにあれこれ頭を悩ませる必要もないですよね?
これは極端な例ですが、多くの人が考えているほど生きていくのに無くてはならないモノは多くありません
自分の人生において本当に必要な荷物は何か?そのことを考える癖をつけることが欠乏から脱し、かつ二度と陥らないようにするために必要です。

モノを買うかの判断に有効な基準についてはこちらのページで解説しています。

まとめ

買い物の失敗が生む欠乏マインドとその悪循環について解説しました。
フリマアプリなどリセール環境があるお陰(せい?)で不用意に買い物をする人が多いように感じます。
リサイクルショップや蚤の市ほどでは安くはないですが、そこまで大きなリターンは期待できないのが現実です。
つまり買い物の判断は相変わらず慎重にすべきであり、そうしないと簡単に欠乏マインドに陥ってしまいます。

欠乏マインドとは一度落ちるごとにその高さが上がっていく平均台ようなものです。
地上にある時は平均台なんて難なくスイスイ渡れます。
しかし高さが上がっていきカ〇ジの鉄骨渡りともなれば、幅は同じなのにメンタルの影響でドンドン落ちやすくなってしまうでしょう。
平均台が地上にあるうちが肝心なので、気を抜いて最初の買い物の失敗を作らないことが肝心です。

最も根本的で有効な対策は収入を増やすことではなくそもそも買い物をしないこと
自分にとって本当にそれは必要なものか?を必ず一度立ち止まって冷静に考えるようにしましょう。
てなとこで。