【ヤフオクの罠】オークションサイトの正しい使い方|間違えるとお金を余計に失う?【仮の保有効果】

ネットオークションやフリマアプリなど中古販売の市場が活性化しています。

定価で買うより安く買えたり、買い逃してしまったものを買うことができたりメリットは沢山あります。

ただ良いことばかりじゃないのは世の常です。

特にオークションにおいては参加の仕方に注意しないと余計なお金を失うことになりかねません。

このページでは正しいオークションの参加方法について、人間の心理特性を交えながら解説します。

1 オークションでの行動を狂わせる心理

人間は客観的に見ると驚くほど不合理な行動を取るものです。

合理家を自称し、効率性を追求してるぼく自身も後から振り返って自分の悪手を悔やむことが時々あります。

これは人間には理性だけでなく、原始的な脳による心理や本能というものが存在しているからです。

そしてこの心理特性がオークションという環境においても問題行動を引き起こします。

1-1 架空の授かり効果が問題

授かり効果(保有効果)についてはこのブログでも過去に解説しているので、詳細な説明は割愛して簡単に紹介します。

詳しくはこちらのページの解説をご覧ください。

授かり効果は保有効果とも言われ、自分の持ち物の価値を高く見積もってしまう傾向のことです。

授かり効果がオークションにどういう関係があるかというと、入札中の架空の所有意識です。

入札して最高入札者でいる内にそれを所有した自分の生活を想像しています。

ほとんどの人があんま自覚してないと思うけどね

服なら、どんな服とコーディネートするか、デートに時に着ていったらどんな反応をしてくれるか、などと夢想するわけです。

気分としてはもう落札して、それが配送されるのを待ってるような状態ですね。

因みに実際に触れるだけでも所有意識が芽生えることが分かってるので、買う気もないのに無闇に商品に触れたり試着するのは危険です。

1-2 激情が判断を狂わせる

もう1つ激情という強力で厄介な心理が人間にはあります。

簡単に言えば感情が高ぶった状態で、この時は普段の平常時にはできる冷静な判断ができなくなります。

性的な興奮状態が最も分かりやすい例で、どんな理性的な人であっても普段は出来るはずの分別ある判断や理性が効きにくくなってしまうものです。

(架空の)所有意識を持った以上、他人が自分以上の金額を入札してくるのは、自分から持ち物を奪われるように感じます。

誰でも自分のものを盗られるのは良い気がしません。怒りを覚える人も少なくないでしょう。

その感情が正常な判断力を奪ってしまうのです。

1-3 2つの影響で入札上限額がアップ

最初に入札するとき「だいたい○○円くらい」と相場や自分の懐事情から上限額をうっすら決めているはずです。

「これを逃したらもう手に入らないから金には糸目を付けぬ」という品でもない限り、目安は決めておいた方がいいでしょう。

しかし予算を決めていても、それが架空のものであろうが一旦所有意識が芽生えてしまうと授かり効果が発動してしまいます。

つまり欲しいと思った当初より価値を高く見積もるし、かつ落札できないことは自分の持ち物を失うような感覚になるのです。

プロスペクト理論と言って人間は損失を大きく見積もる傾向があるので、盗られるのは何としても避けなければいけません。

激情も手伝ってムキになって何としても自分のものにしようと(取り戻そうと)してしまいます。

結果、当初決めていた入札上限を超えてまで競り合うことになります。

厄介なのが、失う恐怖から冷静さを失ってるのは自分だけじゃなく、競り合ってる相手もだってことです。

どちらかが予算の限界を迎えるか入札額の高さに気付いて青ざめるまで続くことになります。

出品者と主催者的には熱くなってくれるほどありがたいんだけどね

2 正しい参加の仕方

ではオークションで、自分の支払い能力以上の金額まで競らないようにするためにはどのような参加方法が正しいのでしょう?

間違っても「自分は心理状態をコントロールできる」などと愚かな勘違いをしてはいけません。

株でもダイエットでも禁煙でも、成功してる人は自分の心理を把握し、その弱点の影響を最小限にして戦っています。

失敗する人は十中八九自分のことを過信してる人で、心理や本能とは真っ向から戦わないのが正しい戦略です。

この心理的な問題を緩和するために、大きく分けて2つの戦略があります。

2-1 戦略1:最終日まで入札しない

オークションの最終日まで入札しないのが一番簡単な対策です。

「これ欲しいな」と思った時点から徐々に夢想が始まり、架空の所有意識は多少生まれてしまいます。

が、やはり入札するという具体的な行動は、その金額を払うという具体的な行動・意志表示でもあるので所有意識が強くなります。

絶対に落札できるわけがない初期の入札であったとしても間違いなく生じてしまうのです。

架空の所有意識を極力持たないようにするため、最終日に自分の予算額で「1回だけ」入札して終わりにします。

そして入札した後は成り行きを見守らず、入札時間が終わるまで開かずにいましょう。

最終日の時点で自分の予算額を現在値が超えていた場合は大人しく諦めましょう。

一番大事なことはそれを手に入れることではなく、「自分の納得できる金額で」買うことです。

理にかなった金額だという自信がないなら買わないのが正解です。

余談ですが寝付く直前までヒートアップして競り合っていると、ドーパミンやアドレナリンが出て目が冴えてしまいます。

これは睡眠時間にも睡眠の質にも悪影響なので、それを回避できるという点もメリットです。

2-2 戦略2:入札上限額を入札する

もう1つの方法は早々に自分の上限額で入札してしまうという方法です。

ヤフオクなどのオークションサイトでは価格帯ごとに入札額の刻みが決まっていますが、それよりも高い金額であらかじめ予約入札ができます。

入札上限で予約入札をしてからはページを一切見ずに、終了日の翌日の朝に落札できているかを確認するだけです。

激情を煽るため最高入札額の更新通知を出してくるので、戦略に踊らされないようアプリの通知は必ずオフにしておきましょう。

入札という行動をしてしまう分、保有効果が生じてしまう可能性がありますが、これには別に大きなメリットがあります。

まず予算を確実に守ることができることです。

戦略1の場合、最後の入札時点で予算額を超えていた時に「もうちょっと高くても良いか…」と決断を揺らがせる可能性があります。

しかし早々に入札してしまえば、予算変更などのムダな試案をする余地がなくなります

もう1つが競争相手を減らし、早々に戦意喪失させる効果があります。

既に説明した通り、オークションで競る相手が保有効果や激情を抱くことにも注意が必要です。

予約入札をしておけば、自分の上限額までは勝手に相手を上回る金額で入札が入ります。

現在値がいつまでも安い金額のままでいると、安さに釣られて参加者が増えてしまいます。

しかし自動入札でそれなりの額まで吊り上がっていけば、「安く買えるかも…」などと淡い(かつ叶うわけない)期待を抱く人も排除されます。

その期待が仮の保有効果のもとでもあるので、その芽を開始早々に摘んでしまうってことです。

もちろん本当に欲しくて堅実に競ってくる相手もいるので、必ず落札できるとは限りません。

余計な労力や判断を減らした省エネ戦略で自分の許容範囲を守って買い物ができるというのは大きなメリットだと思います。

まとめ

オークションの正しい参加方法について解説しました。

授かり効果(保有効果)と激情という2つの心理特性が予定額以上の金額での入札に繋がってしまいます。

決めた金額で予約入札をしたら、それ以降は一切ページを見ず通知も入らないようにすることが今のところベストな心理マネジメント法です。

それで落札できればラッキーで、できなかった場合も自分が納得する値段で買えないならOKと割り切りましょう。

その方が後々になっても後悔することが無くなります。

ムキになって夜中まで競ってる人よりかなり省エネで済むしね

相手も自分と同じ人間である以上、保有効果や激情に踊らされて競ってくるので、それも封じ込める必要を考えると戦略2がオススメです。

この戦略でライバルを減らしてか単なるラッキーかは分かりませんが、予約額を大きく下回った額で買えることも多くなりました。

「買えなかったら…」と不安になるかもしれませんが、一度試してみてください。

「過剰に払ってでも欲しいんだ!」と思ったとすれば、それはもう授かり効果と激情の餌食になっている可能性があります。

冷静になりましょう。

てなとこで。

参考文献