【睡眠習慣を改善する重要性】寝不足で起きる6つの大問題|病気・寿命・性格まで…

みなさんは普段からちゃんと十分な睡眠をとれてますか?
忙しく働いて毎日残業続きのビジネスパーソンだと、睡眠時間が6時間に満たないって人も多いのではないでしょうか?
最近は空前の睡眠ブーム(?)の真っ只中にありますが、一方で睡眠の重要性を知らずに相変わらず軽視し続けてる人が多くいます。

寝る間もないほど忙しく働くビジネスパーソンにこそ睡眠は重要で、軽視し続けていると大きな問題を起こしかねません。
これまでもあらゆることが上手くいかなかったという人は不適切な睡眠習慣が原因の1つと考えられます。
つまり人生の不調を好転させる上で睡眠習慣は非常に重要ということです。
このページでは改めて睡眠の重要性と寝不足によって起きる様々な問題について解説します。

睡眠の重要性

睡眠が重要視されるのは、その不足がありとあらゆる幅広い問題を引き起こすからです。
睡眠の基本的な役割は疲労を回復することで、不足すれば身体のコンディションや頭の働きを落としてしまいます。

しかし睡眠不足の悪影響は日常の問題にとどまりません。
睡眠不足は様々な病気の発症リスクや寿命にまで関わるほど、非常に大きな健康上のリスク要因です。
発ガンリスクが6倍、脳卒中リスクは4倍、糖尿病リスク・心筋梗塞リスクは3倍、高血圧リスクは2倍です。
睡眠というと脳との関係をイメージする人が多いと思いますが、病気は呼吸器、循環器、ホルモン、代謝など全身の様々な部分・器官に関係します。
そして睡眠時間が6時間未満の人は標準的な7~8時間の睡眠をとっている人より死亡リスクが2.4倍も高くなると言われています。

これだけでも十分睡眠の重要性は伝わりますが、これは寝不足が常態化してしまった人の末路・末期の症状です。
ここまで辿り着くまでにも日常で様々な不調・不具合が起きるので、ここからは具体的にどんな問題が発生するのか。
そして睡眠習慣を改善することでどんな恩恵が得られるのかを紹介していきます。
具体的には以下の6点です。

①思考力 ②性格 ③肥満 ④運動神経 ⑤鬱 ⑥負のループ

既に症状が発現していて思い当たるものもいくつかあるはずで、より実感を持って読むことができるはずです。

①思考力の低下

思考力には認知リソースという脳の体力が関係しています。
正常な思考力を維持するためには判断力の浪費を減らし、有効活用することが重要です。

そして睡眠の最も大きな役割は脳内の疲労物質の代謝、つまり思考力(認知リソース)の回復です。
そのため睡眠が不十分だと思考力や注意力・集中力が欠け、ミスや効率の低下が起きやすくなります。
どんなに認知リソースを有効に使おうと工夫しようとも、そもそも十分に回復できていないのでは無意味ということです。
効率の低下で残業時間が延び、帰りが遅くなって十分に眠れず、思考力がさらに低下する…という負のループの中に多くのビジネスパーソンが閉じ込められているんじゃないでしょうか?

1日くらいの寝不足で急に変わるわけじゃないでしょ?

このように睡眠不足による思考力の低下度合いを軽視する人は結構います。
たまの夜更かしくらいなら大丈夫だと思ってる人もいますが、たった1日の睡眠不足も侮ることはできません。
なんと立った一晩、寝不足になるだけで深酒、マリファナ摂取と同等の思考力の低下をもたらし、学業成績にも大きな悪影響を及ぼすって研究もあるほどです。

また日中に脳内に溜まるアデノシンという疲労物質や死んだ脳細胞の代謝なども睡眠中に行われます。
寝不足になると、こうした老廃物の除去が不十分になり、ずっと脳内に溜まったままになってしまいます。
また睡眠不足により海馬の萎縮が発生し記憶力が低下するため、認知症のリスクが高くなるとも言われています。

十分な睡眠を確保できれば、思考力を取り戻すことができ、ビジネスシーンや副業で能力を最大限発揮できるはずです。
また自制心の回復により、貯金やダイエット、禁煙などの未来志向の好ましい行動にも取り組みやすくなります。

②怒りっぽい性格になる

睡眠不足になると自己防衛本能として神経過敏になります。
ピリピリしていると表現されますが、実際に自然界の動物のように神経が研ぎ澄まされた状態になるのです。

何だか集中力の高い良い状態のように思えますが、実際はあまり良いことじゃありません。
社会的距離の範囲内(自分のテリトリー)への侵入に動物は過剰に反応します。
都市部は異常なまでに狭い空間に多量の人が詰め込まれていて、常にテリトリーを侵されてる状態です。
理性的な状態の人なら多少ストレスでも我慢できますが、動物的になった人は違います。
電車の座席で「肘が当たった」とか些細なことで大騒ぎしてる人はまさにこの状態です。

また怒りなどの感情に関係する偏桃体は長期記憶への変換を掌る海馬に近いため、ネガティブな感情は特に長期記憶になりやすい特性があります。
一度怒りを覚えたことは以降も不快なこととして認識するようになるということです。

そうして記憶された後で睡眠をしっかり取るようになったとしても時既に遅し。
下がった怒りのハードルはそこで固定されてしまい、些細なことでキレる短気になってしまいます
やはり「1日くらい…」と気を抜いて夜更かしするのは危険ということです。

ネガティブな体験の方が長期的に記憶・人格に影響を与えるから、嫌いなものが同じ人との方が仲良くなりやすいって言うね。余談だけど。

怒りに限らず、落ち込みや不安など感情のコントロールが苦手という人は、睡眠習慣の改善によってマネジメントが上手くなります。
コミュニケーションも円滑に進み、人間関係に起因する悩ましい感情それ自体が縁遠い存在になるはずです。

③太りやすくなる

これも最近じゃ常識になりつつありますが、睡眠不足は肥満の原因の1つです。

自律神経には交換神経と副交感神経があり、交換神経は主に起きてる時に優位に働きます。
寝ている間は副交感神経が優位になり、交換神経はその間に日中の疲労を回復しています。
しかし睡眠が十分にとれていないと、交感神経が優位に働く時間が過剰になり、疲労回復が不十分になります。

この交換神経の疲労は日中の思考力に影響すると同時に食べ過ぎを助長する原因にもなるのです。
自律神経の回復が不十分だと「この疲労はカロリー不足が原因だ!」と間違った判断を下してしまいます。
この指令を受けて食欲増進ホルモンのグレリンの分泌が活性化し、食欲抑制ホルモンのレプチンの分泌が低下します。

生存本能の誤作動だね

本来は寝なければいけないところ、代わりに余分なカロリーを摂取してしまい肥満に繋がるという関係です。

また睡眠不足による認知リソースの低下も肥満に繋がる過食を促進します。
ムダな間食を我慢するっていう自制心・意志にも認知リソースは必要だからです。
夜中に間食が増えやすいのも、丸1日過ごして認知リソースを使いきった状態だからと考えれば納得できるでしょう。
睡眠不足と肥満の関係についてはこちらのページもご覧ください。

④運動神経が悪くなる

テスト前の一夜漬けが良くないこと、これもまた今や常識でしょう。
日中の記憶の整理(定着と消去)は主に睡眠中に行われるので、勉強した後に寝なければ内容はほとんど頭に残りません。

これは勉強に限ったことではなく、手先を細かく使う作業とかスポーツの技能の記憶にも言えます。
スポーツなどの練習の成果もその瞬間に身に付くわけではなく、睡眠中に記憶を整理しながら定着させていくものです。
だから勉強と同じく、スポーツも寝る間を惜しんで練習することは無意味で、睡眠不足が続く限り一向にレベルアップはしません。

ちなみに睡眠の質を深さと勘違いしてる人が多いですが、厳密には浅い睡眠と深い睡眠のバランスが重要です。
勉強などの言語記憶とスポーツや芸術技能のような非言語記憶はそれぞれ異なる睡眠のフェーズで整理されます。
単なる睡眠時間はもちろん、質の低下も学力と身体能力のバランスに悪影響を及ぼすということです。

筋肉の成長にも十分な睡眠が欠かせないので、よく動きよく寝ること、これが運動能力アップには重要と言えます。
身体の成長や技術の習得に伸び悩みを感じてるという人は睡眠習慣を一度見直してみましょう。

⑤うつ病や自殺リスク

睡眠不足はストレス耐性の低下、そして鬱病のリスクも高めると言われてます。
日本がその生産性の低さにも関わらず世界トップクラスのGDPを誇っているのは、主に長時間労働でカバーしているからです。
そしてその長い労働時間はほとんどが睡眠時間を削って捻出されています。
つまり鬱病のリスクを抱えた人が多く、日本で自殺率が高いことはある意味必然とも言えるわけです。

もちろんセロトニントランスポーターが少なくてストレス耐性が低いとか内分泌的な要因もあるけどね

ではなぜ睡眠不足が鬱病のリスク要因になるのでしょうか?
睡眠は身体の疲労だけでなく、脳の機能を回復する役割があることは既に説明した通りです。
なので睡眠が不足すると脳の機能の低下が起こりますが、中でも特に前頭葉の機能低下は大きな問題です。
事故などで前頭葉を損傷すると、同じ言葉や行動を何度も繰り返すようになります。

脳科学的に「保続」とか「反芻思考」って言われる現象だよ

これは前頭葉がタスクや感情などを切り替える役割を持っているために現れる現象です。
その前頭葉が十分に機能しないということは、気持ちの切り替えが上手く出来ません
人間関係の問題やストレス、不安などの負の感情が保続してしまい、抜け出せない無限ループに落ちてしまいます。
馴染みのある表現を使うなら、いつまでも同じことにクヨクヨ悩み続けるような状態です。
こうした状態は鬱病や自殺に繋がるリスクが非常に高くなります。
負の感情や記憶の中に閉じ込められるなんて想像しただけでも気を病みそうですもんね。

睡眠には不安やストレスなどの負の過剰を整理・消去する作用もあり、その点からも精神衛生に重要だと言えます。
「嫌なことは寝て忘れる」というのは、ガサツなように見えて意外と真理なのです。
ただ寝るだけで処理できるほど不安は単純ではなく、効果的な対策を講じる必要があります。

⑥睡眠不足から抜け出せなくなる

睡眠不足の最も恐ろしいと思うところは、睡眠不足に気付けなくなってしまうということです。
「疲れたと言えるうちは未だ健康」って言葉を聞いたことがあるんじゃないでしょうか?
自分の精神や身体のコンディションを客観的に把握する能力を自己知覚自己洞察メタ認知などと言います。
これらの能力に長けた人は自分の心身の疲労やコンディションの低下を正確に察知し、無理せず壊れる前に休むことが出来ます。

しかしこうした能力も睡眠不足によって脳の機能が低下し始めると難しくなってしまうのです。
傍から見てるとフラフラでもう心も体も限界が近いのが一目瞭然でも、当の本人は「全然疲れてません。まだ大丈夫です。」と言ったりします。
これはまさに極限の疲労によって自身の状況を正確にモニタリングできなくなってしまってる状態です。

過労自殺のニュースなどを見た時「そんなに辛いなら仕事辞めれば良かったのに…」という感想を持つ人が多いと思います。
正常な判断力を保持してる視聴者からすればそう思うのが当然ですが、当の本人は直前まで限界が来てることに気付けていないのです。
このことから「疲れたら休む」ではなく「常に十分な休息を習慣にする」が正しいと言えます。

睡眠は人生全体に関わる

ざっと列挙しただけでも睡眠不足の影響は日常の広範囲に及びます。
主に認知されてない内部の問題を中心に紹介しましたが、よく知られてるように身体の外側に及ぼすマイナスの影響も絶大です。
肌の新陳代謝が不活になってシミやシワ、肌荒れが酷くなったり、ホルモンの分泌が不正常になって筋肉が上手く発達しなかったり。
「人は中身が大事だ」などと言いますが、批判を恐れず言えばこれは単なる現実逃避。人の見た目はしっかり判断指標にされています。
こうして見た目の劣化が始まれば、思考力の低下などを待つまでもなくビジネスでの評価は低下するはずです。

仕事も勉強もスポーツも人間関係も人生に起こることはほぼ全てが睡眠の影響を受けてると言えます。
睡眠とはそれくらい重要なことなんです。
しかしそんな重要な睡眠について、知ってるようで意外と知らないことが多くあります。
睡眠の基本的なことについて解説したこちらのページも併せてご覧ください。

まとめ

睡眠不足によって起こる問題を紹介してきました。
日常的な問題と紹介しましたが、それぞれ非常に深刻な事態になりかねない重大な問題だったと思います。
もちろんこれらを放置してしまえば、最終的に行き着く先は様々な病気と寿命の短縮です。

日頃あまり意識しませんが、脳は非常に多くのことを処理してその体力(認知リソース)を消費しています。
そしてこれまた意識されていませんが、睡眠は身体だけじゃなく脳の疲労を回復させて機能を維持する役割があります。

睡眠自体は人生を好転させる起爆剤になるってものじゃありません。
あって当たり前の基本的なもので、十分に取れて初めて「普通」の状態になるだけです。
しかし(多くの人がそうでしょうが)これまで不足したまま生活してきたなら、改善することで革命くらい大きな変化があります。
マイナスとゼロとでは世界の見え方が全くの別物です。
「所詮ゼロになるだけか」などと侮らず、今日この時から睡眠不足の解消を始めることをオススメします。

てなとこで。