【ミニ株とは?】単元未満株サービスのメリット・デメリット|個人投資家にオススメ

ついに楽天証券まで参入したことで、単元未満株・ミニ株サービスに改めて注目が集まっています。
なお、2023年の春から始まった楽天証券の「かぶミニ」のサービス概要やメリットなどについて詳しくは別のページで解説します。

このページでは単元未満株・ミニ株サービスの全般的なメリット・デメリットについて解説します。
特に個人投資家にとって投資の選択肢を拡げることに繋がるはずです。

めちゃめちゃ良心もうとっくに活用してる人もいるはずだから知ってる人も多いかもしれないけどね的

今回紹介する内容は楽天証券の「かぶミニ」に限らず、全ての単元未満株・ミニ株サービスに共通する一般的な内容です。
なので、そもそもこのサービスを利用するかの判断に役立てて貰えると思います。

1 ミニ株サービスのメリット

ミニ株サービスを利用するメリットは大きく以下の4つです。

・参入障壁が下がる ・分散投資 ・配当金 ・NISA口座での運用

1-1 参入障壁が低くなる

メリットの中でも個人投資家にとって特に大きいのが、投資への参入障壁・ハードルが下がることです。

日本株は単元制をとっており最低取引単位という株数の下限が設定されています。
具体的には1単元100株での売買です。

因みに最近人気の米国株は1株単位で購入できるよ

売買単位の話をする際によく引き合いに出されるのが、日本が世界に誇る大企業であるトヨタ自動車やUNIQLOを展開するファーストリテイリングの株価です。

トヨタ自動車ファーストリテイリング
1株:1,860円 100株:186,000円1株:32,000円 100株:3,200,000円
2023年4月時点のおおよその株価

UNIQLOの株持つのに300万円も必要なのか…

こう見比べるとトヨタが安く見えるのが不思議です。
この例はさすがにかなり極端ですが、とは言え個人投資家にとって資金的に大きなハードルになることは間違いありません。

たった1000円の株でも10万円必要になるからね

1株単位で購入できるとなれば、数百円・数千円の資金からでも株を購入することができます。
資金面にそこまで余裕がない人でも個別株投資に参入するハードルが低くなるというのがミニ株1つ目のメリットです。

ファストリでも1株なら3万円で買えちゃうからね

大手企業がなんぼのもんじゃい

1-2 分散投資がしやすくなる

参入のハードルと同じくこちらも資金面の関係です。
単元での売買では1つの銘柄だけでもそれなりの資金を要するので、複数の銘柄を購入しようとすればさらに多くの資金が必要になります。

分散とは企業・銘柄だけでなく、セクターの分散も考えなければいけません。
1つの企業・セクターに集中した状態だと、1つの事象によって手持ちの銘柄の全てがマイナスを食らうことになってしまいます。

できるだけ影響要因が遠いセクターに分散した方が賢明だね

また銘柄やセクターの分散だけでなく、購入する時期の分散も意識する必要があります。
現時点の価格が高いのか安いのかは後になってからじゃないと分かりません。

高値掴みしたら落ちてく一方だもんね

そのリスクを回避するためにも購入タイミングの分散が重要になるんだよ

こうした銘柄・セクター・時期の分散を限られた資金の中で行うとなると投資信託の積み立てを選択するのが一般的になります。
それだけだとなかなか大きなリターンは望めません。

インデックスで市場平均を取りに行くか、高配当でちょっと欲を出すか

そこにミニ株を含めることで投資の選択肢の幅が拡がることになります。

1-3 配当金が受け取れる

最近は高配当株への投資なども人気になってきてるので、ミニ株でも配当金が受け取れるのかも気になるポイントだと思います。
結論から言うと配当金はミニ株でも受け取れます。

配当は1株ごとに支払われるので、持ち株数に応じた分配金が支払われます。
1株当たりの年間の配当金が15円の株を40株持っていたとしたら600円です。

優待は受け取れるの?

配当金と並んで株主優待も人気ですが、こちらは基本的には貰うことは出来ません。
ほとんどの企業が100株以上、場合によっては500株以上などと条件を設定しているからです。

ただし中には1株から優待を設定している企業もあります。
代表的なところで言うと以下のような会社の株が有名です。

・東京日産コンピュータシステム ・上新電機

1株から優待が受けられるのは魅力的ですが、企業側のコストも大きいと予想されるので、長くは続かない可能性も考慮しておく必要はありそうです。

もう1つあまり関心がある人は多くないかもしれませんが、株主総会での議決権も優待と同じく単元に達しない分については付与されません。
1単元100株につき議決権1票となっているので、こちらは例外なく対象外です。

ミニ株で購入したとしても、積み上げて100株に到達すれば単元化して通常の単元株と同じ扱いを受けることができます。
100株単位で設定されている優待を受け取ることもできますし、議決権も付与されます。

因みにこの単元化は、後で解説する手数料にも関係してくるよ

1-4 NISA口座での運用も可能

単元未満であることを除けば通常の株と何ら変わりないので、わざわざ触れる必要もないかもしれませんが、ミニ株はNISA口座での運用も可能です。

2024年からNISA制度が改正され、生涯での非課税投資枠が1800万円となっています。
高配当株に投資をしても配当に課税されてしまうと旨味が半減してしまうので、非課税で配当金を受け取りながら積み上げていけるのはありがたいところです。

因みに個別株は成長投資枠扱いでMAX1500万円までね

1点注意が必要なのは売買の手数料です。
詳しくは後ほど解説しますが、NISA口座内での買い付けであっても手数料が発生してしまいます。

ネット証券とかだとNISA口座内の売買手数料が無料になってたりするんだけど、ミニ株は対象外なんだよね

2 ミニ株サービスのデメリット

ミニ株サービスを利用することによるデメリットは大きく以下の3点です。

・手数料 ・売買方法 ・取扱銘柄数

2-1 ミニ株は手数料が高い

ミニ株サービスで最も大きなデメリットが取引にかかる手数料の高さです。
大手ネット証券における通常の単元株での売買であれば、手数料はほぼかかりません。

約定代金によるけど、現実的に個人投資家レベルならほぼかからないね

その一方でミニ株サービスの場合は1取引ごとに手数料がかかり、しかもその額がかなり割高なケースが多くなっています。
既に解説したとおり、NISA口座内での取引であっても割高な手数料体系が適用されてしまいます。

手数料は税金と並んで投資リターンを削る原因になるので、ここはなるべく小さくしなければいけません。
利便性と引き換えに、通常の取引以上に大きなリターンを生まないといけなくなる点には注意が必要です。

この点でカギになるのが既に少し触れたミニ株の単元化です。
ミニ株で購入した株であっても100株に到達すれば取引手数料の体系も単元株として扱われることになります。

つまり売却時の手数料がかからなくなるってこと

1株ずつ買って行って100株に到達するってめちゃ気が遠くなるね

長期投資を前提にコツコツ積み上げていくような運用を気長に続けていく必要があります。
単元化によって売却時の手数料が発生しなくなることを考えると、証券会社を選ぶに当たって買付の手数料が安いかどうかという視点も入って来そうです。

2-2 売買の方法が限られている

単元株の取引に比べると売買がしにくいというのもデメリットです。
単元株での取引を単元未満として処理し直すため、どうしても約定方法のバリエーションが少なくなってしまいます。

大手のネット証券で提供されている売買の方法は大きく以下の2つです。

・寄付扱い ・成行注文

2-2-1 寄付扱い

2つの方法のうちでも特に一般的なのが寄付扱いというものです。
厳密に分類すると証券会社ごとに約定タイミングに違いがありますが、簡単に言うと「取引時間帯に入る前に売買注文の予約を出しておき、始まってすぐに付いた価格で約定する方法」です。

場中に注文を出した場合は、次の場で注文が実行されるよ

注文した時と実行されるタイミングにラグが出来ちゃうんだね

2-2-2 成行注文

もう1つ成行注文またはリアルタイム取引などの名前で提供している証券会社もあります。
こちらの方法は1つ目の寄付扱いに比べるとそこまで一般的ではありません。

こちらは名前のとおりリアルタイム・その場の相場に近い価格で取引が成立する方法です。
寄付扱いと異なり、場中で注文を出せばその場の中で取引が成立することになります。

買いたいって思った値段で売買ができるってことだね

もちろんそれなり数の売買注文が出てることが大前提だけどね

2-2-3 指値注文ができない

あまり個別株の売買に馴染みがない人の場合は、以上の2つの方法に対応してれば十分に感じるかもしれません。
特に成行注文にさえ対応してれば売買には問題ないと思えそうです。

確かにずっと市場や株価チャートに張り付いていられる人なら、この2つだけで足ります。
しかし多くの人は日中に仕事をしているので、株価をウォッチし続けることは出来ません。

そこで重要になるのが指値・逆指値という注文方法です。
簡単に言えば、取引を実行する条件を事前に設定しておいて自動で執行させる方法になります。

「いくらまで上がったら売る」とか「いくらまで下がったら買う」ってことね

因みに逆指値はこれとは逆に「いくらまで下がったら売る」とかだよ

このように条件を設定しておけば、常に株価をウォッチしてなくても取引を実行することができます。
また心理的な影響を抜きにして、機械的に投資ルールを実行する上でも重要です。

そのためぼくはこの注文方法を多用していますが、このような方法が使えないというデメリットになります。

2-3 取り扱いできる銘柄が限られる

証券会社側で特殊な取引や手続きが必要になる関係で、ミニ株サービスに対応している銘柄数が限られるという点もデメリットです。
せっかく銘柄を選定してもミニ株では購入できない可能性があります。

ネット証券の中でもかなり早い時期からミニ株サービスを提供していたSBI証券やマネックス証券は東証に上場している全ての銘柄を売買することができます。
東証全銘柄に対応していれば、買いたいのに買えないって銘柄はほぼないはずです。

ただ取引の方法が寄付扱いに限られるのが難点だね

一方のリアルタイム取引を提供している証券会社のうち、東証の全銘柄に対応しているところは現状ありません。
こちらは技術的により難易度が高いということでしょう。

楽天証券は徐々に対象銘柄を拡大していく予定と発表していますが、開始当初がたった100銘柄です。
かつどこまで拡大する予定かも明らかにされていないので、寄付扱い並みとまでは行かないかもしれません。

まとめ

単元未満株・ミニ株のメリットとデメリットを解説しました。

売買の単元が100株になっており個人投資家にとって大きなハードルとなっていますが、1株から購入できるとなれば、それが大きく下がることになります。
参入ハードルが下がるだけでなく、銘柄やセクター・購入タイミングの分散も計りやすくなるので、投資リスクを下げることにも役立ちます。

投資に回せる余裕資金が数千万単位で無いと効果的な分散はしにくいもんね…

そして配当金については1株から受け取ることができ、コツコツ積み上げていき単元化すれば株主優待や株主総会での議決権も付与されることになります。
長期投資をしていくモチベーションになることが期待できます。

一方で手数料が高めに設定されており、通常の取引に比べてロスが大きいというのが一番のデメリットです。
また取引方法や銘柄が限られているため、単元株の取引よりもかなり自由度が低くなってしまいます。

ただし手数料については単元化で回避することが可能です。
また一気に100株単位で売買してしまう取引と違って、ミニ株の場合は数十円の違いが致命的なダメージを与えることもないので、指値などに拘る必要もそこまでないのかもしれません。

またサラリーマンは日中は市場に参加できないので、リアルタイム取引を活用するシーンもほとんどないと思われます。
寄付扱いとなればSBI証券やマネックス証券が東証の全銘柄に対応してるので、銘柄数の制限の影響も受けません。

そう考えるとデメリットの大きさはかなり薄れてくるね

もちろん細かく拘りたいなど個人差があるので、万人に絶対オススメというわけじゃありませんが、個人投資家にとって有力な選択肢であると言えるでしょう。
各証券会社のサービス比較もするので、ぜひ前向きに利用を検討してみてください。
てなとこで。