【トマトと集中の関係?】ポモドーロテクニックとは?|効率的な学習に有効な方法

皆さんは目の前の勉強やタスクにしっかり集中することが出来るでしょうか?
かく言うぼく自身もあまり集中力には自信がありません。
もしかすると軽度のADHDなんじゃないかと思うくらいのレベルで気が散る多動傾向があります。

このページを書いてる今も欲しい服のことで脳内が侵略されてるよ

あの有名なテスラのイーロンマスクは服も着られないらしいです。
服を着ている最中にアイデアが浮かんできてしまって、最後まで着切れないとのこと。

さすがに一般の人がそこまで突き抜けてることはないと思います。
しかし勉強とかを始めるとすぐに他の気掛かりなこととかやることが浮かんで来て、全くメインのタスクが進まない。
こんな経験をみなさんも一度は経験があるのではないでしょうか?

そんなとこで今回は集中テクニックの1つであるポモドーロテクニックを紹介します。

トマトと集中力がどう関係するかも分かるよ

1 ポモドーロテクニックとは?

ポモドーロテクニックについて簡単に説明すると、短時間の集中と短時間の休憩を繰り返すテクニックです。
作業時間は15分か25分に設定するのが一般的で、休憩時間は作業時間の2割くらいにします。
作業時間が15分なら休憩3分、作業時間が25分なら休憩5分です。

因みにぼくは色々試した結果、18分と4分半に落ち着いたよ

時計でいちいち時間を気にしながら作業するのではとても集中出来ませんから、タイマーを設定しましょう。
プログラムタイマーのアプリなどを使えば、作業とインターバルの繰り返しを設定することが出来ます。
またポモドーロテクニックは一部では既に有名な手法なので、これに特化したタイマーアプリもリリースされています。
ほとんどが無料で使えるので、インターフェースや設定の柔軟性など使い勝手を試して合うものを選んでください。

ちなみにポモドーロというのは、このメソッドの発明者フランチェスコ・シリロが使っていたトマト型タイマーの商品名が由来とのこと。

2 ポモドーロテクニックのメリット

では何故この短時間のサイクルが集中力にとってプラスに働くのでしょうか?
そのメカニズム・メリットについて以下で3つ紹介します。

①締め切り効果で集中力アップ
②短時間であることで様々なメリットが受けられる
③作業が中途半端なところで終わる

2-1 ポモドーロのメリット①時間制限による集中力のアップ

夏休みの宿題でもテスト勉強でも仕事でも、期限が近くなると一気に集中力が高くなるって経験は誰しもしたことあるんじゃないでしょうか?
これは期限(制限)の効果によるものです。心理学では締切効果とも言います。
そして誰かに外から設定・強制された期限じゃなく、自分自身で設けた制限時間によっても同様に集中できます

自分で課しただけの期限じゃさすがに意味ないんじゃ…?

その疑問ももっともですが、実は一定の効果があることが大学生を対象にした研究で確認されています。
実験の内容と結果は以下の通りでした。

学期中の課題として3つのレポートを出す。

・1つ目のクラスは2ヵ月ごとに1つのレポートを出すよう期限を強制される
・2つ目のクラスは学期中の好きなタイミングに期限を自分で設定する
・3つ目のクラスは期限の設定はない。学期中に提出すればよい

期限より早く提出しても加点はされないが、期限に1日遅れるごとに減点されていくとして、各クラスの成績(平均)を比較しました。
想像通り最も成績が高くなった(=期限遅れの日数が少なかった)のは1つ目のクラスでした。
しかし2つ目のクラスと3つ目のクラスにも成績の差があり、自分で設定した期限にも能率を上げる効果があることが確認された。

2つ目のクラスの平均点が下がったのは、期限をまとめて学期末に設定し、実質的に3つ目のクラスの条件と同じにしてしまった学生がいたからです。
なので、強制された期限と自分で設定した期限には実験で確認されたほどの差はなく、セルフの期限も強制された期限と同等の効果があるとも考えられます。

因みに制限時間は脳の負荷が上がるため、前頭葉の発達にも効果的です。
前頭葉が発達することでロジカルシンキングや自制心が強くなります。
いわゆる字頭の良さと言われるもので、未来志向もしやすくなるので貯金やダイエット、筋トレにも取り組みやすくなるでしょう。

2-2 ポモドーロのメリット②集中力には短時間がベスト

集中するって言ってもそんな短い時間じゃなぁ…

こう思った人もいるかもしれません。
でもむしろこの短時間というのが重要なカギなのです。
以下ではワークタイムを短時間に設定することのメリットを大きく3つ紹介します。
最初の2つは集中力の特性との関係、最後の1つはタスク処理全般に通じるメリットです。

2-2-1 切れてから休むのでは遅い

実は集中力が落ち切ってから元に戻すのは非常に大変なことと言われています。
なので「切れたら休む」ではタイミングとしては遅いのです。「集中力が切れる前に休む」必要があります。
まだ余力がある時点で休み、集中力を軽く回復して再度タスクに臨むリズムが有効です。

人間の集中力は長くても45分程度しか持続しないと言われています。
これはあくまで最大値であり、かなり個人差があるので例えばその半分以下の20分しか持続しないような人も相当数いるはずです。
作業時間はいろいろ試してみて、集中力に余力を残せる程度に留めるよう設定しましょう。

2-2-2 最も集中できるポイントを増やす

ポモドーロテクニックの作業時間は15分か25分が一般的と説明しました。
先程の例のように20分しか集中できない人の作業時間は15分になります。

25分でも短いのに、自分は15分が限界なんて…

こうガッカリする人もいることでしょう。
しかし集中力の特性を考えるとワークタイムが長いほど良いとも言い切れません。

制限時間の効果の話とも重なりますが、集中力は開始から終わりにかけてU字曲線を描くと言われています。
つまりスタート時点と制限時間の間際が最も集中力が高いタイミングです。

中だるみとよく言いますが、集中力においても真ん中のポイントはパフォーマンスが低下してしまいます。
つまり細かくワークタイムを設定して、最も集中できる最初と終わりを沢山作る方が生産性が上がるということです。

ただし区切りが多くなることはリスク要因でもあります。
インターバルの度にスマホをいじって作業に戻ってこれなくなるリスクがある人は要注意です。

2-2-3 自分の能力を正確に把握できる

短い制限時間を試してみると、自分の実力を過信していた事実に直面することができます。

25分もあるならあれも出来るし、あとこれも…

このように最初は1つの枠で色々こなそうと画策するものです。
しかし実際にやってみると想像以上にあっという間で、想定していたタスクほとんど終わりません。

また5分休憩の時間にスマホチェックしてた時期もありましたが、「未だ1分も経っていないのでは?」と思ってしまうほど一瞬で時間が過ぎます。
スマホにどれだけの時間を簡単に奪われるかを実感することもできるのもメリットです。
時間の貴重さを実感できるとも言えます。

こうして自分が一定の時間内に処理できる規模を正確に把握できるようになると、無茶なタスクを1日に課すこともなくなります。
これは正しいスケジューリングにも必要になる情報です。
現実的なスケジュールを立てることで、自己嫌悪に陥ることなく達成感を得ることが出来るようになるはずで、精神衛生上も効果的です。

2-3 ポモドーロのメリット③タスクが中途半端になる

多くの人が日頃からタスクの「キリ」を意識してしまっていると思います。
中途半端を受け入れられない完璧主義的な傾向は誰しも少なからず持ってるものです。
そのため作業時間を短く設定してしまうと、タスクの途中でタイムアップになってしまうことを懸念してることと思います。

しかしこの作業が途中で切れてしまうことにも2つの点でしっかりと意義があるのです。
因みに完璧主義を捨て、中途半端を受け入れる重要性についてはこちらのページでも解説しています。

3-1 記憶の定着

キリが良くないと脳の印象に残りやすく、休んでいる間も勉強内容が優先的に整理されるので記憶に残りやすくなると言われています。

心理学ではツァイガルニク効果って言うよ

この効果を利用して、あえて中途半端なところで休むという方法がインターリービングメソッドというものです。
ポモドーロテクニックでは時間内に終われる作業単位にタスクを細かく区切ることが推奨されてます。
しかしここにインターリービングメソッドの視点を加えると、細かく区切らず敢えて半端になるよう設計する方が生産性は上がると思われます。
タスクを細分化して考えるという手間もなく、タイマーで強制的に中断させるだけでOKになるので一石二鳥です。

3-2 インプットを止めて整理する

人は何かと入りの部分、すなわちアウトプットよりインプットを重視してしまう傾向にあります。
実践問題を解く時間より、参考書や単語帳を読んでる時間の方が圧倒的に長かったという人も多いでしょう。
当然ベースとなる知識は必要なので、インプットが不要というわけじゃありません。

しかしインプットが長く続くと、ワーキングメモリが情報で渋滞してしまい、整理が追いつかなくなってしまいます。
インプット過多とは脳内の作業机に多量に情報を次から次へと積んでいき整理を後回しにしてる状態です。
その間に机から零れ落ちる情報は増えますし、整理にかかる時間も長くなり、場合によっては整理しきれないなんてこともあります。

そのため、一定時間インプットを継続したら、少し休んで情報を整理させる時間が必要なのです。
だからインターバル中はスマホなどを見ることなく、家の中を歩き回ったりボーっとする時間にしましょう。
考えや行動を止めて無になるメリットや方法についてはこちらのページでより詳しく解説しています。

またシンプルに立ち上がるというのも脳の活性化やその他の理由で効果的なのでオススメです。

4 ポモドーロをいつまで繰り返せばいいの?

ワークタイムとインターバルを繰り返すのは良いとして、いつまでもこれを繰り返し継続できるかと言うとそうではありません。
体内リズムで最も有名なのはサーカディアンリズムですが、その他にも重要な体内リズムは存在します。

そのうちの1つがウルトラディアンリズムというもので、これは90分と20分の周期です。
そしてこのウルトラディアンリズムがポモドーロテクニックと見事に上手くハマります。

・作業時間15分の場合
15分+3分の計18分の5周(18×5=90分)
・作業時間25分の場合
25分+5分の計30分の3周(30×3=90分)

どのパターンも90分に調整できるので、そこで大きく20分の休憩を挟むと体のリズムにもちょうど良くなります。
20分の休憩時間は脳の認知リソースを回復するためにも時間の長さ的にも昼寝が最適です。
効果的な昼寝の方法についてはこちらのページも参考にしてください。

回復にも限界があるので、ウルトラディアンリズムを回すのは3周くらいが限界です。
がむしゃらにタスクを課して追い込んでもモチベーションを下げるだけなので、ここまで来たら余暇・リラックスの時間に充てましょう。

まとめ

リズムを使って集中力を高める方法の紹介でした。
リズムが多くて複雑っぽいですが、90分でできる大きなタスクを2~3個用意して、ポモドーロで回すとだけ覚えておけば非常にシンプルです。
1つのタスクに90分×2~3回でもいいんでしょうが、個人的な体感では20分の休憩を挟むと同じタスクには戻りにくくなります

仕事なんかだと90分要するような大きなタスクよりも、雑多な業務が多いかもしれません。
そんな場合はウルトラディアンリズムは気にせず、ポモドーロだけ回してももちろん大丈夫。
仕事だと横槍が入って中断されるリスクも大きいので、プライベートは25+5分、仕事は15+3分というフィッティングも有効です。
この厄介な横槍の対処法についてはこちらのページを参考にしてください。

集中するのはもちろん、ボーっと休むのも意識的に時間を区切ってやることが大事。
時間制限メリハリ、そして自分でコントロールすること、この3つが集中力のキモです。

因みに集中力は鍛えられるものと考える人が多いですが、実は努力でどうにか出来るものではありません。
正しい集中力・注意力のコントロール方法については別のページで詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご覧ください。

てなとこで。

参考文献