自分の話はしない|上手な会話のたった1つのコツ【良い聞き手の条件】

皆さんは話者か聴者かで言うとどっちでしょう?

ぼくは前者。幼少期から「口から産まれてきた」と揶揄されるほどのお喋りでした。

今でも未だ話者が根っこに残っているから、ちょっと気分が乗ろうものなら饒舌になってしまう。

でもこれはやめたいと思っています。何故か?

それは失うことはあっても得ることがほとんどないからです。

そんなとこで今回は、話し方、聴き方について説明します。

皆さんへの教示というよりは、自分に対する戒めと覚書って位置づけですね。

ぼくと同じタイプの人はちょっと耳が痛いかもしれません。

1 話し手にならない方が良い理由

超がつくほどのお喋りで生きてきたぼくが少しずつ気付き始めた話し手になるデメリットについてまず紹介します。

大きく分けると以下の2つです。

①他人に興味がある人はいない
②失うことはあっても得るものはない

1-1 誰しも他人には(ほぼ)興味ない

自分の話を他人にすることをオススメしない理由はこれに尽きます。

人は基本的に他人(の話)に興味がありません

好意を寄せている人には聴き手に回るという人もいます。

しかしそれはその人を知りたいからではなく、単に「聞き上手の方が好かれる」というのをモチベーションに聞いてるに過ぎません。

この「聞き上手が好かれる」という傾向自体が、自分の話をするのが好きで、人の話を聞くのが好きじゃない人が多いことの現れとも言えます。

そして聞き手に回ること自体何かしらメリットがなければしたくない人がほとんどです。

なので延々と得るもののない自分の話を繰り広げる人を好ましく思う人もほとんどいません。

中には自分の話をするのが苦手で、相手が話してくれる方が間が持って助かるって人もいます。

しかしそんな場合でもマウンティング感満載の自慢話なんてウケることはまずないです。

その価値観を共有してない人には何も響かないですし、共有してたとしても妬みしか生まれません。

そんな無益な自慢話を感心して聞いてるように見えたとしたら、やはり得るものがあるからでしょう。

すなわち聞いてあげた代わりにご飯を奢り、帰りのタクシー代を出すことを期待されている合図だと気づかなければいけません。

1-2 得るものより失うものが多い

自分の話をすることは既に持ってる知識をなぞるだけなので、新しく得るものはありません。

たまたま相手がそれについて知ってることがあった場合のみ、意見や新しい知識を提供してくれる可能性があります。

また話しながら自分の知識を整理することに繋げる人もいるでしょう。話してる最中に新しい閃きに至ることも無くはありません。

しかし基本的には話し手になってる間は授業中の先生と同じ状態です。

教室の授業において何かを得るのは聞き手たる生徒であり、一方的に話す先生は与える側。得るものはありません。

ちなみにトラウマに基づく精神分析はあまり当てにしてませんが、お喋りの心理の根底には幼い頃の両親の不仲があるとかなんとか。

2人の間を取り持つように話続けることがクセになってしまうという説明です。

ぼく個人の経験にも一致するので、なるほどなとは思いましたがどうなんでしょう?

ここでのポイントは「間を持たせるため喋る」というところです。つまり沈黙が苦手なタイプと言えます。

サービス精神で喋ってしまうことで失言をする確率は高まりますし、道化役になることも多いでしょう。

逆に人を弄って笑いにする場合も、それが度を越せばダシにされた人はあなたを好ましく思いません。

喋ることで得るものはほとんどない上に何かを失う確率は高まっていってしまうのです。

2 話さない≠聞き上手

では話者にならなければ人に好まれる聞き上手になれるかというとそう簡単ではありません。

こちらの反応も気にせず一方的に話してくる人が相手なら、話を遮らずに延々相槌を打ってればOKです。

相手も気分が良くなってあなたのことを聞き上手だと思ってくれるでしょう。

しかし一般的な人はそうじゃありません。

そんなに喋りが得意じゃなくても気付いたらずっと喋っていた、という状況を作れて初めて本物の聞き上手になれます。

では具体的にどうすることが上手な聞き手になるカギなんでしょうか?

2-1 カギは質問

どうすればいいかと言うと、答えはシンプルです。質問をしましょう。

上手い聞き手とは、ただ黙って相手の話を聞くだけの人ではなく能動的に聞くことができる人

ただしアンケートやインタビューみたいに次々質問を並べ立てるのは上手いやり方とは言えません。

あれこれ矢継ぎ早に質問されては尋問みたいで不快感が生じてしまいますし、自分の情報ばかり一方的に開示しているというのも不安になります。

だから互恵性を出すためにも、自分の情報を合間に挟みながら会話を進めるのが上手い方法です。

ただ元々がお喋りの場合、ちょっと挟むつもりがそのまま自分の話に持っていってしまう可能性もあります。

悪い癖が出やすいポイントであることを意識しておくことが重要です。

気付いた時からでも遅くないので、相手を会話の中心に据え直すようにしましょう。

2-2 会話を深める質問をする

互恵性さえあれば次々質問していいかっていうと、これまたそうではありません。

表層をさらう浅い質問に終始すれば、本当は興味を持っていないんだと相手に気付かれてしまうからです。

あまり雑に実践すると、質問した方が良いって聞いたからやってるだけだな、と見透かされてしまいます。

会話のネタもすぐに尽きちゃうしね

質問は広さではなく深さが重要です。では深い質問はどういうことか?

それは、相手の回答に対してさらに気になるポイントを深堀するという方法です。

映画が好きだということなら、好きなジャンルを聞く。ジャンルの中で特に好きな映画やオススメを聞く。同じ監督の新作について聞く。

フォルダ分けを増やすのではなく、同じフォルダの中のより深い階層に質問しながら下りていくイメージです。

また恋愛映画の話が出たときにキーワードを拾って恋愛トークに持っていくというような方法もアリでしょう。

当たり前のことですが、話は前後の繋がり、脈絡が非常に重要です。しかし分かってるつもりでもこの当たり前が出来てる人が非常に少ない。

一度しっかり基本に立ち返って、ノリで片付けない建設的な会話のやり方を身に付け直しましょう。

3 どういう話ならしてもOK?

とはいえ元(現?)お喋りの場合、やはり話したいって気持ちが強くなります。

それを抑える訓練は必要だけど、話が面白い人って思われたい欲もあるし、抑えてばっかだと会話をつまらなく感じてしまう。

その心境が声のトーンや聞き方の質に影響してしまえば相手も楽しくありません。

バランスに気をつけつつ、話して自分のガス抜きをしていくことも重要です。

ではどのような話し方をすれば良いのでしょうか?

3-1 まずは共通のNG話題を避けること

ではどんな話なら自分でも話していいか?

初歩的なレベルで言えばNGな話題を避ければOKです。

先述の自慢話のほか、相手を選ぶような下ネタとかを避ければいいでしょう。

特に自慢の場合、聞き手が明確に嫌悪感を示せないので注意が必要です。

「すごい」って言って欲しいんだな、とか話し手本人が無意識的に持っている発言の思惑(事前期待)に意外と聞く側は敏感なもの。

浅ましい心が見え透くようなことを言おうとしてないか一度、話す前に推敲するクセをつけましょう。

3-2 話し手の技量に依存する話題もビミョー

また聞き手が所属しないグループでの面白いエピソードなどもほぼNGです。

話してる本人は登場人物の顔や喋りのトーンが頭に浮かぶので、思い出すだけで笑えてきますが、聞き手はそうではありません。

話す側によほどのトーク力がない限り、相手にその面白さを共有してもらうことはほぼ無理です。

そしてこれまで聞いてきた経験上、自己評価は高いが実力がほとんど伴ってない人がほとんど

前提や背景の説明でダラダラしてしまうか、話ながら自分で笑い出して、こっちが愛想笑いを返すしかないパターンが定番です。

試しにプライベートのエピソードを職場で話してみて、リアクションが微妙ならあなたのトーク力は並以下ということ。

素直に実力を認めてこの手のトークは仲間内にとどめましょう。

「職場の人間は笑いが分かってない」とか「センスが違う」とか思ってるとしたらただのヤバい奴だから注意しようね

3-3 話題選びのコツ

これ以外なんでもOKと言われても、自由度が高過ぎて逆に困る人もいるかもしれません。

そこで話題選びの能動的な基準についても触れておきましょう。

盛り上がる話題選びはカラオケでの選曲に似ていると言われています。

そこそこ歌唱力はあっても知らない曲だとイマイチ盛り上がれません。

ましてや歌唱力もないのにバラードなんて歌おうものなら聞いてるこっちが気まずくなります。

これはまさにトーク力のない人が仲間内の面白エピソードを語ってる状態と同じです。

一方でそんなに歌唱力が無くても皆知ってる定番の曲なら盛り上がれます。

これと同じように相手の知識や理解、興味の範囲内にある話題を選べば、トーク力が稚拙でも十分盛り上がれるのです。

友達との会話では、仕事や個人的に最近勉強してることなんかよりも、共通の趣味や友達の近況について語るのが良いでしょう。

ただしいくらこういうテーマで選んだからと言っても基本は聞き手であることです。

相手の反応を観察して話しすぎてないか、脱線して相手の興味を無視してないかは常に気を付けなければいけません。

まとめ

話し方と聞き方について解説しました。

冒頭でも書いた通り、これはぼく自身への戒めの意味が強いものです。

基本は上手な聞き手であり、話すにしても基準は自分の話したいことではなく相手の興味や理解に合わせます。

こんなお喋りが発言を慎重に推敲しているタイミングがあって、それがSNSに投稿するときです。

個人用のアカウントなら見知った人しか見てませんが、それでも人に厳しい目線を向ける人もいるため意外と気楽じゃありません。

でもちゃんと推敲してるおかげか反響の良いものも多いです。

これに気付いて設けた基準が、「今話そうとしてることはそのままSNSに投稿できることか?」というもの。

この基準のおかげで、自分が相手にどういう反応を期待しているか自省するタイミングを作れるようになりました。

汎用性はないかもしれないけど個人的にはオススメの方法です。

てなとこで。