【楽天証券もミニ株に参戦】新サービス「かぶミニ」のメリット・デメリット
2023の4月17日から楽天証券で単元未満株・ミニ株の取り扱いが開始されました。
そのサービスの名称は「かぶミニ」です。
当初のプレスリリースでは「2023年春から」ってめっちゃザックリな告知だったね
楽天証券というと近頃はポイント還元などサービスの改悪が続いてるので、あまり良い印象を持ってない個人投資家も多いかもしれません。
そんな中にあって珍しくサービスの拡充になりました。
ライバルのSBI証券に押されまくってるから、危機感を感じてるのかもね
このページでは、今回新たに始まる楽天証券の「かぶミニ」について詳しく解説します。
・ミニ株の一般的なメリット
・楽天証券の「かぶミニ」に独自のメリット
・取引する上で気になる手数料
・かぶミニのデメリット
ミニ株サービスは個人投資家の投資の選択肢を拡げることにも繋がる可能性があります。
自分にとって有益で利用の余地があるサービスなのかどうか判断する参考にしてみてください。
なお単元未満株・ミニ株の一般的なメリット・デメリットについては別のページで解説します。
基本的な事項について確認したい場合はそちらの解説をご覧ください。
1 楽天証券「かぶミニ」のメリット
楽天証券のミニ株サービス「かぶミニ」に独自のメリットは大きく以下の2つです。
①買付方法のバリエーション ②ポイント投資
1-1 買い付け方法のバリエーション
まず1つ目が株の注文・買付方法のバリエーションが豊富なことです。
具体的には以下の2つの方法が設定されています。
・寄付扱い ・リアルタイム取引
1-1-1 寄付扱い
寄付扱いはミニ株サービスで一般的に提供されている買付方法で、大手のSBI証券やマネックス証券でもこの買付方法を採用しています。
【寄付扱いとは?】
取引時間の前に注文を出しておき、寄付(取引が始まってすぐのタイミング)で付いた価格で購入するという方法
各社ごと売買が成立するタイミングや回数などに若干の違いはありますが、大まかにはこのイメージでOKです。
事前に注文を出しておくことになるので、「今この値段で買いたい!」というようなタイミングを計る取引は出来ません。
こちらの買い付け方式の対応は当初1000銘柄から開始するとのことです。
順次拡大予定なので、追々は買えない銘柄も少なくなってくるものと予想されます。
1-1-2 リアルタイム取引
ライバルである大手のネット証券が対応できていないリアルタイム取引にも対応しているところが楽天証券「かぶミニ」の大きな売りの1つになっています。
メジャーどこじゃなければLINE証券とかも対応してるよ
【リアルタイム取引とは?】
いわゆる成行注文と呼ばれるもので、場中(取引時間中)に売買の注文を出し、その時の売りと買いの状況から相場に近い価格で購入する方法。
こちらの方が一般的な株取引としてのイメージが強い方法だと思います。
株価のチャートや板を見ながら注文を出して、そこに近い価格で売買が成立することになるので、タイミングを計った取引が可能です。
注文と取引のタイムラグが無く取引できるってこと
狙った価格で売買できるのはありがたいね
こちらについてはシステム的に対応のハードルが高いのか、サービス開始当初は100銘柄のみからスタートするとのことです。
こちらも順次拡大していく予定とのことですが、寄付扱いに比べると購入したい銘柄が対応してない可能性が高いと思われます。
1-1-3 【補足】日計り取引にも対応
この他に楽天証券「かぶミニ」では、日計り取引にも対応しているとのことです。
メインどこのメリットではありませんが、一応サービスとして展開されているので紹介します。
【日計り取引とは?】
買った銘柄をその日の内に売却する株取引の方法
あまり知られていませんが、株の売買による現物の受け渡しにはタイムラグがあります。
売買が成立(約定)した2日後が受け渡し日になるからです。
つまり購入した銘柄を売却したり権利を行使できるようになるのは、実際に現物が受け渡される約定の2営業日後になるってことです。
しかし楽天証券の「かぶミニ」では約定したその日に現物の受渡しが行われるので、買ったその日にその株を売却する日計り取引が可能になります。
つまりデイトレできるってことだね
デイトレードは売買の回数が多く、その分だけ手数料負けしていくことになるので、少なくとも初心者にはオススメしません。
なので、あくまでオマケとしての紹介です。
ずっとパソコンにかじりついてるのも大変だしね…。
1-2 ポイント投資が可能
もう1つのメリットがポイントをミニ株の購入に充てられる点です。
ここはライバルであるSBI証券も未だ対応できてないので、1歩アドバンテージとも言えます。
楽天経済圏はポイント還元の大きさを売りにして囲い込みを行っているので、そのポイントの使い道が浪費ではなく投資に振り向けられるのは大きなメリットです。
ポイントを貯めると言ってもそこまで高額にはならないので、少額で買えるミニ株に使えるのは実態に即していると言えます。
因みにポイント投資に使えるのは通常ポイントだけになると思われます。
投資信託の購入にポイントを充てる際も期間限定ポイントは使えないからです。
ここまで使えるようになるとありがたいんだけどね…。
期間限定ポイントは別で有効な使い道を考えないと…
ただしこのアドバンテージは長くは続かないのではないかと予想しています。
というのも最初にライバルのSBI証券の名前を出しましたが、こちらもSBI経済圏としてVポイントの還元を売りにして楽天証券の顧客を奪いにかかっているからです。
はっきりライバルを潰しにかかるって明言してるもんね
すぐにとは行かないまでもゆくゆくはSBI証券のミニ株サービス「S株」もポイント投資に対応してくる可能性は高いです。
期間限定ポイントまで使えるとなれば楽天証券を上回ることになります。
希望的観測だけどね
2 楽天証券「かぶミニ」の取引手数料
単元未満株・ミニ株の取引において特に気にあるポイントが取引にかかる手数料の高さです。
個人投資家にとって便利でありがたいサービスである代わりに手数料が通常の取引より高めに設定されています。
まず購入時の手数料は無料です。
ここに関してはauカブコム証券以外は全て無料になっているので横一線といった感じです。
そして売却時にかかる手数料は1回につき11円と定額で設定されています。
SBI証券やマネックス証券、auカブコム証券などは約定代金に0.55%と定率で設定されているので、ここが大きな違いになります。
どちらが有利かと言えば、それは売却時の約定代金の大きさによって異なります。
金額が小さくなると定額の手数料が占める割合が大きくなりますが、大きくなればかなり比率は小さくなります。
定率設定のとこも最低手数料が設定されてたりするから、約定代金が安いほど定率が有利とも言い切れないけどね
因みに単元未満株・ミニ株として買い付けたとしても、最終的に100株に到達すれば単元株として扱われるようになります。(単元化)
つまり売りの手数料も通常の単元株の体系に従うようになるってことです。
単元株の取引だと実質的に売買手数料は無料だね
100株に到達すれば売る時の手数料はかからなくなるって考えて良いんだね
3 楽天証券「かぶミニ」のデメリット
楽天証券の「かぶミニ」には、他の大手ネット証券が対応してない機能などメリットがある一方で、デメリット・ザンネンポイントも存在します。
具体的には以下の4つです。
・指値注文 ・スプレッドの存在 ・スマホアプリ ・取扱銘柄の幅
3-1 指値注文ができない
複数の買い付け方法に対応している楽天証券の「かぶミニ」ですが、残念ながら指値注文には対応していません。
【指値注文とは?】
買いたい金額・売りたい金額を指定して注文を出す取引の方法
指値注文のメリットは大きく2つあります。
市場に参加できない時間帯でも買いたい・売りたい値段で取引を実行してくれることと、売買のルールを守りやすくなることです。
ぼくも単元株の取引では指値注文を多用しまくってるよ
ここまで下がったら買うとか、ここまで上がったら売るとかできて便利だよね
ミニ株の取引においては他の証券会社も含めてどこも指値注文には対応していません。
そのため楽天証券が特別ほかの証券会社に遅れを取ってるとは言えません。
ここでデメリットとして挙げているのは、リアルタイム取引が出来ても指値注文が出来ないとあまり意味がないと感じるからです。
株式市場が開いているのは日中だけで、多くの人は仕事をしてる時間帯なので、リアルタイムで取引することは出来ません。
つまり指値注文ができないと実質的には寄付扱いと大差なくなってしまうってことです。
デイトイレーダーになるなら別だけどね
冗談はさておき、日計り取引も含めてデイトレーダーを念頭に置いたサービスという印象が強い感じがします。
3-2 スプレッドが発生
2つ目のデメリットが取引にスプレッドが発生することです。
あまりこのワードに馴染みがないという方も多いかもしれません。
ファットスプレッドかスプレッドシートなら聞いたことあるけど
全く関係ないね(ないよね?)
スプレッドとは日本語に訳すと利ざやや価格差という意味で、よくFXトレードで出てくるワードです。
内情はと言うと取引にかかる証券会社の取り分なので、簡単に言えば手数料に当たります。
界隈では見えない手数料って呼ばれてるみたいだね
SBI証券やマネックス証券のミニ株取引では手数料という項目に一本化されてますが、楽天証券の場合はスプレッドとして別盛りにされています。
スプレッドという名目で設定してる証券会社は他にもありますが、手数料と別に掲載してるのは楽天証券だけです。
知識のない投資家を騙そうって魂胆かな
さすがに性悪説が過ぎるけど、そう思われても仕方ない感じの手数料体系だよね
具体的にどれくらいのスプレッドが発生するかと言うと、往復とも0.22%が定率でかかります。
既に解説したとおり、ミニ株で購入しても100株に到達すれば単元株として扱われることになります。
つまりコツコツ買い貯めていく長期投資が前提の場合、売りの手数料は発生しなくなるということです。
そうなると売りにしか手数料が無いSBI証券やマネックス証券では、往復とも手数料を掛けずに売買ができることになりますが、楽天証券の場合は買いでもスプレッドがかかるので、こちらは確実にかかってしまいます。
往復全体で見ると手数料では不利と言えます。
短期で売買を繰り返すスタイルの人なら往復でも0.44%だからSBIとかより有利になるかもね
やっぱりデイトレーダー向けのサービス臭が強いね
3-3 スマホアプリが使用できない
楽天証券の一般の株取引ではスマホアプリが展開されていますが、残念ながらこのスマホアプリ上でミニ株の取引をすることはできません。
スマホから注文を出す場合でもウェブサイトにアクセスして手続きをする必要があります。
PCサイトにアクセス・ログインって地味にめんどくさい…。
楽天証券のスマホアプリって見やすくてめちゃ使いやすいから余計に残念だね…。
さすがに保有資産の一覧にはミニ株も掲載されることになると思いますが、スマホアプリでチャートを確認してて、注文したいとなったらPCサイトにログインし直すというのはなかなかの手間で、タイムラグも生じます。
こういうところもまたずっとPCに張り付いてるデイトイレーダー向けって感じがするね
システム対応をする前にリリースした可能性もあるので、今後スマホアプリの改修の際にミニ株にも対応をするようになるかもしれません。
ただし大がかりな改修になりそうなので、すぐには難しいと予想しています。
3-4 取り扱い銘柄の対象範囲
ミニ株取引の対象になる銘柄の範囲にもやや難があります。
まず楽天関連の銘柄については取り扱い対象外です。具体的には以下のとおり。
・楽天グループ関連銘柄 ・楽天が大口保有してる銘柄
これは完全に大人の事情絡みだろうね
その他にETFや米国株など元から1株単位での取引になっているものについても対象外とされています。
これに関してはわざわざ断るまでも無いですが、記載されていたので一応の紹介です。
そして何より影響が大きいのが全体的な対応銘柄の少なさです。
既に紹介したとおり、寄付き扱いが1000銘柄、リアルタイム取引は100銘柄です。
規模感が分からないかもしれませんが、東京証券取引所に上場している銘柄数はおよそ3800です。
つまりその4分の1にしかならないってことです。
リアルタイム取引に関しては40分の1…。
買いたい銘柄が対象じゃない可能性の方が高いね
因みにライバルのSBI証券やマネックス証券は東証と名証に上場してる全ての銘柄が売買の対象になっています。
そして福証と札証に上場してる銘柄も売却のみは対応してるという充実ぶりです。
楽天証券も取り扱いの対象銘柄を徐々に充実していく予定とはしてますが、この溝を埋めるにはそれなりの時間がかかるかもしれません。
銘柄の拡充にシステムの改修にとリクエストは止まらないね
まとめ
楽天証券で開始される単元未満株・ミニ株サービスの「かぶミニ」について解説しました。
他の大手ネット証券が対応していないリアルタイム取引やポイント投資に対応してる点が主な評価ポイントです。
また「手数料」という設定に関しては11円と定額なので、約定代金が高くなるほど他のネット証券より割安になっていきます。
日計り取引にも対応してたね(いちおう)
しかし残念なポイントもいくつかありました。具体的には以下の4点です。
デメリット | 影響 |
---|---|
①指値注文ができない | 日中に市場を見れないとリアルタイム取引は活用できない |
②スプレッドがかかる | 手数料とは別に往復ともに0.22%のスプレッド(≒手数料) |
③スマホアプリに非対応 | 見やすさ使いやすさに定評のアプリが使えない |
④取扱い対象銘柄 | SBIやマネックスに比べるとかなり見劣りする水準 |
まだ始まったばかりなので、これからサービス内容や銘柄の範囲・スマホアプリの対応などは進んでくると考えられます(願望)。
ネット証券の競争は激化してるので、ユーザーに嬉しいサービスになることを期待しましょう。
てなとこで。
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