投資にかかる税金|申告方法と節税対策【総合課税か分離課税か】

株式取引など投資で得た利益に対しては、当然ながら税金がかかります。

配当など(インカムゲイン)は配当所得として、そして株や投資信託の値上がりに伴う売却益(キャピタルゲイン)は譲渡所得として。

一般的な資産運用のシミュレーションではおおよそ20%くらいの税率が前提です。

バンガード・S&P500ETF(通称VOO)とSBI・バンガード・S&P500の税金を含めた経費のシミュレーションでもこの数字を使いました。

リスクを取った投資で稼いだ利益に対してこんな高い税金を取られるのはハッキリ言って不当です。

しかし確定申告の方法や区分など税金に関する知識をしっかりつけていると、この負担は軽くすることができます。

このページでは投資、資産運用をする上で知っておきたい税金申告の方法について解説します。

馬鹿馬鹿しい税金は出来るだけ抑えて、手元に儲けを残しましょう。

税金の申告は特定口座(源泉あり)がラク?

証券会社に開設できる口座の種類は、①一般口座、②特定口座(源泉あり)③特定口座(源泉なし)の3種類があります。

「この他にもiDeCo口座とかNISA口座もあるけど、非課税で申告は要らないから省略」

中でも手続きが簡単で手間いらずの②特定口座(源泉あり)口座を選択することをオススメされるのが一般的です。

この口座は配当や値上がり益が出た時には、証券会社が税金を天引きして納税してくれる方式。

つまりこのまま確定申告などをしなくても脱税(申告漏れ)による追徴課税などの心配をしなくてもOKってことです。

この時かかる税率は所得税15.315%と住民税5%の合計20.315%で、いわゆる一般的なシミュレーションの約20%という数字になります。

確かにラクですし、投資の税金=20%という刷り込みもあり、特定口座(源泉あり)一択だと思い込むのも無理ないでしょう。

しかし実はこの20.315%という税率は絶対のものではありません。むしろこのままではムダに税金を払ってしまっています。

源泉あり口座を選択しても問題はありませんが、ムダな税金を取り返すためにも確定申告は必須です。

以下では税区分と申告の具体的な方法・対策について解説します。。

投資に対する税金は分けて考えるのが基本だが…

毎月の給与明細や源泉徴収票をしっかり見ている人は、投資にかかる税率を見て「おや?」と思ったかもしれません。

投資と給料とでは所得税と住民税の内訳が違っているのです。

平均的なサラリーマンの年収水準の場合、所得税10%、住民税10%の合計20%くらいになります。

一方の投資の場合には所得税15(.315)%と住民税5%の合計20(.315)%。トータルは同じですが内訳が違う。

これは給料が総合課税であるのに対して投資の場合は申告分離課税というように、課税方式が異なることが要因です。

総合課税方式とは

総合課税とは給料やその他の収入を一緒くたにして税金(率)を算定する方式です。

所得税は累進税率が採られており、年収が上がっていくほど税率も高くなっていきます。

一方の住民税は収入に関わらず10%で一定です。

申告分離課税方式とは

申告分離課税とは投資などで得た利益を他の収入とは別にして、それ単体で課税額の計算をする方式です。

税率については既に紹介している通り、所得税が15.315%で住民税が5%となっています。

狙うは配当にかかる税金の削減

冒頭でも簡単に触れましたが、実は投資に伴う所得と一口に言っても儲けの種類によって所得区分が異なります。

具体的にはインカムゲインは配当所得、キャピタルゲインは譲渡所得という分類です。

そして後者のキャピタルゲイン(譲渡所得)の場合は申告分離課税一択しかありません。

他方、インカムゲイン(配当所得)の場合は申告分離課税はもちろん総合課税を選択することも可能なのです。

「でもそんなことする意味あるの?累進税率が上がるだけじゃないの?」

既に解説した通り、平均的なサラリーマンの場合は所得税10%、住民税10%なので、申告分離課税の場合と税率に大きな差はありません。

日本は累進課税制度を採っているので、収入が多くなるのに応じて税率が上がっていきます。

本業の収入が極端に少ない場合は総合課税にするメリットもありそうですが、多くのサラリーマンの場合、むしろ損する可能性すら出てきそうです。

しかしこの方式の違いが税金を安くする制度を活用する上で重要になります。キーとなる仕組みは2つです。

配当控除

まず第一の大きな仕組みが配当控除という制度です。

これは配当所得にかかる税率を10%カットできるというもので、総合課税で申告する場合にしか使うことが出来ません。

つまり平均的なサラリーマンの場合は配当にかかる所得税相当分が丸々かからないということです。

あくまで目安ですが、配当を含めた所得総額が900万円未満であれば、配当控除によって申告分離課税の場合の15.315%より所得税率が下がるのでオトク。

この制度を利用するためには所得を総合課税として確定申告をする必要があるので、その分手間はかかりますが、10%カットはかなり大きいです。

所得税と住民税の分離

配当控除だけでも十分に節税効果は高いと言えますが、ここで手を緩めることなく徹底的に節税を進めましょう。

実はあまり知られていないことですが、所得税と住民税の申告は本来は別々に取り扱われているものなのです。

所得税は国税であり住民税は地方税なので、当然と言えば当然のこと。

ただ大方の日本人はシンプルな雇用体系にあって収入も単一なので、確定申告では双方で同一の申告をしたこととして扱われています。

「仕組みを知ると、無知な人からゴッソリ税金を取るための策略にしか見えないけどね」

そう、そこで次に重要になるのが住民税です。

住民税率は総合課税の場合は10%、一方の申告分離課税の場合は5%でした。

住民税に関する配当所得の申告だけを申告分離課税にすることで、所得税だけでなく住民税も半分にすることが出来ます。

総合課税の注意点

所得税にかかる配当所得の申告を総合課税で行うことによって、所得税を大幅にカットすることができますが1つだけ注意点があります。

それが損益通算と繰越控除制度の問題です。

投資を行っていれば保有してる株や投資信託の値下がりで売却時に損を出す場合もあります。

その損(譲渡所得のマイナス)を異なる所得である配当所得の利益と相殺して、トータルの課税対象額を下げることができるのが損益通算です。

「ちなみに繰越控除はマイナスが大きすぎて相殺しきれない場合にそれを3年間有効にできるって制度ね」

ただしこの損益通算と繰越控除は申告分離課税を選択した場合でしか使うことが出来ません。

つまり総合課税の配当控除か申告分離課税の損益通算(と繰越控除)のいずれかを選択しなければいけないってことです。

ここはその年の運用状況によって異なるので、どちらが自分にとってより節税効果が高いのか申告のタイミングでしっかり計算する必要があります。

「売却のプラスとマイナスは譲渡所得を計算するタイミングで相殺されてるから損益通算とは関係ないよ。あくまで配当と売却損の話ね」

外国株の場合

外国株、とくに米国株は配当利率が高く増配傾向も強いので、配当目的に保有しようと考えている人も多いでしょう。

せっかく為替手数料やリサーチコストをかけるのだからこちらもムダな税金は1円でも払いたくはありませんね。

ただ国内の株式や投資信託に比べると海外の株やETFはやや複雑になり、全く同じようには考えられないので注意が必要です。

現地税の存在

国内の株や投資信託と最も大きく異なるのは現地税の存在です。

キャピタルゲインに関しては租税条約によって非課税なので、国内税のみが課税されます。

国内株などと同様に申告分離課税での申告一択です。

一方のインカムゲイン(配当)に対しては10%の税金がかかります。さらに国内で既に解説した配当所得としての課税を受けます。

申告についてはこちらも国内株などと同様に、総合課税と申告分離課税のいずれか有利な方を選択することが可能です。

これだけ見ると高配当とは言え税金が高いので旨味が実はそれほど無いようにも思えてしまいますが、ご安心を。

国内で課税されるのは現地で課税された率を除いた形で課税されるので、二重課税にはなりません。

これを外国税額控除と言います。

配当控除は使えない…

ただし国内株などと異なるのが配当控除が使えないというところです。

配当控除が使える場合には、配当を含めた所得が900万円未満までなら総合課税で申告するのが有利でした。

しかし配当控除が使えないとなると、シンプルに累進課税の所得税率と15.315%を比較することになります。

具体的には課税所得の総額が330万円未満でなければ、申告分離課税の方が税率が低くなります。この違いには注意しましょう。

(総合課税の場合は所得330万円以上で20%、申告分離課税の場合は15.315%)

総合課税を選択した場合、配当所得は全て総合課税の条件下で税額が計算されます。

「国内分は総合課税で、外国分は申告分離課税みたいなことは出来ないよ」

まとめ

投資による利益に対する税金について解説しました。

投資で上がる利益は大きく分けて譲渡所得(キャピタルゲイン)と配当所得(インカムゲイン)の2つ。

課税方式も総合課税と申告分離課税の2つ。

キャピタルゲインの場合は申告分離課税一択だが、配当所得の場合はいずれか選択することが出来ます。

総合課税を選択した場合には配当控除(マイナス10%)を利用でき、申告分離課税を選択した場合には譲渡所得との損益通算が可能。

また所得税分と住民税分の課税方式を分けることができ、所得総額が一定以下なら所得税は総合課税、住民税は申告分離課税にするのが最も有利。

ただし外国株・ETFの配当には配当控除が使えないので、総合課税が不利になる所得のボーダーがかなり下がります。

とはいっても配当所得の取り扱いは日本株分も外国株分も呉越同舟。全員で乗るか降りるかしか選択肢はありません。

日本株に適用される配当控除はかなり節税効果が高いので、捨てがたい。

結局は各人の国内外のポートフォリオ(アセット)バランスや譲渡所得で出している損失の規模などと相談になるでしょう。

何の利益も生まない税金は1円でも安くするのが投資、というか生きていく上での鉄則。ここは神経質に計算することをオススメします。

てなとこで。