メルカリで安く買う|値段交渉を成功させる脳科学テクニック3選

メルカリなどのフリマアプリは中間マージンが少ないため、リサイクルショップや古着屋よりも安く買えるのが魅力の1つです。

ただ、欲を言えばさらに安く完璧に納得のいく値段で買えたらと思います。
そのために値段交渉をするわけですが、ここが思うように進まない人が多いはずです。

思いつきで交渉をしても上手くいくはずがありません。
心理学や行動経済学などを上手く活用する必要があるのです。
このページではメルカリやラクマなどのフリマアプリで値下げ交渉を成功させるテクニックを紹介します。

このページでわかること

・値段交渉が上手くいかない理由
・交渉を成立させる心理学的なテクニック
・それぞれのテクニックの活用シーン

1 値下げ交渉は簡単ではない

まず値下げ交渉はスムーズに進むことは少ないことを知っておくべきです。
交渉が上手く進まない理由は大きく3つあります。

①プロスペクト理論 ②アンカー効果 ③保有効果

1-1 人間は損失に弱い

第一に人間は損失を過大評価する性質があるからです。
何かを失うことのダメージは、何かを得る喜びの約2倍にもなります。

つまり500円の損失は1000円の得がないと相殺できないってこと

値下げというのは本来得られたはずの利益が少なくなることを意味します。つまり大きな損失です。
交渉する側が「たった1000円の値下げ」と思っていても、売り主にとってはその倍のインパクトがあります。

立場次第で「たかが1000円」と「1000円も」が変わるってことだね

1-2 初期設定の影響の強さ

人間はものの価値を絶対的に評価できないため、何かと比較する相対思考に頼りがちになります。
その顕著な例こそがアンカー効果です。
これは最初に設定された基準点の強固さを示す心理効果のことを言います。

アンカーってのは錨のことね

人間はその基準点との差によって適性を判断します。
フリマアプリの交渉においては最初に売り手が設定した値段がアンカーです。

買い手はさておき売り手にはその値段が基準として強く意識されてしまっています。
「大体これくらいが許容範囲」というのが出来てしまってるわけです。

そのためいくら相場価格であっても、そこから大きく離れる金額での交渉には応じにくくなります。

買い手も常識的な人なら異常に大幅な値下げは交渉しないよね。これもアンカーの影響。

1-3 自分の持ち物は価値が高い

誰しも自分の持ち物に愛着を感じたことがあると思います。
どんなに使わなくなったものでも売ったり捨てたりするのには抵抗があるはずです。

自分の持ち物の価値を高く見積もってしまうこの心理を保有効果と言います。
この保有効果の面白いところはさほど魅力的で無かったものでも、いったん所有すると手放したくなくなってしまうということです。

要らないものでも簡単には捨てられないのにも納得だね

交渉を見越して価格を乗せてる人もいますが、自分の持ち物に対する多分な過大評価が含まれているわけです。
おまけに買い手からしたら全く知ったことではありませんが、思い出などもそこに上乗せされています。

こうした背景があることから、いくら「相場価格はこれくらいだ」と正論を突き付けても会話が成立しないのです。

2 難しい値下げ交渉を成功させる方法

このようにフリマアプリで値下げ交渉を成功させることはかなり難しいことです。

しかし心理学や行動経済学の知見を活用すれば、この難しい交渉を成功させられる可能性が高まります。
具体的なテクニックは以下の3つです。

①理由をつける ②ドアインザフェイス ③フットインザドア

2-1 理由をつけるだけで同意する

最初に紹介する方法は非常にシンプルなもので、値下げ交渉に理由をつけるというものです。
あまりにシンプルすぎてやる意味を感じないかもしれませんが、想像よりもかなり大きな効果があります。

大学の図書館のコピー機に出来た列を譲って貰うための方法に関する有名な実験があります。
ただ「コピー機を先に使わせてくれませんか?」とお願いするだけでは譲ってくれた人は60%だけでした。

しかし「コピーをしたいので、コピー機を先に使わせてくれませんか?」と聞くと、今度は93%の人が譲ってくれたのです。
冷静に考えれば理由でも何でもないですが、実際に効果がありました。
このことから「~ので」があるだけで人は依頼に同意しやすくなることが分かります。

「急いでるので」という理由づけの承諾率は94%で有意な差はなかったのがまた面白いとこ

とは言え実際の値段交渉の場で理由にならない理由を持ち出しても「頭おかしい奴だ」と相手にされない可能性が高いです。
それなりに説得力のある理由をつける必要はあります。
ぼくのオススメは以下の2つです。

①他の商品との比較 ②ポイント消化

2-1-1 別の商品と悩んでることを伝える

1つめが他の出品者の商品と迷ってると伝えることです。
「ここまで値下げして貰えたらこちらに決めるのですが…」といった感じです。

この方法は特に代えが利くタイプの商品に効果があります。
「交渉に応じれば売買が成立する」という確証を相手に与えることができるのもメリットの1つです。

2-1-2 ポイント消化を理由にする

フリマアプリでは自分の売上金や保有してるポイントで買い物をすることが出来ます。

ポイントはそのサイトでしか使えないですし、売上金の現金化には手数料がかかります。
そのため半端な売上金やポイントを買い物で綺麗に使いきりたいというのは多くの人が感じることです。

このように誰もが感じたことがあることを理由にすると説得力が上がります。
さらに売上金やポイントの残金っぽく見えるようにわざと中途半端な額にするのもポイントです。

ただしこの方法はあまりに高額な商品には効果を発揮しにくいという難点があります。
ポイント消化を理由に50000円を45280円に交渉しても、「そもそもそんなにポイントあるのか?」となりますし、ポイント消化感が薄れるからです。

そんなにあるなら現金振り込みすれば良いじゃんってなるね

2-2 ドアインザフェイステクニック

ドアインザフェイステクニックは行動経済学を利用した営業手法として非常に有名な方法です。
マーケティング手法としては基本中の基本なので、勉強家な営業マンなら知ってて既に実践してるかもしれません。

日本語だと譲歩的要請法って言われるよ

ドアインザフェイステクニックとは簡単に言えば大きな要求を最初にして、断られたら少しサイズダウンした要求で再トライするという方法です。

具体的には自分が求めてる以上に大幅な値下げを交渉し、断られたところで本当に求めてる額で再度交渉します。
これが交渉を進める上で有効な理由は以下の2つです。

①罪悪感 ②相対思考

人間は断るという行動に想像以上に大きなストレスを感じます。
自分が悪くなくても罪悪感を感じることになるからです。

それは相手の要求がどんなに非常識で論外なものであっても変わりません。
断る回数が増える度に相手は同意しやすくなります。

もう1つの理由が相対思考です。
これは物事の大きさを何かとの比較で考えてしまう性質のことです。

例えば5000円の値下げで交渉していた後に「じゃあ1500円の値下げはどうでしょう?」と言われると非常に些末に思えます。
この性質をセールスに応用したものがダウンセルという手法です。

スーツを勧めてダメならネクタイみたいな感じね

因みにラッキーパンチで最初の交渉にそのまま応じてくれることもあるよ

2-3 フットインザドアテクニック

もう1つ名前のよく似た交渉の手法がフットインザドアテクニックです。
これも行動経済学を利用したマーケティング手法としてよく知られています。

フットインザドアテクニックとは簡単に言えばドアインザフェイステクニックの真逆です。
小さな要求から始めて、徐々にお願いを足していき目的を達成します。

具体的には寸法の計測を依頼し、次に送料を込みにしてもらい、最後に追加の値下げをお願いするといった感じです。
この手法が効果的な理由は2つあります。

①一貫性の原理 ②サンクコストバイアス

人間は自分の言動に一貫性を持たせたいという性質が強くあります。
昔から社会生活を営むに当たって言行一致は必須の要素だったのでしょう。

今でも有言不実行は好ましくない行動の典型ってされてるよね

そのため小さな要求だからと簡単に応じてしまうと、承諾というレールに乗ってしまい断りにくくなってしまうのです。
最初の取っ掛かりが重要なのでなるべく小さな要求に止めましょう。

そしてもう1つ交渉にかけた時間や労力というのも重要なポイントです。
人間にはサンクコストバイアスという性質があり、これまでかけた投資や労力に判断を大きく歪められます。

複数の項目で交渉を長引かせることで、「ここで交渉決裂したらこれまでかけた労力がムダになる」と無意識に思いやすくなります。
なるべく交渉する項目を増やし相手の投資した時間を長くする工夫をしてみましょう。

まとめ

メルカリなどのフリマアプリで値下げ交渉を成功させるためのテクニックについて解説しました。

様々な心理効果が働く影響で持ち物の売買において交渉はスムーズに進みません。
上手く進めるにはこちらも心理特性を上手く利用する必要があります。
以下の3つのテクニックが有効です。

①理由づけ:理由をつけるだけで同意する確率が上がる
②ドアインザフェイス:大きな要求から小さな要求にシフトしていく
③フットインザドア:小さな要求から徐々に要求を増やしていく

理由づけはどんな交渉にも使えますが、ドアインザフェイスとフットインザドアはシーンによって使い分ける必要があります。
傾向としては高額なものにはドアインザフェイス、安価なものにはフットインザドアが有効です。

自分が売り手だったらどんな交渉に応じやすくなるか、そこを考えて色々ためしてみましょう。
てなとこで。