集中力を鍛える方法はない?|よくある誤解と効果的な対策

「集中力が続かない」「どうしても気が散ってしまう」と悩む人は少なくないでしょう。

集中力の欠如はシンプルに作業効率が落ちてしまい時間をムダにすることになります。

また目の前のタスクに集中できなければ成果物の質が低いモノになり、下手をするとやり直しなんてことにもなりかねません。

ただ進化心理学の観点から見ると集中力が続かないのは無理からぬこととも言えます。

何故なら人間を含めた動物全体にとって、1つのことだけに意識を集中してしまうことは外敵の襲撃により死のリスクを高める要素だったからです。

つまり放っておいても成長とともに集中力がアップするようなことはなく、集中するための工夫が不可欠ということ。

こうした工夫なしに闇雲に「集中しなきゃ!」と追い込み、気が散った自分を責めるだけでは一向に改善しません。

そんなとこで今回は、目の前のタスクにしっかりと意識を集中するための方法について解説します。

集中力という言葉が生む誤解

「集中力を上げる」や「集中力を鍛える」という表現にも見られるように、人は集中というものは鍛えられる能力だと思っています。

確かにあまりに低い集中力を標準的なレベルまで上げることは可能ですが、そこから先は実は大差がありません。

だから冒頭でも「集中力を上げる方法」ではなく「意識を集中する方法」と表現したのです。

こう聞くと集中力が低いと思っている人は「これ以上上がらないのか」と絶望してしまうかもしれません。

でも安心してください。

どんなに集中力が低い人でも今以上に自然と集中できるようになる方法を解説します。

ザックリと言ってしまうと、自分自身を変えるのではなく、自然と集中してしまう状況を作り出すことです。

そのための方法として以下で大きく5つのポイントに分けて紹介します。

集中力の高い時間帯を見つける

1日を通して同レベルの集中を維持できる人はほとんどいません。いたとしたら超人です。

集中しにくい時間帯に高度な集中を要するタスクを熟そうとするのは、ロスが大きくなるリスクが高く非効率なのでオススメしません。

それに関係する要素として認知リソース(ウィルパワー)という概念を紹介します。

これは思考や判断など頭を使うタスクの処理に消費される脳の体力と言えるものです。

一般的に認知リソースがMAXに近い時間帯ほどタスクに意識を集中させやすく、大抵は起床後の時間がそれに当たります。

朝活という言葉もいつしか当たり前のものとして定着しつつありますが、朝方にスッキリとクリアな思考ができるのもこの影響です。

このことを無意識にでも実感してるからこそ朝活にハマる人が多くいるんでしょう。

決して意識高い系アピールのためだけじゃないんです。

一部はホントに単なるアピールかもしれないけど

ですが多くの人が集中しやすい時間帯だからと言って、必ずしもあなたにとってもベストとは限りません

自分にとってベストな「My頭が冴える時間」を探してみてください。

環境を設計する

迷信のように言われていますが、実際に人には朝方と夜型がいます。

1つ前の「集中しやすい時間帯」の項目でも個人差があると説明しましたが、この違いも大きく影響します。

朝方と夜型では体温変化やホルモン分泌の周期などの影響もありますが、もう1つ環境もその要素です。

家族や隣人が寝静まり、人通りや車通りの減った夜間は非常に静かな環境になります。

人があまり起き出していない早朝も同様です。

ここから音など周囲の環境が集中度合いに大きく影響すること、そしてその重要性が分かります。

デスクにモノを置かない

まずシンプルに余計なモノが目に入らない環境にしましょう。

スマホ、そして作業に不要ならPCも目に入る範囲には置かないことをオススメします。

出来れば作業する部屋には置かないようにしましょう。

特にスマホの依存性は非常に強力で、机の上に画面を伏せて置いてあるだけでも会話への集中力が著しく低下することが研究で確認されてます。

ごちゃごちゃと散らかっていて視界の端にモノがチラつくだけでも気になってしまい、集中を乱す原因です。

一度切れてしまった集中を元に戻すには25分もかかると言われています。

こんな些末な原因でそんなロスをしてしまうのは非常に勿体ないことなので日頃から机上の整理整頓、シンプルにしておくようにしましょう。

机の整理整頓程度のことでも何かを成し遂げたと勘違いしてしまう人が多くいます。

なので日ごろから作業机には何も置かない、掃除の不要な状態を保っておきましょう。

音・光・空間

もう少し拘りたいという人は音や光といった要素にも配慮してみましょう。

まず音ですが、実は完全な静寂というのは集中にとって必ずしもプラスになりにくいと言えます。

ほとんど何の音も聞こえない環境では些細な音が必要以上にクローズアップされてしまうからです。

図書館や予備校の自習室で勉強している時、普段の職場や教室では気にならないペンを置く音や咳払い、鼻をすする音が気になってしまった経験はあると思います。

具体的な音はタスクの種類や個人的な好みにも依るので、それに合わせてフィッティングが必要です。

また光の照度や色によっても集中力に影響を及ぼします。

音よりもさらに細かい要素で、調整のハードルも上がるのでマストではありません。

これら2つに比べると比較的コントロールしやすいのがデスクの配置です。

人間は自分の背面側の空間(背空)が広いと集中しにくいと言われています。

できれば壁に背を向ける向きにデスク・椅子をセットするようにしましょう。

ルーティンを作る

試合前に決まりきったルーティンを実践するスポーツ選手は多数います。

これはいつもと同じ行程を踏むことでストレスを緩和する効果があるからです。

さらにもう1つ、これから行う作業について脳にサインを送り意識を集中させるスイッチの役割もあります。

ルーティンの種類にこれといった決まりはありません。

決まったカップにコーヒーを淹れること、準備運動やストレッチを行うこと、目を閉じて深呼吸するような簡単なモノでOKです。

また1つ前の項目の環境設計にも関係しますが、作業部屋や音楽、照明を切り替えるといった方法もスイッチになります。

注意しなければいけないのは、ルーティンが漫画を読んだり、スマホをいじるなどといったその他の活動と結びついてしまうことです。

作業時間以外も関係なしに同じコーヒーや音楽、部屋を使ってしまうと集中と明確な結びつきは生じません。

コーヒーや音楽を余暇の時間にも楽しみたい場合には、カップや豆の銘柄、曲の種類を変えて、集中タイムとはハッキリと区別してやるようにしましょう。

時間を制限する

何となく残業中って時間が速く過ぎるように感じませんか?

これは「定時までに!」という制限が無いせいで、作業が間延びしてしまっているからです。

集中力が著しく低下してると言い換えても良いでしょう。

これを逆に考えると、時間を制限されることで集中しやすくなるとも考えられます。

実際の作業を細分化し、それぞれに細かく制限時間を設けてみましょう。

制限を設けるだけでも効果はありますが、「過ぎても延ばして終わらせれば…」と緩みそうな気がする人もいるかもしれません。

そういう人は「制限時間内に終わらなければまた明日」などとダラダラ間延びさせない強制力を持たせるようにしてもOKです。

時間制限の効果を発揮させるポモドーロテクニックという有名な手法もあります。

詳しくは別のページで解説していますが、集中が切れる前にタスクを中断することで集中力の外にも様々な恩恵があるのでオススメです。

タスクの難易度は適切か?

最後に紹介するのはタスクの難易度と自分の能力のバランスが集中を妨げている可能性です。

仕事や学校の勉強など、自分で自由にタスクを選べないケースも多いはずなので、いつでも有効な考え方とは言えません。

皆さんはフロー体験という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ハンガリーのミハイ・チクセントミハイが提唱した非常に有名な理論です。

フロー状態の特徴として驚異的な集中状態の継続と、成長感覚などが挙げられています。

もう少し俗で身近な言い方をするなら「ゾーン」などと呼んでも良いかもしれません。

この状態に入るために必要な要素が、タスクに取り組む能動性適切な難易度です。

分厚い専門書などでなかなか集中できず挫折した場合はタスクの難易度が能力に対して高すぎたということ。

そして面白いことにタスクが簡単すぎても集中しにくいのです。

適切なレベルは「頑張ってどうにかクリアできる」くらいと言われています。

何の勉強をするにしても、今は超基礎・初級・中級・上級…とあらゆるレベルの参考書がリリースされてるので、適正なレベルは細かく選びやすいはずです。

自分がちょっと背伸びして達成できる水準、程よく努力を要するレベルにタスクを調整するよう配慮してみましょう。

もちろん自分が自由にタスクを選択できる場合の話だけどね…

まとめ 決して必死にならないこと

目の前のタスクに意識を集中する方法について解説してきました。

人間はもともと集中するように進化してきてはいないので、集中は苦手です。

すぐに気が散ってしまうからと過度に自己嫌悪に陥らないようにしましょう。

集中「力」と言われているため、鍛えられる能力のように思いがちですが、実は生まれ持ったものは大きく変わりません。

大事なのは本人の内部ではなく周囲の状況をコントロールすることです。

生まれつき多少の差があることも確かですが、高度な集中力を発揮する人はほとんどがこうした要素を工夫することによってそこに到達しています。

逆に考えれば選ばれし者だけの特殊な能力ではなく、工夫次第で誰でも獲得できる能力(?)ってことです。

全てを実践することに躍起になる必要はありません。

むしろそうした完璧主義的な傾向を持ってしまうことの方が問題です。

1つでも条件が崩れただけで「もう集中できない…」と思い込みが生じて、パフォーマンスを必要以上に下げてしまいます。

絶対条件ではなく、あくまで「工夫」なので緩やかに実践していくようにしましょう。

てなとこで。