行動を継続させるコミットメント|宣言が拘束力を発揮する理由とその効果的な方法
「結果にコミット」そういえば最近聞かなくなりましたね。
この場合のコミットは「責任を持つ」という意味ですが、もう1つ「約束する」という意味があります。
実は公にコミットメントを行うことは継続したいと考える行動、例えばダイエットや禁煙などを達成するために非常に効果的な方法です。
このことを公開宣言効果と言います。
このページでは結果を出すために何故コミットメントが有効なのか、そして真に効果的なものにするための方法や注意点について解説します。
1 コミットメントはなぜ有効なのか?
まずは公開宣言効果が発揮されるメカニズムからです。
コミットメントが目標を達成するための対策・行動を強化するのに有効な理由は大きく分けて2つあります。
①一貫性の原理 ②カラーバス効果
1-1 一貫性の原理
皆さんは言ってることとやってることがチグハグな人や、有言不実行な人を見た時どのように思うでしょうか?
恐らくあまり良い印象は抱かないと思います。
逆に「芯がある」とか「首尾一貫してる」と言われることは好ましいことだと思うはずです。
これには人間の持つ一貫性の原理というものが関係しています。
一貫性の原理とは意志や行動を貫くことは好ましいことだと感じる傾向のことです。
言行一致ってやつね
つまり他人に対して厳しい目を向けるのと同じように、自分も他人から一貫性が無いと思われることを好みません。
そのため自分の目標や行動についてコミットすることで、それに反する行動をとりにくくなるわけです。
1-2 カラーバス効果・カクテルパーティー効果
脳は自分の関心のある情報や自分に関係する情報を優先的にキャッチして敏感に反応します。
前者をカラーバス効果、後者をカクテルパーティー効果と言い、これらはいずれも行動科学で解明された傾向です。
例えばパソコンを買おうと思い始めるのと同時に、パソコンのCMや電車の広告が急に増えたように感じたことはないでしょうか?
そんなタイミングよく広告が増える偶然が無いのは言うまでもなく、これは買おうと思ったことで脳がその情報を敏感にキャッチするようになったからです。
また確証バイアスという性質によって、情報を取捨選択して自分に都合の良い情報を選び取ってくれます。
なのでダイエットをしてる人はジャンクの美味しさよりも健康への悪影響や肥満リスク、健康的な食生活のメリットなどの情報が増えるので、正当化しやすくなり行動をより強化していくわけです。
因みにカクテルパーティー効果の由来は騒がしいパーティーでも自分の名前を呼ばれるとすぐ気付くことらしいよ
しかしただ「これをやろう!」と思うだけでは脳は情報を選び取る重要性をあまり認識してくれません。
よく目標を紙に書くことがオススメされますが、これは脳に認識させるのに具体的なアウトプットが必要だからです。
つまりコミットメントという具体的なアウトプットは脳にその重要性を認識させる効果、自分の無意識を働かせる意味もあると言えます。
2 コミットメントの方法
コミットメントの重要性が分かったところで、これをより効果的なものにするためにはその方法への配慮も必要です。
ここではコミットメントの基本的な方法、代替案について解説します。
2-1 コミットメントは詳細に
目標の立て方や達成のための具体的な行動設計の方法については別のページで詳しく解説しています。
コミットメントをする時はそこで立てた内容をなるべく詳細に公表するようにしましょう。
目標とその理由、達成のための具体的な対策・行動、そしてそれを強化するためのアメやムチなどです。
コミットメントをする目的の1つが行動を監視する目を増やすことにあります。
なので出来れば不達成の際の罰は自分1人で完結するものより、監視してくれる人の利益になるものにするのも一案です。
その方が周りの人も真剣に監視してくれる可能性が高くなります。
あんまり美味しい話にし過ぎるとわざと失敗させようとしてくる可能性もあるけどね
2-2 行動によるコミット
SNSとか職場で宣言するのは何か気が引けるなぁ…
日本人はあまりオープンな気質を持った人が少ないので、公にコミットするのに抵抗がある人も多いかもしれません。
そういう場合、宣言に代えて行動でコミットするという方法も代替案としてオススメです。
行動でコミットするとは具体的にはジム、予備校や図書館の自習室、カフェに行くといったもの。
これらの場所はその用途・目的がハッキリしてるので、それに反する行動が取りにくいはずです。
ジムで座り込んでお喋りしたり、図書館でダラダラとスマホをいじるようなことは人の目が気になってできないんじゃないでしょうか?
これもコミットと行動が不一致であると周りに思われたくないという心理が働いているからです。
ジムや図書館にいる見ず知らずの人に目標の詳細などを伝えることはできないので、ペナルティなどが効果をやや持ちにくくなります。
しかし全くコミットしないよりは圧倒的に行動を強化できるはずなので、公の宣言に気後れする人はまずここから試してみてください。
3 コミットする環境に注意する
最後にコミットはどこでするか?ということも実は非常に重要なことです。
その理由と対策について最後に解説します。
3-1 価値観と重要性
コミットメントする環境を選ぶ際のポイントは価値観と重要性です。
先に紹介したジムに行くという行動が拘束力を持つという例で解説しましょう。
ジムに通う人の多くが健康的で痩せた身体が魅力的という価値観を共有しています。
なのでそのための運動をサボることにマイナス評価を付けられることも想像がつきます。
そのことが分かっているからこそ、ジムでサボろうという気が起きないというわけです。
同じように受験生が黙々と勉強してる図書館や、真剣にPCで作業してる人が多いカフェなら拘束力を発揮します。
しかし近所のおじいちゃんおばあちゃんしかいない図書館や、ファストフードチェーンのような学生のたまり場ではほとんど拘束力はありません。
また周囲の人に宣言する場合も同じです。
ジャンクフード大好き友達や飲み仲間にダイエットを宣言してもその価値はあまり大きく受け止められないでしょう。
失敗に厳しい目を向けられないどころか帰還(?)を歓迎される可能性すらあります。
つまり目標の価値を少なからず共有できる人・環境でコミットしないとあまり効果は発揮しません。
また「この人に幻滅されたくない!」と思える自分にとって重要度の高い人かどうかも重要です。
言い方は悪いですが「どう思われようが気にならない」という人に宣言しても、コミットの効果はほとんどは発揮されません。
そういう点では職場や取引先などビジネス関係の人、信頼性を揺らがせたくない環境でコミットすると効力が高まりそうですね。
3-2 変わりたければ環境を変える
人間誰しも良くも悪くも類は友を呼ぶで、似たような価値観を持ってる人が周囲には多いはずです。
人間には社会的証明と言われる性質があり、「みんなが良いと言うものが良いもの」と思う傾向があります。
しかもこの「みんな」は世の中という広い環境よりも、自分にとって重要な近い環境にいる人です。
既婚者や彼氏・彼女持ちほどモテるのもこの一種だね
つまり価値観の近い人同士で集まることによって、その価値観を互いに強化し合っていると言えます。
なので目標を立て、自分を変えようと思うなら環境を変えることも考えなければいけません。
特にその目標や行動が現在の(環境の)価値観に反する度合いが大きいほど、環境も抜本的に変える必要性が高まります。
よく言う「お金持ちになりたければ成功者に近付け」というのもこの1種だと言えます。
これにはメリット・デメリットの両面があるので、詳しくはこちらのページをご覧ください。
因みに環境を変えることで、その目標に適う情報や手助けをしてくれる人が現れる可能性も上がります。
今の人間関係を全て断捨離せよとまでは言いませんが、意を決してぬるま湯から抜け出すことも重要ということです。
まとめ
目標達成のためのコミットメントの有効性について解説しました。
一貫性が無いと思われたくないという心理を逆手にとった行動強化のためのテクニックです。
なるべく詳細に公表するのが好ましいですが、宣言するのに躊躇する人は行動で示すことから始めましょう。
ただしコミットするにしてもその環境によっては冒頭で解説したようなメカニズムが働かず、思ったような効果は発揮できません。
効果的にコミットすれば自分の目標にとって有利に働く情報や知恵を貸してくれる人も増えるし、自分も積極的に適う情報を集めようとし始めます。
自分を変えたいと思う本気度によっては抜本的に環境を変えることも必要です。
てなとこで。
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