【時間・行動力】中途半端は欠点ではなく能力|その理由と完璧主義の問題点

中途半端って言葉にいいイメージがある人っていないですよね、多分。

腐っても真面目な日本人、誰しも大なり小なり完璧主義的な素質を持っているものです。

かく言うぼく自身もかつてはけっこう完璧主義的な傾向がありました。

完遂、完成、完全みたいな「完」の字がつく言葉の方が何となく優れてそうだし、スッキリする気がするのも国民性を色濃く反映してるのかもしれません。

でも聞こえの良い完璧主義も最近だとデメリットの方が強調されることが多いですが、皆さんご存知でしょうか?

ここでは完璧主義の3つの問題点を解説します。

①時間を浪費する
②決断・行動が出来なくなる
③失敗しやすくなる

そして完璧の追求よりも中途半端さが強みになる理由、その実践法についても紹介します。

1 キリを大事にして時間貧乏に

仕事にしろ勉強にしろ中途半端にせず、作業をキリよくしたいと思ってる人は多いでしょう。

これは仕事のシーンに限ったことではありません。

プライベートでも読書、家事、テレビ、スマホ、それぞれのタスク(?)の切り替えには必ず考えるはずです。

「この章の終わりまで」とか「次のCMまで」とかね

中途半端にするよりスッキリすると思いますが、そのために個々のタスクが間延びしてしまい後が詰まることになります。

またこの「キリ」を意識し過ぎるがあまり、多くの時間をムダにしてる人も多いです。

というのも隙間の時間が有効に活用できなくなるからです。

仕事が予定より早めに片付いて昼休憩や次のアポまでに5分とか10分あるようなシーンは誰しも経験があると思います。

残ってる仕事の中にそんな短時間で片付くようなものはありません。

そんな時にトイレ、机上整理、メールチェックなど、しなくてもいいことで熟した気になって時間を「潰す」ことはよくあるのではないでしょうか?

特に何もせず佇んで、チャイムとともに食堂にダッシュできるよう備えてる人も結構見かけます。

こうしたシーンに限らず、タスクを処理できるほどの余地はない隙間時間って1日の中に結構多く存在することに気付くはずです。

何かと何か、予定や行動が切り替わるタイミングには必ずと言っていいほど生まれてしまいます。

1つ1つはそこまで長くないのでこの重要性は見過ごされがちです。

しかし「塵も積もれば山となる」のとおり、これを「潰して」しまうとトータルで相当な時間をムダにすることになります。

2 存在しない完璧の追求で動けなくなる

前の項で紹介した隙間時間の活用が出来ないケースは、タスクにベストな環境を用意しようとする完璧主義の現れです。

マルチタスクは思考力を著しく落とすので、1つのタスクに集中できる環境を作ろうと心掛けることは大事だとぼくも思います。

しかしプライベートやフリーランスならまだしも、多くの人と一緒に働くオフィスにおいて完全な環境や時間を作ることはほぼムリです。

電話も鳴るし、人から話しかけられもするしね

それなりのマネジメント・対策は必要でその方法については以下のページでも解説してますが、やはり完璧は存在しないものです。

こうした存在しない完璧の追求は行動にも制約をかけてしまいます。

まず失敗を恐れるあまり、確実に成功することしかやらないという行動萎縮を引き起こしてしまいます。

また準備ばかりしていて肝心のメインタスクに一向に移らないようなタイプも完璧主義には多いです。

最低限の準備もせず見切り発車するのは危険ですが、準備にも限界はあります。

実際にやってみて初めて判明する問題や課題が多くあり、それは準備段階では予測できないモノがほとんどです。

つまり事前の準備に完璧など存在しないということで、準備に腐心し続けることは時間のムダでしかありません。

事前の準備で完璧にしようとする人は、飛行機の離陸角度に入念に拘っていつまでも離陸しないのと同じようなことです。

いくら離陸角度を完璧にしたからと言って、後は何もしなくてもそのまま目的地に着くということはありません。

気象条件や他の航空機、機体トラブルなど途中で遭遇する様々な事象に臨機応変に対応し、微調整を繰り返していきます。

最初の離陸角度なんかより、航行中の調整の方が圧倒的に重要です。

またアイデア出しにメモする習慣を推してますが、完璧主義になると不完全なアイデアの断片をメモしにくくもなります。

完璧な形にするより、ある程度準備したらとりあえず動き出すという姿勢でタスクや課題に臨みましょう。

因みに先延ばしにして行動出来ない理由は完璧主義以外にもあり、これについてはこちらのページで解説しています。

3 完璧主義ほど失敗しやすい

完璧主義は入念に準備すると解説したので、これはやや違和感があるかもしれません。

「完璧主義=失敗を許さない」といったイメージを抱いてる人も多いでしょう。

「私、失敗しないので」みたいな感じでしょ?

確かに完璧主義者にはそういう意識を持ってる人が多くいます。

大抵は準備ばかりしてて行動しないから失敗しないだけという人がほとんどなのですが…。

完璧主義のために失敗しやすいのがダイエットや禁煙といった過酷なタスクです。

少しずつでも確実な前進がモチベーションを喚起する性質があるため、停滞に備えて複数の指標を持つことが重要です。

エンダウドプログレス効果って言うよ

複数の目標のうちどれかが進んでいればモチベーションを維持できるということですが、完璧主義者はこれらを両立しようとしてしまいます。

そうすると全てが並行して順調に進まなければいけなくなるので、ストレスも大きくなり、挫折もしやすくなってしまうのです。

リレールールのところをわざわざ二人三脚で挑んでしまうようなもので、誰か1人がコケると全員まとめて転ぶことになります。

また新しい習慣には最初の動き出しが肝心で、そこさえ越えれば半分は終わったようなモノです。

作業性興奮と言って、手を動かせばやる気は後から勝手に湧いてくる性質があるからです。

しかもハードな目標ではなく、ごくごく簡単で取るに足らないような行動で問題ありません。

しかし完璧主義に陥ると、沢山の余計なハードルを自ら設定してしまい、最初の動き出しを遠ざけてしまいます。

「雨が降ってるから」「寒いから」「昨日仕事が遅かったから」とか言い訳してね

また「目標達成には、こんな簡単な行動じゃダメだ」と最初からハードワークを課してしまいます。

こうして成功法とは真逆のルートを一生懸命に走るので、完璧主義者はいつまで経ってもゴール出来ないのです。

因みに行動の習慣化のテクニックについてはこちらのページで解説しています。

4 完遂より一歩でも前に

ここから2つの項で完璧主義に対する処方箋と中途半端マインドのススメについて紹介していきます。

まず隙間時間をしっかり有効活用するために必要なマインドが、完遂より「一歩でも前へ」というものです。

手を付ける前は「しっかりやり切りたい」と思うものですが、実際に手を付けてタスク全体の数%でも完了すると達成感を得られます。

これは既に紹介したエンダウドプログレス効果の影響であり、前進してるという感覚がモチベーションになるのです。

完璧主義の傾向が強い人ほど受け入れにくいと思いますが、試しにやってみると思いのほか気持ち悪さより前進感・達成感の方が強いことを感じられると思います。

中途半端になるのが嫌だという考えが強い人に、まずはとっかかりとしてオススメしたいのが、タスクの細分化です。

他人が絡めば必ず時間は細分化されてしまいます。ならタスクの方も時間に合わせて細分化してしまえば良いだけです。

細分化された個々のタスク単位なら、隙間の時間だけでしっかり完遂できるので、中途半端のモヤモヤ感も無くなるでしょう。

タスクを細分化することは時間にフィットさせられるだけでなく、完成までのタイムマネジメントや課題の洗い出しにも効果があります

またタスクについてあれこれ不安を抱えて頭を悩ませる人もいますが、考える意味があるか悩むだけムダかの判断もしやすくなるのでオススメです。

また大きなタスクの細分化だけでなく、隙間時間に行う個々の小さなタスクをストックしておくようにしましょう。

電子書籍とか瞑想とかメールチェック・返信とかSNS投稿とかね

これらを隙間時間にやるべきタスクとしてしまえば、折角のまとまった時間を環境を整える必要のないタスクで浪費することもなくなります。

5 中途半端な方が生産的?

今まで長いこと積み上げてきた思考のクセなので、ここまで見てきても完璧主義を手放せないという人は少なくないと思います。

そのため代替案を前の項で紹介しましたが、チーム作業などでは仕事を時間に合わせて自分の都合だけで細分化はできません。

やはり中途半端にされても作業出来るよう慣れていくほかないでしょう。

そこで最後に中途半端の有効性・生産性の高さについて解説します。

敢えて中途半端を作るという有名な学習法として、インターリービングメソッドというものがあります。

中途半端なところでタスクを終わらせることのメリットは大きく以下の2つです。

①再開後の作業効率が高まる
②アイデアが生まれやすくなる

中途半端に終わらせると「続きをやりたい!」という欲求が作業再開後の加速を強くします。

通常は作業開始から徐々に能率が上がっていくものですが、そうしたロスが発生しません。

ドラマやアニメがキリ良く終わるより中途半端なとこで終わった方が、先が気になって次週が凄い楽しみになるのが分かりやすい例です。

ちょうどラジコンカーを床に置く前からアクセル全開にしてるようなイメージで、置いてからアクセルを入れるよりも初速が格段に速くなります。

そのままひっくり返りそうだけどね笑

また中途半端な状態で終わらせることで、アイデアが生まれたり考えがまとまったりしやすくなります。

タスクAに集中してる最中にタスクBに関する答えやアイデアが浮かんで来るといった経験は誰しも一度はあるんじゃないでしょうか?

これは保留にしたタスクについて無意識(システム1)下では情報の処理や整理が続いているからです。

無意識の活動は別のタスクを処理してるより、何も考えてない状態(デフォルトモードネットワーク)の方が活性化します。

そのため、隙間時間には敢えて何もせず意識的にボーっとしたり静かに目を閉じておくのも1つです。

こうしたインターリービングメソッドの効果は心理学的にはツァイガルニク効果と言われます。

完ぺきにキリよく終わったものよりも、中途半端になっているものが脳の記憶に強く残るという性質です。

勉強法として紹介されることが多いテクニックですが、それに限らずビジネスにも応用できるメソッドです。

ぼく自身も入社当初は完璧主義に近く、一度手を付けてしまった仕事が終わらないまま帰ることが気持ち悪くて出来ませんでした。

しかしこうしたメソッドを知り、終業時間までに終わったところでスッパリ切り上げてみると、思ってたより気持ち悪さはありません。

しかも帰りの電車に揺られてる間に考えがまとまったりして一石二鳥です。ぜひ試してみてください。

まとめ

完璧主義を捨てて中途半端を身に付ける利点について解説しました。

中途半端とはあまり聞こえの良くないワードですが、完璧主義が染みついた日本人こそ習得すべき必須のマインドと言えます。

完璧主義の問題点には問題点が多く、一方で中途半端それ自体にメリットも存在するからです。

中途半端という考え方を受け入れられないタイプの人にオススメしたいのが、タスクの細分化です。

この考え方は仕事に限らず日常生活の様々なシーンでも応用が利きます。

例えば洗濯を細分化すると、以下の通りです。

洗濯機を回す
物干しからの取り込む
洗ったものをベランダに干す
取り込んだ洗濯物を畳む
アイロンをかける
クローゼットにしまう

それらをまとめてできる時間を確保しようとすると強制的に時間を作るしかありませんが、それは想像以上に過酷です。

でもよく考えると、「畳む・アイロン・片付け」は必ず同時にやらなきゃいけない作業じゃないですよね?

とりあえず洗ったものを干しさえすれば一区切りになります。干してあったものは後回しでもOKです。

さすがに洗濯機を回してほったらかしってわけにはいかないからね

こんな風にローテーションで一体化させてしまっているものも、細分化することで隙間時間を有効活用できるようになります。

スケジュール管理の基本は「大きな石を先に置く」ですが、大きな石を小さく砕いて隙間を埋めるように散りばめるって発想も必要じゃないでしょうか?

てなとこで。